R 手乗り牧場
ボードゲーム。それは様々なルールを持つ卓上遊戯である。
ボードに乗せる小物はトークンと呼ばれ、ゲーム上で様々な役割を割り振られる。
例えば点数の計算だったり、専有した場所を示すコマであったり、現在の所有するリソースそのものであったり。
また行動権そのものだったり。
なんであれ、盤上を彩るのはトークンである。
今回はそのボードゲーム……? のようなものが出てきた話だ。
七界統率機構が宇宙エレベーター基部に潜り込んでいた。
各国に存在するコネクションを利用して、調査団の人員に入り込んでいたのだ。
というか七界統率機構の敵対組織も入り込んでいる模様。
世界中に根を張っている組織なんだな……と実感するとともに、それがガチャの一存で一夜にして出現したものだという事実に恐れ慄く。
ある日突然、親友が出現するようなものだ。
自分も親友だと認識しているが、それが昨日作り上げられた記憶でしか無いという。
普通に怖い話だと言える。
というかガチャによる景品の出現が現実時間軸に依存しないの本当に怖い。
今日引いたガチャの景品が昨日出現したことになる、とか普通にありえるのだいぶヤバイやつだ。
いや、すでに起こっていたりしないだろうな?
いやいや……ありえないものが出てきた……あっ。
それと思しき代物……ある……。
いやいやいやいや。
考えるのはやめよう。
今日の分を片付けてしまうことにする。
R・手乗り牧場
出現したのは……なんだこれは。
プラスチックで出来たボードゲームのボードのようなものだった。
アスレチック系の、鉄球を転がしたり、ギミックを起動させたりすることで動かすタイプのような見た目だが操作盤に相当する部品は存在しない。
なにより……中にたくさん、ボードゲームのトークンのようなものが入っているのだ。
特に牛型のトークンが多い。
その牛型のトークンは……、明らかにちょこちょこと動いている。
トークン全体が跳ねる事によって動いているように見せかけているのだ。
……。
なんだこれは。
いや、本当に何なんだ。
紙には手乗り牧場と書かれてはいる。
だが、まさかトークンサイズの生き物……というかトークンを飼っている牧場がこれだとでも。
そんな気がしてるなぁ。
透明なプラスチックの蓋がハマっているため、手に触れる事はできない。
操作盤がないということは完全にスタンドアロン、ビオトープのように手出し不要ということだろう。
ちょこちょこ動いているのはかわいいように見えるが。
動いているのは木で出来た物だ。
当然、釈然としない。
……そもそもこれ手に乗らなくない!?
野球盤ぐらいあるんだけど!?
後日。兄が自作したイカのトークンを手乗り牧場の中に無理やりねじ込んだ。
するとどういうわけか、入れたイカのトークンが動き出したのだ。
ビチビチと地面を跳ね、周囲にいる牛のトークンに襲いかかる。
クソ映画かな……? と言いたくなるそのイカのトークンはバリバリと音を立てながら牛のトークンを食らい、徐々に巨大化していった。
イカってそういう生き物じゃなくない? という疑問もよそにプラスチックのフタに届くまで巨大化したところで、つっかえて動かなくなった。
いやいやいやいや……何だったんだ。
何が起こったのかわからないし、なんで兄がそんなことをしたのかもわからない。
なんなんだよこれ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます