R レトルトカレー
レトルト。元々は釜を意味する単語が、加圧過熱殺菌の意味を付与され、最終的にその調理法で作られた保存食を指す言葉になったものだ。
現在様々な保存食が存在し、その中で特に様々な種類があるのはカレーである。
そのおかげでどこでも美味しいレトルトカレーが手に入るというわけだ。
今回はそのレトルトカレーが出てきた話だ。
あ、あああああー!
神器が想定外の挙動をし始めた。
いや、想定通りの挙動をしているのだが、前提条件が想定外の形になってしまったために、想定の範囲を逸脱してしまったのだ。
なにが変わったかというと、属国。
霧星にある組織の属国が、効果範囲に加わっていたのである。
向こうの国にはまだ気が付かれていないし、劇的な効果を発揮している様子もないが、効果があるのは事実。
ええー。どういうことなのか。
組織の属国を認識して、それを管理下に入れたのが原因なのか。
多分それが原因だとは思う。
管理下にないなら属国ではないしな。
属国として機能するようになった結果、一つの国を対象とする神器は、属国を国の傘下にあるものとして認識し、効果範囲としてしまったのだ。
これだと帝国主義だよー。
形が変わりえるものを神器の対象にしたのが失敗だったか。
それとも惑星間の距離を無視できるほどに広い効果の射程が問題なのか。
学習効率増加だからまだマシだが……。
効果範囲が広がればそれだけ神器が集められる信仰は増えてしまうわけで。
厄介なことにならなければいいが、多分無理だな。
現地の神格を無自覚に支配してるぐらいはありそう。
とりあえずそれは置いておいて、ガチャ開けよう。
R・レトルトカレー
出現したのは銀の包みだった。
レトルトパウチである。
その表面にはカレーとだけ書かれており、袋ごとレンジで温められることも記載されていた。
しかも、なんかパンパンに詰まっている。
やわらかクッションの類じゃないんだから、と言いたくぐらいにパンパンだ。
封を切るのにこんなに入っていると手が汚れそうである。
とりあえず開けてみるか。
最悪冷蔵庫に入れておけば兄が食うだろう。
そう思って、兄が作った木皿に向けて封を切る。
傾け、中身を流し出すと、その量は明らかにおかしかった。
一般的なカレー皿サイズの木皿に並々と盛り付けられたカレー。
一向に中身の減っていないレトルトパウチ。
ははーん。
もしかしてこれ、無限にカレーが出てくるな?
後日。兄はカレー工場にレトルトパウチを組み込んだ。
逆さにしたレトルトパウチから垂れ流されるカレーを詰め替えるだけの簡単な工場である。
そんなの作ってどうするんだよと思うが、兄も何も考えてないと思う。
いや、一応エルフとかの食い扶持がないわけではないのでこの手の食料生産はないよりはマシなのだが。
たちの悪い量生産するので消費しきれないと思うのだが。
え、ダンジョンに食わせてリソースにする?
そう……。
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