閑話③ 藤原美里の場合
「お兄ちゃん!お母さん!」
「どうした美里。朝っぱらから」
「合格したよ!川野辺高校!」
「マジか!おめでとう美里」
「勉強頑張ってたもんね美里。本当おめでとう」
「うんお兄ちゃんもお母さんもありがとう!」
「でもお前が川野辺高校に行くとはねぇ~。 由紀に懐いてたし森下に来ると思ってたんだけど」
「う~ん。悩んだんだけどね。校風というか何となく川野辺の方が気に入って」
そう。本当どっちの高校を受験するか悩んだのよね。
川野辺高校か森下学園か。
川野辺の方が古い学校ということもあって歴史があり校風も自分に合ってるって思ったのは嘘じゃない・・・
でもやっぱり決定打はこの間のお兄ちゃんたちと川野辺高校の練習試合を見に行った結果だね。
カップル率と尊さは川野辺の方が高い!
お兄ちゃんたちとも友達の田辺さんと小早川さんも中々のイチャイチャぶりで推しのカップルだけど、何と言ってもバスケ部で憧れだった浜野先輩とイケメン清水さんのバカップルぶりがたまらなかった!
中学時代はクールで真面目キャラだった浜野先輩がデレデレなんだもん。
それに恵(ケイ)先輩までツンデレぶり発揮してるし、あんなの近くで見ていたいに決まってるじゃない。
それにお兄ちゃんと由紀ちゃんは普段も見れるしね。
もう毎日がラブコメみたいな高校生活。今から楽しみ♪
「まぁ校風とかなら仕方ないかな。でも川野辺は勉強も大変みたいだから頑張るんだぞ」
「う うん!もちろんだよ」
(お兄ちゃん真面目だし、間違っても川野辺の方が尊いからとか言えないよね)
「美里は高校でもバスケ部に入るのか?」
「うん入る予定だよ。中学3年間頑張ってきたし浜野先輩や恵先輩も居るし」
「そっか。じゃあ今度、田辺と小早川さん紹介してやるよ。バイト先一緒だし」
「え!本当嬉しいかも」
2人と直接お話が出来るとか最高のご褒美だよ!
あ、ついでに私もそこでバイトさせてもらったりできないかな?
「それに小早川さんの妹さんも川野辺高校受験したらしいから合格してたらお前と同級生になると思うよ」
「へぇ~その子もバスケやってるの?」
「いやバスケはやってないはずだよ」
「そっか。でもお友達になれると嬉しいな」
「そうだな。小早川さんに話しとくよ」
「うん。ありがとう♪」
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高校へ向かうお兄ちゃんを見送り、私も合格を報告する為に川北中に行くことにした。
川北中指定のセーラー服に着替え今日は手ぶらで学校へ。
この制服を着るのもあと少しだな。
と学校近くの大通りに出ると突然私を呼ぶ声が聞こえた。
「おい藤原美里!」
「誰よ人の名前をフルネームで・・・ってなんだ平野か」
平野直人。
何かと私に突っかかってくるいわゆる腐れ縁の幼馴染だ。
私がバスケ部に入れば平野も上手くも無いのにバスケ部に入るし、川野辺高校受験を決めたら志望校同じとか言うし・・・何故かいつも私の傍にいるんだよね。
「"平野か"って・・・付き合い長いのに扱いが雑だぞ。
それよりも俺は合格したぞ!春から川野辺高校だ!」
「付き合い長いとか誤解を生むような言い方しないでよ・・・
でも、そっかぁ~~合格しちゃったんだ。じゃぁまた平野と一緒なんだね」
「"一緒"ってことは、藤原も合格したんだな」
「まぁ一応ね」
「そっか合格したんだ♪」
何を嬉しそうにしてるんだろ平野は。
そんなに川野辺高校に合格したのが嬉しかったのかな?
「藤原も今から学校に報告に行くんだろ?一緒に行こうぜ!」
「・・・まぁ良いけど」
「ほら早く行くぞ!」
「ちょっ!何を急に・・・」
平野は急に私の手を取って走り始めた。
何で手なんか握ってるのよ・・・本当平野と居ると調子狂っちゃうのよね。
と学校の入り口が近くなったところで再び名前を呼ばれた。
「美里!!その顔は合格したんだよね。私も合格したよ!」
バスケ部仲間の葉山芳江だ。
彼女もまた私や平野とは幼馴染で幼稚園からの仲だ。
「やった!じゃまた高校でも芳江と一緒だね」
「うん♪ って平野君も合格したの?」
「ああ、もちろん!」
「そっか~ だから告白とかしたんだ」
「ば ばか何言ってるんだよ」
「え?だって手とか握っちゃってるし」
「ああああ、これはその勢いだ。勢い」
「な~んだつまんない」
なんの話をしてるのやら・・・
でも告白?って何の話なのかな?平野が誰かに告白する?
あいつ・・・好きな子とかいたんだ・・・そうなんだ・・・
その後、先生方に合格を伝えた私達は折角学校まで来たんだしと中庭のベンチに座り春からの高校生活の話で盛り上がった。
「でも平野君もやるよねぇ~。森下志望だったのに美里が川野辺高校を志望したとたん志望校を変えちゃうんだもん」
「え?そうだったの?」
「そ、そういうの言うなよ葉山!」
私と同じ高校に行くために志望校変えたの?どうして?
「もう!中学卒業で区切り良いんだからこの際言っちゃいなよ!」
「え?な なにを?」
「そ そういうのは高校入ってからで・・・」
「あぁもう!美里もいい加減鈍感だよ!平野君見てればわかるでしょ?
平野君は美里の事が好きなんだって!」
「わ!ばか!」
「ふぇ?」
なにどういうこと?平野が私の事を?平野の好きな子って私?
もしかして今まで突っかかってきたのは私の事が好きだったから?
「む む む 無理ーーーー!」
思わず平野と芳江を置いて走り出してしまった・・・・
多分私の顔、耳まで真っ赤だったと思う。
人の恋バナは楽しいけど・・・自分の事だと・・・
どうしよう。明日から平野の顔まともに見れないかも。
それに・・・急に逃げる様に走り出してきちゃったし・・・多分色々と誤解されてるよね。それに・・・もしかした平野の事を傷つけちゃったかな?
高校入っても平野とは一緒だし・・・何だか不安になってきちゃったよ。
別に・・・その・・・平野の事、嫌いじゃないんだけどさ・・・
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中途半端な感じですが、合格発表の日ということで今回はこれだけです。
美里に芳江、平野君、それに本編登場の紅葉と高坂君、相良の幸ちゃんを主要キャラとした話は・・・時間に余裕があれば書くかもしれません。
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