R インスタント麺製造機

 インスタント麺。それは揚げるなどの長期保存に適した方法で調理し、手軽に食する事ができるように加工した麺のことだ。

 熱湯で煮るだけでラーメンが食べられるため現代の日本では広く普及しており、その種類も膨大である。

 また手軽に作れるということは要素を付け足すことも簡単ということで、様々な野菜や肉などを一緒に調理して栄養バランスを整えることも簡単だ。


 今回はそのインスタント麺を作る装置が出てきた話だ。







 都市計画は順調に進んでいる。

 ダンジョンパワーで街の建造物をゴリ押し生産できるんだからそりゃ当然というべきではあるが。

 当初の予定を5年単位で前倒しで進めている形になっている。


 だってまあ……大学の建築とか普通数年掛かりだからね。

 調査団の参加国だってそのつもりで計画を動かしているはずだ。

 建築できたところから、発言力の大きい国が先に入っていく……みたいな絵を描いていたはずだ。


 その大学が一瞬で出来上がってるんだからもうめちゃくちゃである。

 うちが入る、いやこっちが先だと変な揉め方をしはじめかねない。


 というか、すでに各国の大使館にあたる建物は置いてあるのだが。

 ちょっと研究設備に飢えすぎでは?

 いや、最新技術……というか宇宙エレベーターから与えられた技術をいちいち持ち帰って研究とかクソめんどくさいのか。

 そうじゃなきゃ客船に機材積んで船寄せたりしないな。

 研究者連中も可能な限り居座りたいとか考えてそう。


 うーん、まあいいか!

 研究が進むぶんには大歓迎だ。

 なんたって進まないことには機神の技術開示出来ねえからな!

 ガンガン研究してくれ!


 さて、私はガチャを回そう。


 R・インスタント麺製造機


 出現したのは台所程度の大きさの機械だった。

 化粧板などが施されていない金属の筺体は、工場の機械を思わせる。


 うーん機械。

 ここのところ機械が複数出ているような気がする。

 まあそれは別にどうでもいいっちゃどうでもいいのだが。


 で、なんだって?

 インスタント麺製造機?

 調理系の景品はだいたいろくでもないんだよなぁ。


 どれぐらいろくでもないって……ほら、手を触れてすらいないのにすでに勝手に動き出しているところとか。

 結構な音を立てながら動いているので触るのも危険な状態だと言える。


 なにか改造手術でもしてんの? それとも廃材の解体でもしてんのか? みたいな音を立て続けている機械は、突如チーン、という音とともに吐き出すように小さな袋を放出した。

 それは……コンビニなどでもよく見るインスタント麺の袋だった。


 うわあ、無から生産するタイプだこれ。

 しかも出力したのは……なに?

 「横浜一丁 チンゲン菜と空気味」?

 ふざけてんのか?


 なんだよその……パチモノみたいな名前は!

 ついでにチンゲン菜と空気味ってなんだよ!

 なんで混ぜた!


 わけわかんねえ……。






 後日。兄が色々投入したりした結果。

 まともな味が出力されることはない事が判明した。


 というのも、この機械。

 投入された物とランダムで選択された物との混合でインスタント麺を作り出すのだ。

 必然、わけのわからない組み合わせになる。


 味噌とコーラ味のインスタント麺とか。

 醤油とローストビーフ味のインスタント麺とか。

 かまぼこと粉砕豚骨味のインスタント麺とか。


 しかもこれらはまだ食えるものが混ぜられているだけマシである。

 ランダムで選択される味には、人間が食していいものではないものが平気で混ざるのだ。

 確率自体は低いが。


 で……兄は兄で、比較的マシそうな組み合わせのインスタント麺を試しに食って「まずい」と言っているし。

 そりゃまずいだろ!

 どう見てもまずい組み合わせしか出てないじゃん!

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