R サイバーウェア
サイバーウェア。ある種のSF作品では、かなり気軽に人体改造をし、肉体の一部として機械を埋め込むことがある。
その機械のことをサイバーウェアと言ったり……まあ色々だ。
固有名詞は作品によって異なる。
このサイバーウェアの厄介なところは肉体の一部に取り付けている割に、作品の世界観の一部としてかなり軽率にハッキングされるところだろう。
人体をなんだと思っているんだと言いたくなるレベルで扱いが悪い。
今回はそのサイバーウェアが出てきた話だ。
例のあのVRゲームに大型アップデートが入った。
いつ開発していたのかと言いたくなるが、まあそれには言及しないでおこう。
機神の演算能力を持ってすれば、そもそも人類が作るゲームの9割は3日で作れるからな。
で、その入った大型アップデートというのが……中世ファンタジー風のマップの追加だ。
開始当時から泥臭い世界観に対して一部のプレイヤーから苦情……というか要望が来ていたというのはあるが、まさかここで大幅な世界観の転向をやるとは思わなかった。
これまでのゲームマップとは隔絶した別システムのマップになっているそうだが、それって実質別ゲーを作っただけですよね? と言いたくなる。
まあ兄の企画ならそれぐらい普通にする。
機神の演算能力にまかせてそれぐらい作る。
ご丁寧にシステムアシストで使える魔法まで別系統にしてあるあたり本格的だ。
ゲームシステム的に実装したため、使っても現実で魔法が使えるようになる可能性がないのもグッドだと言えよう。
まあ、運営が運営なので、全く告知なしに実装されたので評判は芳しくないが。
やったプレイヤーにはウケはいいみたいだが、それ故に余計……。
まあ変なことにならないならそれでいいか。
どうせこんな怪しいゲームやってる連中は長期的には気にしない。
今日の分のガチャを回そう。
R・サイバーウェア
出現したのは……なんだこれは。
ヘアバンドのような形状をした、機械のようなものだった。
内側に細かい針のようなものがたくさんついていて、つけると頭に突き刺さってしまいそうである。
少しだけ盛り上がった部品に非接触式の端子が配置されているように見える。
……で、これの名前がサイバーウェア。
と、いうことは……これ、頭蓋に直接装備するとかそういう、SFの人体改造系の機械ってことか?
つけるだけでも痛そうだし、なんならつけたあとも頭皮がゴロゴロしそうである。
というか、
接続した機械が劣化したらそのまま健康問題に繋がるし、なんならその機械がサポート終了した時点で問題を抱えてしまう。
昔のSFで脳をナノマシンで置き換えるみたいなのもあったけど、アレはアレで型落ちしたらどうなるんだって話も聞く。
どう考えても取り替え効かないよね?
で、このサイバーウェアは……最悪だよね。
脳に思いっきりぶっ刺さるタイプ。
一度刺したら最後、死ぬまで抜けなさそう。
しかも錆びそう。
ろくでもないなぁ、SF。
まあこういう侵襲式の代物を使うのはサイバーパンクなヤツが多いけども……。
後日。兄が機神に技術的な解析をさせた結果、あのサイバーウェアの機能が体温調節だということが分かった。
……素直に服にヒーターやらヒートシンクやらを仕込む形式で良かったのでは?
あと、技術的に複製できるからって、兄は非侵襲式……要はVRヘッドセットの応用……に作り変えて生産した。
なお機能は体温を調整できるだけで、かなり体調が悪くなる可能性を機神が上げていたため、そのまま倉庫行きとなった。
そ、粗製じゃん!
侵襲式な上に、粗製って!
ゴミじゃん……!
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