第128話
「――はい……本当にごめんなさい」
「お前も、冒険者ギルドの職員でいると不味いんじゃないのか?」
「……はい。ですから貯蓄していたお金を全部払って軍に入るのを免除してもらいました。いつか他国から強い冒険者の方が来られた時にお力になれたらと思い、ずっと受付をしていました」
「給料は?」
「もらっていません……」
まじか?金もらってないのに冒険者ギルド開けていたのか?
「こんな状態ですから……任務遂行能力もありませんしお金も入ってきません。それでも町の皆さんの最後の拠り所として冒険者ギルドを一つでも存続させておければと……」
「そうか……」
なんというべきか。
給料をもらわなくても冒険者ギルドを開店させているとか殊勝な心がけの奴がいるものだな。
だが、自分のためではなく村の為か……悪くない答えだ。
それに、身分証はほしいからな。
「そうか、それじゃ冒険者ギルドに登録したいんだがいいか?」
「私の話聞いていましたか? 強い冒険者の方でないと殺されてしまうのですよ?」
ギルド職員の話に俺は頷くと彼女に告げる。
「それなら問題ない。たった今、マリウスを殺して来た所だ。それなら問題ないよな?」
「嘘じゃないですよね?少し待っていてください」
慌てて女が険者ギルドから出ていくと10分ほどして戻ってきた。
「ハァハァハァ、本当でした。本当でした。本当でした!うああああああああああん」
「おい!泣くな!」
くそっ、イノンといいどうしてこうも泣く奴ばかりなのか。
話が進まないじゃないか……。
「グスッ……ぼ、冒険者が集う場所フェンデイカ支部へよう……うぇうぇうあああああああん」
「おい!話の途中で泣くんじゃない!話が進まないだろうが!!」
どれだけ情緒不安定なんだよ。
――っていうか……どれだけ酷い状態が続いたんだよ!?
「グスッグスッ、よかったです。また冒険者さんを登録できる仕事ができるようになって――3年も無給で働いた甲斐がありました。やっと、草だけのご飯から抜け出せます」
草だけのご飯って……草って食べられたか?とりあえず、このギルド職員はかなり逼迫した状況に置かれているのだけは理解した。
「あ、ああ……」
正直ドン引きだ。
「冒険者登録させていただきますね。今日は3年ぶりのご利用ですので私が代筆しますね!」
輝くような笑顔で行ってくるが、文字くらいは俺でも書ける。
「いや、俺も字が書けるから問題ないぞ?」
何でも人に任せたらあれだからな……。
「そ、そうなんですか。ごめんなさい。本当にごめんなさい。3年ぶりのお仕事だったから張り切ってしまってごめんな……「いや、ちょうど手が痛かったんだよ!代筆してくれる人いないかな?」……はい!お任せください」
「えっと!それじゃお名前からどうぞ!」
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