第62話
そして、何日もの実験の果てに、俺が魔法を発動させる為の条件は、頭の中で起きる事象を地球の科学を基礎として描くこと。そして漢字の魔法陣を頭の中で思い浮かべる事。
それこそが俺の魔法発動条件。
元々、ウカル司祭様からの魔法を見た事から始まった魔法の実験。
だから俺の魔法の師匠はウカル司祭様で間違いはないのだ。
「そうなのか?うーむ……ユウマのような優秀な魔法師を育てるその手腕は、すばらしいな!私から見てもユウマの魔法師としての実力は、宮廷に仕えている筆頭魔法師くらいはあるぞ?」
「そうなんですか?」
俺はエメラダ様の言葉を聞いて驚いてしまった。
いつの間にか俺はそこまで強くなっていたのか……。
「うむ。村から追い出されたのが2週間前と不審者共が言っていたからな。そうなると数日不眠不休で村を囲む堀を作ったのだろう?それに私達が村に来たときには水を動かしていたのだろう?短時間とはいえ堀を満たすほどの膨大な水量だ。それを数十分動かしただけでもユウマが規格外の魔力を持つ魔法師だというのが分かる」
そこでエメラダ様は、口を閉じた。
「だからすまない。ユウマの事をてっきり魔法師育成学校に通っていた魔法師だと思ってしまった。それだけの力があるなら魔法師育成学校に通えなかった事を悔やんだのだろう。ユウマが気にしてる事を無神経に言った事を謝罪しよう」
「いえ、そこまで謝られても……困ります」
「なんという了見の広さか!ますます平民にしておくにはおしい男だな」
どうしよう、この人なんか誤解している。
俺、そんな大した人物じゃないし魔法師育成学校とかさっき初めて聞いたばかりだ。
「それにしても……ユウマ程の男を育て上げる手腕に才覚。それほどの人物が、どうしてこのような辺鄙な村で司祭などしているのだ?」
「……さ、さあ?人には色々な歴史があるのでは?」
俺は、答えを返しながらどうしようと考える。
とりあえず、俺はあまり問題ごとには巻き込まれたくないな。
「そうだな、詮索するなど愚劣だな。だが今度、そのアース教会のウカル司祭殿には我がイルスーカ侯爵家が主催する魔法師育成勉強会でぜひ教鞭を振るってもらいたいものだ。村での井戸の事もあるからな」
あ……。そこで俺は気が付く。
この時代では、オーバーテクノロジーに近い井戸が村長の家の隣にあるのだ。
それを見たとしたら、ウカル様の株価が爆上げになっちゃう!
まぁ俺には関係ないからいいか。
とりあえず軽くフォローだけしておこう。
「……ウカル様も教会のお仕事で忙しいと思いますから……」
軽くウカル様は忙しいんですよ発言をする。
これで大丈夫だろう。
「ふむ、たしかにな。なら今度、時間が空いた時にでもウカル司祭殿をイルスーカ侯爵家に招待することにしよう」
ああ、これはダメですわー。
もはやウカル様の株がすごいストップ高なのを感じる。
どうにもなりませんね。
まぁウカル様ならきっと、何とかしてくれるだろう。
俺はウカル様を信じているからな。
「それでは話を戻しましょう。遠くと話ができる魔法が使えないという事は現状では、エメダラ様のお父様とお話が出来ない……つまりは情報を送れないから立ち回りが決まらないという事になりますよね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます