第153話
「……よいしょっと!」
リネラスが掛け声と共に大きなカバンをカウンターの上に置いている。
「ところでお前は何をしているんだ?」
俺の言葉にリネラスは頭を傾げる。
「だってユウマが行く所は、エルンペイアが支配している領域でしょう? そしたら冒険者ギルド潰れているかも知れないから依頼が受けられないと仕事にならないでしょう? ユウマも何か目的があって行動しているように見えるし……それに私が一緒に行動すればお得だよ? 冒険者ギルドが無くても私が冒険者ギルドだから! 依頼受けられるし、お金も引き落とせるし、お金を預けられるよ? それに旅にはお金が必要でしょう?」
ふむ、たしかにリネラスの言葉にも一理あるな。
仕方ない、俺の目的のためにもコイツには同行してもらうとするか。
それに移動するギルドってのも、どこでも依頼が受けられるからいいかも知れないからな。
「分かった。それじゃよろしく頼む、まずはどこから行くんだ?」
「そうね、港町カレイドスコープにいきましょう」
「ふむ、港町か」
そういえば、魚介類関係とか全然食ってないな。
「うん、それにカレイドスコープは、金額が高い依頼書が昔からよく出てたから歩合じゃなくてユウマの給料にもいいんだよ!」
「いや、別に金には困ってないんだが……まぁ、それなら行ってみるか。それと村の出口でしばらく待っていてくれないか? イノンに宿屋を解約することを伝えてくる。 一応一言伝えておかないとまずいからな。宿屋なんだから帰ってこない客のためにいつまでも部屋を取っておくのは迷惑がかかるともうし」
「あ! 宿屋の解約? それなら私が言っておくから! ユウマは村の出口で待っていてくれればいいよ!」
ふむ、そこまで言うなら任せるとするか……。
「分かった。先に村の出口で待っている」
俺が、そう告げるとリネラスは頷いてくる。
そして、俺は冒険者ギルドを出てから村の出口でリネラスを待っているとリネラスとイノンの2人が近づいてきた。
「どうしてイノンがここにいるんだ? 見送りか?」
俺の言葉にリネラスが目線を逸らす。
「えっとユウマさん!私、まだ恩返ししてないので……旅の間のお手伝いでもしようかと思いまして……」
「ん? もう十分果たしてもらったから気にする事はないぞ? それにイノンは、無くなった両親から受け継いだ宿屋があるだろう? 維持もあるんだから俺に着いて来たら不味くないか?」
俺の言葉にリネラスは溜息をつく。
「相変わらずのユウマだね。 イノン、ほら言ったとおりでしょう?」
「はい……ユウマさん! 宿屋の事なら問題ありません! きちんとしていますから!」
「それなら、良いんだが……あまり、無理はするなよ? それと港町カレイドスコープまでで十分だからな?」
「はい!わかりました」
さっそく旅の同行者が3人になってしまったな。
まったく面倒な事になったものだ。
とりあえず目的地は海産物が食えるとい言う『海の港町カレイドスコープ』だな。
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