第11話 戻った日常

「和君!早くいかないと朝練遅れるよ」

「わかったって・・・だいたい由紀はバスケ部じゃないんだから俺に合わせて学校行く必要ないだろ」

「い いいでしょ和君と"友達"として一緒に学校行きたいんだから。

 それに早く学校行って最近は自習してるんだよ。

 いつまでも和君に勉強教えてもらってばっかりってわけにはいかないからね。

 偉いでしょ!」

「・・・偉いけど、そういうのは自分で言わない方がいいぞ」

「う~ 和君の意地悪・・・」


"友達"としてとはいったものの、結局は今までと同じような感じになってしまった。一緒に登校し、クラスでは保や日岡さんらと楽しく過ごしたり・・・


ただ、全てが同じというわけでもない。

由紀は以前程、俺にベッタリしなくなったし、何より俺に頼るのを止て自分で努力するようになった。

由紀曰く"いい女になって和君を惚れさせるため"ということらしい。

早く俺に告白させて、どうしても俺と付き合いたいらしい。

由紀も日々前を向いて進んでいる。俺も頑張らないとな。


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「おはよう保」

「おぅおはよ! どうだ調子は?」

「そうだな。由紀との事も一旦は落ち着いたし、今は中間試験が心配事項かな」

「流石優等生は言うことが違うねぇ」

「はは冗談だよ。それより・・・

 色々とありがとな。今回の件、保や日岡さんのおかげだよ」


あの時、俺が由紀に会いに行かなくても、結局次の日に由紀の方から本当の事を話してくれたかもしれない。

でも、保や日岡さん、それに横田に言われたからこそ俺は色々と由紀とのことを考えることも出来たし自分の気持ちを整理することが出来たんだ。

もし、俺から由紀に会いに行かず、気持ちの整理も出来ていないままに由紀から話をされていたら、あいつを拒絶するような結果になっていたかもしれない。

"かもしれない"ばかりだけど、俺はあいつらに感謝したい。

ちなみにクラスの連中にも保と日岡さんが良い感じに説明してくれたらしい。

本当、何から何まで・・・


「気にすんな。友達だろ?」

「だな。でもありがとな」

「・・・まぁ気になるなら龍園のラーメン定食大盛くらいで手を打つぞ」

「うっ あぁラーメン定食な・・・・それくらいなら」

「あ、じゃぁ私は八宝菜定食がいいな~ デザートは杏仁豆腐ね」

「日岡さんは八宝菜定食ね・・・」


バイト代が・・・・あの店おいしいけどさぁ・・・

まぁ、今回はいいか、保それに日岡さん、本当にありがとうな。


「そういえば、月末にまた川野辺との練習試合あるからな。

 今のところ地区予選以降は1勝1敗だ。

 3年生が抜けて弱くなっていたディフェンス面もこの間の試合を見る限り改善してきたし、やっぱり強いよあいつら」

「・・・この間の試合は迷惑かけたな。俺のミスも多かったし」

「まぁそういう日もあるさ。ただ今度は勝とうぜ!」

「あぁ必ず」


俺達の代で弱くなったとか言われたくないからな。

田辺や福島には悪いけど、次は勝たせてもらうさ。



俺にとっての日常が戻ってきた。

部活に勉強、そして由紀や保、日岡さん達と過ごす日々。


由紀とは、この先付き合う事になるのか、友人のままで終わるのか、正直わからない。でも"もう無理かも"っていう思いは無くなった。

由紀が好きだって気持ちは俺の中に確実にあるからだ。

ただそれが、幼馴染としての親愛なのか、異性としての愛情なのかは今回の件でよくわからなくなった。

だから、彼女が俺と付き合いたいと思ってくれるのであれば、俺はあらためて自分の気持ちを見直したいと思う。

そして、もし由紀の気持ちに応えられるなら、その時は俺から告白をして自分の思いを伝えたいと思う。



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あとがき


ここまでお読みいただきありがとうございました。

これで当初予定していたストーリーは完結となります。

一応は紹介文に書いた通りの10話前後でエンディングと出来ました。

コメントいただいた方への返信でも書きましたが、この結末がハッピーエンドなのかは取り方次第かとは思います。

身勝手な行動で、主人公を悲しませた由紀はバッドエンドの方がという方も居るかもしれませんが、個人的に救いのない悲しいエンディングは苦手なので今回はこの終わりとさせてください(一応は初期構想のままの展開です)


この後の第2章とアフターストーリーはは私なりのハッピーエンドな展開となっていますのでバッドエンドがお好みの方はここで終了の方が良いかもしれません。

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