SSR MRポータルゲート

 MR。複合現実といって、仮想現実と現実の情報を重ね合わせることで高度な情報のやり取りを可能にする概念である。

 概ね拡張現実のちょっとすごい版ぐらいの理解で問題ない。

 新技術ゆえの過渡期で概念が整理され切っていないものなのだ。

 そのため、これから先どうなるか読めない部分でもある。


 今回はそれ……を名乗るなにかが出てきた話だ。





 組織の部署をガンガン解体して小さい組織を作って割当していく作業を始めた。

 なんだかんだ裏に潜んで世界を回していた人材どもである。

 遊ばせているのはもったいない。


 つまりはまあ、都合のいいように動かせるように人員配置しているというわけだが。

 どいつもこいつも尖った人員ばかり、しかも戦闘職多め。

 他には潜入工作員が多いのは動かしやすくて助かる、という感想が出てくるほどだ。


 マッドサイエンティストがグロス単位でいるわ、世が世なら救国の英雄になってるやつが同じぐらいいるわ、大国の官僚組織としてそのまま動かせるような人員はいるわ。

 どういう組織を作ればいいのかわからんレベルである。


 だが、わかることはある。

 こいつらをひとまとめにしていると、善意で盛大にやらかす。

 ほぼ間違いなく。


 なので分割して小さい組織をいっぱい作るのだが……。

 管理、できるんだろうか。

 まあ機神なら行けるか……。


 それは置いておいて。

 今日のガチャを開けよう。


 SSR・MRポータルゲート


 出現したのはノートパソコンだった。

 やたらめったらに大量のケーブルに繋がれたそれは、どこかで見たことのあるような色合いの筐体をしている。

 ……いや、どう考えてもVRMMOのサーバーと同じ素材で出来てるよね。


 そして、名称。

 紙にかかれたのはMR、ミックスドリアリティ。

 どう考えてもあのサーバーに関係ある代物だ。


 しかもポータルゲートってなに。

 ノートパソコンにはあるサイトのようなものが表示されていて、それは確かにポータルサイトのようなデザインにも見えなくもない。

 というかVRMMOのポータルサイトはARのサーバーが出現したときに自動生成されたからもうある。

 だが、それとは別のサイトだ。


 そのサイトには様々な場所が表示されている。

 その地形はどこかで見たような……どこだっけ?

 とりあえず、試しにクリックしてみると。


 パソコンをおいているテーブルの隣に突如、扉のような形のゆらぎが現れた。

 空間そのものの繋がりが書き換えられた、とかそういうイメージのゆらぎである。

 縁が揺らいでおり、そしてその枠の内側には、クリックした画像の場所が見えていた。


 ……。

 空間転移系かぁ……。

 別の場所と空間を繋げて移動する、どこでもドア的なやつ。

 そう思って、そのゆらぎの向こう側を覗いてみたのだが。


 その先にいたのは、見覚えのあるロボットがモンスターを追いかけ回している姿。


 はい。

 VRMMOのロボットじゃんあれ……。

 というか追いかけ回されてるモンスターもVRMMOのやつじゃん……。


 ということはこれは。

 あのVRMMOの中に生身の肉体で入れるモノ。


 ミックスドリアリティってそういうことじゃなくない!?




 翌日。兄があの扉を出現させる位置を変える方法を見つけた。

 事前に設定してやることにより、好きな位置に扉を出現させられるようだった。

 そして、現実⇔現実間、現実⇔VRMMO間、VRMMO⇔VRMMO間で移動が可能なことも判明した。


 ようは好きなところに配置できるワープゲートだ。

 やばくない要素がない。


 というか、事実上のフロンティアとして使えてしまう。

 VRMMOであるから土地も資源も好きなように設定できる。

 そしてそれにゲートを開く。

 資源を収奪して持ち出す。

 それが割と簡単にできてしまう。


 植民地にするのもほぼ同じ動きで可能。

 土地の安全も繋がりも自由自在だ。


 土地と資源なんか、すでに持て余してるんだよ!

 新しく利用できるようになっても困る!

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