第194話
3時間後。
風呂から出た俺は、冒険者ギルドというか宿屋のホール右側の談話室に入るとソファーに座った。
すでにイノン、リネラスはソファーで俺を待っていた。
ただ、セイレスとセレンの姿だけは無かった。
「2人は?」
「セイレスとセレンは疲れているようだから休ませるわ」
俺の質問にリネラスが答えてきた。
「そうか……」
まぁ仕方無いだろうな。
4日もずっと帆馬車に乗り続けたのだ。
肉体的には修復は出来たとしても精神的には回復は出来ないからな。
「――で、今後の俺達の方針だがどうする?」
「難しいわね」
リネラスが迷っている。
まぁ現状では特に問題は残っていないからな。
どうにも出来ないというのが今の心境だろう。
セイレスとセレンの問題もあるしうかつに動くのも危険だからな。
「ユウマさん、リネラスさん。とりあえずは、地盤を固めると言うのはどうでしょうか?」
「地盤か……」
イノンの言葉に俺は頷きつつ考える。
現状、地盤を固めると言っても特にする事がないのだ。
「町の人間から依頼を受けて遂行して、冒険者ギルドは、まだ負けてない! というのを内外に知らせるのもいいわね!」
「それは駄目だろ、冒険者ギルドマスターが生きているなんて知られたら国軍が動く可能性もあるぞ? 解放軍がいるんだからお互いに潰し合わせて置いた楽でいいだろ、それに冒険者ギルドマスターが居ると知られたら、海の港町カレイドスコープに迷惑がかかるからな」
軍は大量の食糧を消費する。
まともな政治すら行わないエルンペイア王の軍隊だと、近くの町から無理矢理徴収する可能性もあり、そうなれば結果的に市民が犠牲になる。
だから、リネラスが冒険者ギルドマスターだと言う事は伏せておいた方がいいな。
「リネラス。とりあえず、お前とセイレスにセレンについては、此処で留守番だな。今後どうなるかさすがに見通しが立たないからな。無闇に動かない方がいいだろう」
「そうだね! その間にセレンちゃんには、将来には冒険者ギルドの受付になれるように仕事を教えているね!」
「いや……まだ小さいのに良いのか?」
「はい、たしかセレンちゃんの年齢は9歳くらいですから、今から仕込めばきちんと仕事が出来る冒険者ギルドの職員になれるはずです! それに無垢な状態から私が培った冒険者ギルド経営ノウハウをきちんと教え込めば立派な大人になれるはずです!」
リネラスが、力強く力説してくるが、リネラスが2人になると冒険者ギルド的にあまりよろしくない気がする。
とりあえずストッパーをつけておく必要もあるな。
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