R 星の砂
星の砂。それは極めて小さな有孔虫の死骸が砂のように堆積したもののことだ。
小さい星型が無数に集まって砂浜を形成しているため、よく観光地などになり、そしてその砂は小さな瓶に詰められて販売される事が多い。
今回は星の砂がでてきた話だ。
怪人の新たな痕跡を発見することに成功した。
クローンチンピラの術式にのこった魔力の痕跡を利用して、使用者の動きをトレースする方法が使用できたのだ。
最も、相手も相応の術師であり、魔力を散らす、性質を変えて残りづらくする、そもそも使う量を減らすなどの対策をしていた。
だが、機神の演算力はそれを超えていく。
微細な魔力の痕跡を緻密に追いかけ続けるという、常人には不可能な離れ業で相手の存在しうる場所の可能性をプロットするのに成功したのだ。
ただ追いかけている痕跡が微細なので、洪水のハザードマップのように、いる可能性の高い場所を色分けする程度だが。
それでもそのあたりにいる……はずなので、かなり追いかけるのに楽になるはずだ。
尻尾は掴めた……か?
よし、ガチャを開けよう。
R・星の砂
出現したのは小瓶だった。中に赤黒い砂のようなものが詰められている。
通常、星の砂と呼ばれるものは白っぽい。元が生物の骨格に近いものであるため、カルシウムの白色が中心になるのだ。
だが、これは赤黒い。
虫メガネで拡大して見ると、星の形をした砂が収められているのが見て取れる。形そのものは星の砂のそれと同じで、それ自体に変わったところは無い。
ただなぜか赤黒いだけだ。
こうなると二択に分かれる。この赤黒さがガチャの景品としての性質なのか、あるいはガチャの景品としての性質が現れた結果なのか。
何が違うかと言うと、前者なら赤黒い色がついているだけ。だが後者だと、なんらかの異常性質が本来白い星の砂を赤黒く染めているのだ。
どっちかはわからない。だが後者であると仮定して調べたほうが良さそうである。
なぜなら、前者ならただの色付き星の砂でしかないので、何かが問題を起こす可能性ないが、後者だった場合見逃したら問題を起こす可能性があるのだ。
というわけで傾けたり、光にかざしてみたり、振ってみたりしてみた。だが特に反応はない。
少しザラザラとした音が気になったが、それだけだ。
とすると、と思って私は星の砂を両手で覆い、魔力を込めてみた。
すると、パチ……パチ……と火花のような音がビンの中からし始める。
星の砂は発熱し、赤くなっていた。
時々弾けて小さな火花を上げている。
なるほど……。魔力で発火する素材、と。
魔力量によって火薬のように破裂するのかは微妙なラインだが。
魔法世界のお土産かなぁ……?
後日。兄が景品の星の砂を生成した。
星の砂といくつかの魔法的な素材を合成することで、パチパチと火花を上げるあの赤黒いものを作り出したのだ。
だからってなにになるとはわからない。魔力量を増やしても火薬として使えるほどのものではなかったからだ。
だから何を考えて再現した素材を作り出したのかもわからない。
基部の街にお土産として置く? そう……。
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