第283話
ランは俺の言葉に頷くとすぐに建物の中に入っていき、大き目の袋を両手で抱えるようにして持ってきた。
「さすがに金貨100枚分は重いですね。えっと……それでは、こちらが金貨100枚分の硬貨となります。よい湯治を……」
「ああ、助かった」
ランは袋を俺に渡すと門の方へ戻っていく。
俺は、その後ろ姿を見ながら何か引っかかっていたが、今はとにかく……。
「おい! お前ら起きろ!」
俺は帆馬車に足を踏み入れてリネラスの肩を揺さぶる。
「ユウマどうしたの? また何か問題でも起きたの?」
「おい! 俺がいつも問題ばかり起してるような言い方は止めてもらおうか!」
「うるさいですねー! ところでユウマは何をしてるの?」
「……ハァ。お前はなー。とりあえず、ローランって町についたから皆に食事をだな」
「なるほど……海産物ばかりで飽きてましたから」
俺は必至に海の迷宮リヴァルアで摂ってきた海産物さん達を、飽きたとかひどい言い方をする奴だな。
「ユウマ、先に降りてますね」
「ああ、気をつけるんだぞ。あと、従者の席には袋にお金を換金して入れておいたからとっておけよ」
「わかった!」
リネラスは、それだけ言うと帆馬車から下りていく。
俺は、溜息をつきながらセイレスとセレンの肩を揺さぶる。
「二人とも、町についたから起きろ!」
「うう~ん、お兄ちゃん?」
「セレン起きたか……セイレスは……と」
セイレスの方を見ると黒板にササッと文字を書いて俺に見せてきた。
そこには「夜這いですか! 夜這いですよね!?」と書かれている。
駄目だ、コイツ……早くなんとかしないと……。
「二人とも町についたから従者席に課金したお金を置いておいたから好きにとって町で食事でもしてこい。宿は俺が取っておくから、あとでここで合流な?」
「わかったの!」
セレンが元気よく頷くと、セイレスの手を引いて帆馬車から下りていった。
あとはイノンとユリカだけか……。
「イノン、起きろー」
イノンの名前を呼びながらイノンの肩を揺さぶると、うっすらとイノンは目を開けてきた。
「あれ? ここは……知らない天井です」
「その、お約束はいいから! とりあえず町についたから食事でも皆でしてくるといいぞ。従者席に換金したお金を置いておいたから取っていくといい。宿は俺の方で手配しておくから、ここ集合な」
「わかりました」
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