第三章2
第126話
俺は広場に見える噴水の縁に腰を下ろす。
たしか、フィンデイカの村は人口1500人程度の村だったと聞いていたが、まさか噴水設備があると思っても見なかった。
ただ、水は張っておらず積もった土に草が根を生やしているが。
イノンが心の整理がつくまで噴水に座る事にした俺は、そのまま空を見上げていると。
「ありがとうざいます。彼らを追い払ってくださって……」
――と、近づいてきた老婆が俺の両手を握り泣きだした。
俺は心の中でため息をつきながらも。
「別に俺はそこで泣いている女に頼まれて奴らを駆除したに過ぎない。だから感謝する必要はない」
俺の言葉を聞いた老婆はそれでも感謝の気持ちを述べてくる。
まったく、居心地が悪いなと思っていると一人の男が近づいてくると。
「冒険者ギルドの方でいらっしゃいましたか?」
「冒険者ギルド?」
ふむ……そういえば、かなり前に冒険者ギルドに入るという口実で教会の勧誘を断って居た事があったな。
その割には冒険者ギルドがどんな所か俺はまったく知らないが。
男の声に次々と、公爵軍から開放された人々が近寄ってきては礼を述べてくる。
「で、ですが貴方ほどの力を持っている冒険者を雇ったとなると支払いだけでも相当な金額だったのでは?」
男性の言葉に全員が静かになる。
俺は、沈黙した町の人間を見ながら首を傾げながら思う。どうやら、冒険者ギルドはかなり稼げるらしいな。
とりあえず冒険者ギルドに登録するとしよう。
それよりもしつこいくらい礼を言ってくる連中には何と言ったものか……。
無償とか言うと、問題もあり相場も分からないから、金額も言えないからな。
とりあえずは宿と飯で手を打ったことを伝えておくとしよう。
「お前達が気にする事じゃない。支払いの対価は、体で奉仕してもらうことになっているからな」
俺の言葉を聞いた村人全員が顔を引きつらせて一歩下がった。
「それよりこの村には冒険者ギルドはあるか?」
イノンの心の整理がつくまで時間が必要だろう。
その間に冒険者ギルドに登録して身分証明書を作るのがいいな。
「冒険者ギルドはありますが……」
「ありますが?」
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