幼馴染の女の子は俺と付き合いたいらしい。だけどもう無理かも

ひろきち

幼馴染の女の子は俺と付き合いたいらしい

第1話 俺の好きだった人

俺の名は藤原和志。

森下学園高校に通う高校2年生だ。

成績は常に学年上位。

スポーツもバスケ部所属で人並み以上には出来ると思う。

そして、顔はまぁ見る人によるとは思うが、多分悪くは無いと思う。

そんな俺には好きな人がいる。

森田由紀。

彼女とは家も隣同士。小さい頃からいつも一緒で、家族ぐるみで付き合いがあった。所謂幼馴染というやつだ。

学年1の美少女とかいう程ではないけど、小柄で愛嬌があり良くしゃべる明るい子だ。俺はそんな彼女を女性として意識し恋愛感情を持っていた。

映画や買い物も普通に二人きりで出かけたりしていたし、彼女も楽しそうにしていたから彼女もてっきり俺にそういう感情を持ってくれていると思っていた。

でも、どうやら違かったようだ。


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とある平日の昼休み。

俺は友人の笹原 保とその彼女である日岡 恵と昼飯を食べていた。


「ねぇ藤原君 今日は由紀ちゃん来ないの?」

「あぁ何だか用事があるとか言ってたな」


由紀は隣のクラスなんだけど昼飯だけは俺達のクラスに来て一緒に食べるのが常となっていた。今日はクラスで用事があるとか朝話を聞いていた。

いつも賑やかな由紀が居ない昼休みは久しぶりだった。


そんな昼休みと午後の授業を終えた放課後。

今日は部活も休みということで保たちと3人で他愛もない話をしていると、由紀が教室に入ってきた。


「ん?由紀。今日は手芸部だろ?」

「うん。そうなんだけどね。3人に報告があって」

「報告?」

「そうなの。和君!私ねぇついに彼氏が出来たの!」

「「・・・はぁ?」」


3人。というかクラスのみんなが一瞬固まった。

俺と由紀は毎朝一緒に登校し、部活の無い日は二人で下校。

お昼休みも一緒にいることが多く恋人同士と認識されていた。

そんな彼氏と思われる男に『彼氏が出来た』と彼女がニコニコしながら報告をしてきたのだ。まぁ普通驚くよな。


「お おい森田。どういうことだ彼氏って」

「そうだよ由紀ちゃん何で?」


と笹原と日岡も慌てている。

俺に至っては突然のことでパニックになり何も言えなくなってしまっていた。


「うん。彼氏ってサッカー部の吉野君なんだけど、昼休みに呼び出されて告白されちゃったの。吉野君カッコいいし私もOkしちゃった」

「Okしちゃったって、、、、確かに吉野は学内でも人気のイケメンだけどさ」


そう。吉野は俺や由紀とも顔なじみで小学校からの遊び仲間だ。

運動神経が良く、1年の時からサッカー部のエースで今はキャプテンとして活躍している。

確かにいい奴だけど今まで由紀の事が好きだなんて素振りは無かったのに・・・

それに由紀も・・・いや、そうだな。

よくよく考えてみると俺は物心ついてから由紀にきちんと告白とかしてなかったかもしれない。長く一緒に居たせいで恋人同士になったと思っていたけど、由紀はそう思ってなかったってわけか。

そうか・・・俺は"仲が良いただの幼馴染"だから彼氏が出来たって報告したのか。

俺って色々バカだったな・・・・ちゃんと言葉で示していれば。


「よかったな・・・・」


それだけ何とか言うと俺は鞄を持ち教室を出た。

多分この時の俺は死にそうなくらいに青白い顔をしていたと思う。


「お おい待てよ和志!」

「藤原君!」


と俺を追う様に笹原と日岡も教室を出た。



「藤原ちょっといいか?」

「・・・吉野」


校舎をでて、歩いていると校門のところで俺達は吉野に声を掛けられた。

どうも俺が校舎から出てくるのを待っていたみたいだ。


「お前と森田が付き合ってると思ってたから遠慮してたんだけど、吹っ切るために今日の昼休みに森田に告白させてもらった」

「・・・・・」

「正直フラれると思ってたんだけど、まさかのOKでな・・・・

 俺はお前の事を友達だと思っている。だから聞いておきたい。

 俺は森田と付き合ってもいいんだな?」


そうか・・・俺に遠慮してたのこいつ。

それに態々俺に付き合っていいのか聞いてくるとか。律儀な奴だ・・・


「あいつがOKって言ったんなら、俺は何も言えないよ。

 色々と我儘な奴だけど、幸せにしてやってくれ」

「・・・・え? いいのか? っておい待てよ藤原」


俺は何か言いたげな吉野を無視して学校を後にした。


「おい和志!いいのかよ森田の事。

 吉野もお前の事が気になるから確認に来たんだぜ」

「そうだよ由紀ちゃんも藤原君の事の方が好きなはずだし」

「・・・ありがとう。でもなさっき考えたんだよ。

 俺はあいつのためにって色々としてきたつもりだった。

 でもな、俺あいつから恋人らしいことってしてもらったことないんだよ。

 別に見返りを求めてたわけじゃないから今までは気にしてなかったけど、結局あいつは俺の事便利な幼馴染くらいにしか思ってなかったって事じゃないのか?」

「和志・・・」

「・・・そんな」


俺の告白に言葉を失う二人。

俺は二人に話しながら、どうやら泣いていたみたいだ。

いい歳して何だかみっともないなと思いつつも何だか悔しくて悲しくて情けなくて涙が止まらなかった。

俺の初恋は終わったのかもな。

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