第106話
「ふん。ユゼウ王国には、フィールドダンジョンが3つ存在しているというのに……本来は内戦をしている場合ではない。
国が一丸となって魔物に対処しなければいけないにも関わらず攻略のために重税と圧政を敷いたために内戦状態になってしまっているからのう」
コーク爺がエルスに語っている。
俺はそれを聞きながら、この国はかなりやばいのでは?と思ってきた。
「それにのう、わしらが拠点としているエルドの村も、魔物の進軍に飲み込まれるのは時間の問題でじゃからのう。物理攻撃が効かない魔物が多数おるのがきつい。
攻撃魔法師が必要じゃが、教会には治癒魔法師はいても攻撃魔法師はおらんからのう」
「冒険者ギルドがエルンペイアに潰されたのが痛いな。どうしたらいいのか」
エルスが一人で語っていると――。
「それはお主のリーダーが決める事じゃろう?ワシに聞かれても困る。ほれ、薬は飲ませたから後はお主の家で看病せい」
――コーク爺が、エルスに疑問に答えを返した、
「え?あたいの家でかい?」
「お前以外に誰がおる?拾ってきたモノはきちんと面倒を見んといかんぞ?」
エルスは俺の方へ視線を向けてきたが、俺はタヌキ寝入りを続けることに決めた。
そして俺は、どうやら無事にユゼウ王国内についたらしい。
ゆっくりと意識と感覚が覚醒していく。
五感が眠りから覚めていき俺は……。
「気がついたかい?」
重い瞼を開けると赤い髪の女性が横になっている俺を見下ろしていた。
彼女がおそらくエルスと言う女性なのだろう。
俺は、体を起こそうとして四肢に力を入れるがまるで自分の体とは思えないほど体が重い。
「…こ……こ、此処は?……」
ユゼウ王国内というのは、寝る前の話しで知っている。
あとは、ここがどこか知るだけだが……。
「これでも飲みな」
俺の状態を見かねたのだろう。
女性は水の入ったカップを差し出してきた。
カップを受け取り、中に入っていた水を見ると淀んでいた。
村で飲んでいた清流の水とはまったく違う。
「何か食べられるかい?」
俺は頭を振る。
食事をしたい気分ではないと言うか、こんな水で作った食事を食べたら間違いなく腹を壊してしまう。
俺は、【濾過】と【煮沸】の魔法を発動。
カップの中の水を綺麗にしてから飲んだ。
さて、これからどうすればいいのだろうか?
考えが纏まらないな。
「そうかい、腹が空いたら言っておくれ」
たぶん頼む事はないと思うが俺は頷く。
「それであんたは森でどうして倒れていたんだい?あそこは危険な死霊の森ってことくらいは知っているだろう?」
そうなのか?
まったく知らなかったな。
【探索】の魔法に何の生物の反応が無かったから変だとは思っていたが……本当に変な森だったんだな。
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