R ミサイルガード

 ミサイル。その語源は矢や投石、投げナイフなどの投射物をさす言葉だ。

 現代では推進システムと誘導システムを積んだ兵器のことを意味する。

 基地から打ち上げる大型のものや、戦闘機に積んで敵機体を攻撃するためのものなど、様々なものが存在しており、共通して言えるのは使い捨てでありながら技術の結晶のため高いということだろう。


 今回はそれを防ぐなにかがでてきた話だ。







 クローンチンピラの情報やり取りがどこかにあると術式をいじくって調べていたのだが、それによって情報の流れを追う魔法の構成式が完成した。

 何を言っているのかわからないと思うが、シンプルにいうと情報をやり取りしている魔法を逆探知するための魔法だ。


 この手の情報をやり取りする魔法には携帯電話のように、相手と自分との間に繋がりを作って特定のルールに従った形式の情報をやり取りするのだが、その片方を押さえればもう片方の情報を引っ張ってくることが理論上は可能だ。

 そうされないために繋がりの上を通る情報の形式を考え込んだり、複数の地点を経由したりなど、の欺瞞技術を使うのだが……。


 そのつながりそのものを全網羅して相手の位置を特定する魔法を作り上げた。

 情報的なやり取りを行っているなら問答無用でその座標を抜けるとんでもない魔法である。


 ただし使うととんでもない情報量が脳に叩き込まれるので機神じゃないと使えない欠点はある。

 人間が使うと頭がパーンする。うっかりなりかけた。

 全網羅してその中から相手を探す関係上、魔法の処理能力の要求がデカくなりすぎたのだ。

 インターネットでいうなら全世界のPCを調べて特定人物の居場所を調べます、みたいな力技だからな。


 出来たからには怪人もこれで見つかるだろう。

 クローンチンピラをポップさせるだけさせて情報を追ってないとかそういう離れ業をしていない限りは……。


 今日の分のガチャ開けよう。


 R・ミサイルガード


 出現したのはレイピアだった。

 薄い緑色の金属で出来ており、優美な造形をしていて、羽のように軽い。

 そして、鋭い刃を持っていた。


 普通に武器が出てきた。

 本来異能のガチャならスーパーレアあたりで出てきそうなデザインをしているレイピアだ。このガチャはゴミしか出さないのでこういう、ぱっとみ普通に見えるものが出てくると身構える。


 というか……ミサイルガード? レイピアなのにそんな名前なのか。

 あまりファンタジーで言及される名称とはいい難い。ミサイルは現代兵器の誘導兵器のほうがイメージとして主流で、どうしてもそちらに引きずられるからだ。

 マジックミサイルという魔力の弾を放つ魔法ですら、それに引きずられている。

 弾が敵を追尾して攻撃する。そういうものになりがちだ。


 で、それをガードする。

 つまり飛んでくるものを弾くとか、撃ち落とすとかそういう。

 でもこれはレイピアだ。どういう原理でそういった効果をもたらすのか。


 自動で動いて……とかではなさそう。もしそうならば手に持った時点で勝手に浮かび上がって反応し始めるはず。

 とすると振ることでなんらかの効果を発揮して攻撃を防ぐという代物だろう、か。


 そう思って、レイピアを手に持ち、振ってみた。

 レイピアは風を巻き込み、透き通った緑色の壁を作り出す。

 織った風で構築された、緑の盾を中空に固定したのだ。


 そして、それは数秒で消えた。風にさらされてバラバラになって溶けたのだ。

 盾として出現したもの自体もあまり強い風でもないし、一時的に風を固めたという印象。つまりこの盾でミサイル……ないし飛び道具を防ぐということだろうか。


 いやこれどんなものだろうか……。




 後日。兄がレイピアを使って機神の炎のブレスを弾いてみせた。

 レイピアを振って生じる風の盾は飛び道具ならなんでもそらして弾く性能を発揮したのだ。

 なんならレーザーガンのような実体のない攻撃すらその弾道を曲げて弾いたのだ。


 思ったよりも強力……というかこれなにかのゲームの装備では……?

 ゲームにありがちな装備品の特殊効果的な……。

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