第79話

 俺の返事にブルームは、何度も頷く。


「私も最初からおかしいと思っていたのだ。村長を追放するような人間が我らの前にノコノコと出頭するわけがないからな?」

 こいつは最初から俺の事を疑っていたのに何を言っているんだ?

 まったく……。

 まあ、話を合わせておくか……。


「ソーデスネ」

 俺の色よい返事で機嫌を良くしたブルームはさらに話を続けてくる。


「そうなると、男2人から聞いた、エメラダ様が来られたというのも本当なのか?」

 俺はブルームの言葉に頷きながら――。


「はい、来られました。白銀の髪はとても綺麗でしたね」

 ――とエメラダ様の特徴を端的に伝える。

 すると。


「そ…そそ……そうなのか?アハハッハ、そうかそうか……」

 と言った後、突然、ブルームが俺の肩を抱き寄せて顔を寄せてきた。


「ユウマ君。村人を拘束した事と君に縄をかけた事は、くれぐれもエメラダ様には言わないでくれ。これは些細なすれ違いが生んだ悲しい出来事だったんだ。分かるだろう?」


「まあ、いいですが。貸し一つですよ?」

 俺の言葉に、ブルームは「分かった」と即答してきた。

 その後、ブルームは周囲を見渡すと大声で怒鳴った。


「貴様ら!いつまで遊んでいるつもりだ!さっさと全員、村に戻って我らに協力して頂いたお二人を解放してこい!」

 ブルームさんの怒号で付いてきた兵士が全員、村の方へ戻って行った。

 そしてその姿が見えなくなると……。


「エメラダ様には絶対に言わないでください。お願いします本当にお願いします。まだ死にたくないんです。家族がいるんです」

 あまりの必死さに。


「あ、はい」

 と思わず頷いてしまっていた。

 それよりも気になっていた事があった。


「少し、聞いておきたい事があるんですけどいいですか?」

 俺の言葉に――。


「はい!何でも聞いてください。ですからエメラダ様には今回の事は内密にお願いします」

 ――と即答してきた。

 どれだけ必死なんだよ。

 それよりも、エメラダ様は普段どんな風にブルームに接しているんだろうか?

 気になって仕方ないな……。




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