第17話 貴族学院に入学しました。

 今。両親と共に私は、シュトロハイム家の家紋が刻まれてた馬車に乗っている。

 シュトロハイム公爵邸を出てから30分ほどの距離、つまり貴族街に今から私が向かってる場所は存在している。


 そこは、男爵以上の貴族の子弟のみが通える貴族学院であり、今までは平民には門戸を開いてはいなかった。


「それにしても、貴族学院にも平民が通う日が来るとはな。時代が変わったのか……」

 お父様は相変わらず不満そうな表情をしてぶつぶつ何かを言っている。


「でも、平民の方ですとティアはかわいいから心配だわ」

 大丈夫です。

 手加減ができませんが魔法は使えますから。

 それに平民、つまり一般の方々を定員があるとは言え通えるようにしたのは、私が一般市民になった時に必要な知識を学校で手に入るようにとした事と国力を引き上げようとした事がたまたま一致しただけにすぎないから。


「ご心配頂きありがとうございます。私はしばらく、貴族学院の方で寝泊まりしますので卒業するまではお会い出来なくなると思いますがよろしくお願いします」

 私の言葉に、お父様もお母様も動きを止めた。


「それはどういうことだ?」

 お父様が不機嫌そうに聞いてくるけど……。


「お父様、大丈夫です。きちんと白色魔宝石はお送りしますので……経済的にはシュトロハイム家は問題ないと思います。ですから……私よりも妹のアリシアを大事にしてください」

 実は3年前に、私には妹ができていた。

 お母様がほとんど姿を現さないなーと思っていたら赤ん坊を連れてきて私の妹と言ってきたのだ。

 だから現在、シュトロハイム家の家族構成は父、母、私(女)、妹(女)と王家の血筋を引く者としては、かなり期待されている。

 しかも、私と違ってアリシアの魔力量は測定できた。

 魔力量は大陸でも有数の大魔法師クラスと判定されていて、ますます私の価値が無くなった。


 まぁアリシアはお父様にもお母様にも懐いているし両親ともアリシアに構いっきりだから私としてはかなり身動きが楽になっていいんだけどね。


「それは、16歳……卒業するまでは戻らないという事かしら?」

 お母様が私に尋ねてくる。


「はい、両親がきちんと構ってあげませんと……アリシアがかわいそうですから……ですから私の事は気にしないでください」


「だが、それでは付き人がおらず困るだろう?」

 お父様の言葉に私は頭を振る。

 何のために一人暮らしをすると思っているのか?

 貴族という肩書がある以上、結婚しなくてはいけない。

 だから、この国を出て私は辺境の地で野生のオオカミを手懐けてもふもふ生活を送るのだ。

 クラウス王子は、妹のアリシアにあげよう。

 ストーカーぽい気質があるのが、クラウス王子の問題点だけど! それ以外は、元・男の私から見ても及第点を上げられるかな? きっと……たぶん……。


「大丈夫です、それに学院内でそういう事をする貴族なんていません」

 それに私には前世、一人で暮らしてきた実績があるから問題ない。

 お金もある程度あるし……金貨だって7億円分くらい残してある。

 だから私生活はとくに問題ないと思う。


 私の言葉に両親はあきらめたような顔をして口を閉じた。

 それからしばらくして、やけに立派な装飾を施された門を馬車は通りゆっくりと速度を落とす。

 

 そして私は馬車から下りると、両親と一緒に学院長室へ向かった。

 学院長室は、貴族学院本校舎の2階部分に位置している。

 

両親と私は、その部屋に通され学院長と顔を合わせた。

 

 ほんとうに他愛もない下らない話で私は溜息しか出なかった。

 何が由緒正しい、学院に平民を入れるなんて! だよ。

 それでも教育者なの? と私は思った。


 その後、私は入学式に出たけど……。

 案の定、ウラヌス公爵の屋敷に出入りして魔法の制御や、事業の促進改善提案をしていて忙しかった私は、何かと言い訳をして社交界デビューをしなかった。

 おかげで……私は、ボッチ確定となった。


 社交界デビュー前に体調をおかしくする魔法。

 自分自身にしか掛けられないけど、かなりうまく出来るようになったと自負している。





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