R 造花
造花。紙や布などで作られた花の模造品のことだ。
花を飾る必要があるが散られたり傷んでしまうと困る、大量に同じ花が必要などの用途で作成され利用されるものである。
また飾るだけではなく、作る楽しみを見出すことも可能だ。
今回はその造花がでてきた話だ。
術式した怪人の処理に困っている。とりあえずプールに沈めているが特にダメージらしいダメージもなく、稼働状態を維持している。
とりあえずたくさんの水に沈めておけば魔法の構築が遅くなるようなので沈めた状態で対抗呪文を浴びせる方法で封印しているが、対処が遅れると脱走されるような気がする。
本来は術式を解体してその機能を停止するのが正道なのだが、術式そのものの暗号化に加え、自我を持っているために近づくと襲ってくるのが問題だ。
近づきさえすればとりあえず両断する魔法で四分割ぐらいしておくのだが……。
遠隔で魔法を使う手段でも考えておくか。
まあそれは置いておいて。
今日の分のガチャを開けよう。
R・造花
出現したのは花束だった。見たこともない種類の花を模した造花の花束である。
いっそどぎついぐらいの色をつけた花の数々を一つの花束にまとめてある。
材質は不織布のようななにか。一般的に見る不織布とは品質が違うようで、その布地の表面が部位によって異なるところまで再現されている。
布地に少し触れてみたが頑丈そうだ。
さて。こういう、場所に飾って意味があるものが一番困る。
なぜかというと、効果が分かりづらいためだ。
「飾っている間微弱な効果を発揮し続ける」みたいなものが本当に多い。少し前にでた体力はその効果量でわかりやすかったのだが、あれが微増だったりすると気がつくのにどれだけかかるかわかったものではない。
かといってこちらからアプローチを試みるにしても、飾るものでしか無いためになにができるのかわからない。
景品を手に持って振り回したり、かかげたり、落ち着く場所においてみたりするぐらいしか思いつかない。
とりあえず造花の花束も振ってみたが特に何もなかった。
そして五感に訴えるような仕掛けもない。
造花ならば香りがするかと思ったのだが特になにかあるわけではない。接着剤由来のすこしツンとくる匂いがしただけだ。
まだ作られて真新しいもののようである。
飾るしかない普通のものは困る……。一目でわかるようにしてくれ。
後日。想定外なほどにばらばらになっていた。
パーツ単位で造花が分解していたのだ。
しかも、本来のパーツがあった位置にパーツを寄せるとまるで磁石か何かのように吸い付いてくっつく。くっついたら引っ張っても離れない。
そうか……パズルか……。
よりによって造花のパズルか……。
どの花弁がどの位置にあるかなんてわかるかい!
実質総当たりじゃねえか!
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