R ボードゲームNo.23

 ボードゲーム。紙でできたボードに様々なコマを配置したりして遊ぶ卓上遊戯の一つである。

 日本だと人の一生を戯画化してろくでもない人生を送らせるボードゲームが一強でそれ以外のボードゲームというとマイナーなものとなってしまう。

 一方欧米では大人向けの遊戯として様々な商品が存在する。

 土地の所有権を巡って経済戦争を繰り広げるものや、デッキを構築することそのものをルールに組み込んだものなど、様々な物が存在するのだ。


 今回はそのボードゲームが出てきた話だ。








 兄が裏でコソコソとなにかをしていると思ったら、ペーパーカンパニーを複数作成するとかいう、これからやらかします! と言いたげなことをやっていた。

 それもアメリカと日本とドイツの三カ国でだ。


 何をするつもりなのかと思っていたのだが、兄はVRヘッドセットを生産して売ることを諦めていなかったのだ。

 なので現在の人間にわかるように情報を限界まで分解した設計図をその会社越しにわざとさせた。


 この流出に焦ったのはゲームハードを作っている会社や、スマホのOSを作っているような会社だった。

 兄が投げた餌に食いついたとも言うが。


 あまりにも先進的で理論すら影も形もないようなものが木っ端の会社で研究されていたのだからそりゃ焦る。

 一応機神から提供された技術の中には混ざっていたが高度すぎて研究できなかったものが、だ。

 結果、どこの会社も慌ててそれの研究に取り掛かる事となる。


 機神で生産して売れないなら、誰かに売らせればいいみたいなノリでそんな事する普通!?

 でもまあするから兄なんだよな……。


 まあ、直に供与して便宜図ったと思われるよりかはマシ……か。

 時々こういうことするから警戒する必要があるんだよなぁ。


 はー。

 まあいいか。

 ガチャ回そ。


 R・ボードゲームNo.23


 出現したのは箱だった。

 箱には「No.23」とだけ書かれており。プラスチックのパーツを積み上げていく様子がイラストで描かれている。

 ただ……その……すごくいびつです……。

 積み上げられた城のようなものは明らかに重力に逆らっている。


 ええー……?

 しかもこのボードゲーム、対戦ゲームのようだ。

 なになに……?


 城を作り上げてぶつけ合う……?

 遊び方がそのやたら不安定な見た目に反して乱雑!


 ううーん。

 兄とやってみるか……。





 後日。兄と時間を作ってあのボードゲームで遊んでみることにした。

 毎手番ごとに城のパーツを5つランダムに獲得し、そのうち3つを自分の城に増設するという、何をどうやってもメチャクチャな構造になるルールだ。

 これで5順行って自分の城を作り、相手の城を破壊する……というゲームなのだが。


 ぶつけるたびにガンガン外れ、そのたびに手番を繰り返して増設し……という、本当にどうやってくっつけているのか、どうやってぶつけるたびに動かしているのか、と言いたくなる凄まじいゲームだ。

 だって引いてパーツを選ぶ以外に城に手を触れていないのだから。


 パーツごとに異なる武器がついているのもメチャクチャさを引き立てる。

 なぜか槍やら剣やら近接武装ばかりで、ろくな遠距離武器がないのも気になる。


 というかこれボードゲームか!?

 なんというか、そこはかとなく携帯ゲーム機のゲームみたいな匂いがしてるんだが!?


 城と城の殴り合いは激しくて見ごたえがあるとは思う。

 パーツの選択も戦略性がある、ように感じる。


 それだけに余計、こう……。

 狂ってるよねこれ。


 シンプルに様子がおかしいゲームだ。

 超技術って感じでもない。

 ってことは、これはガチャのオリジナルボードゲーム……?


 それが少なくともあと22個は存在するってこと!?

 これまでこれ以外一個も出てないのに?


 絶対出てこねえだろ……。

 ICチップのときより私はそう思ったのだった。

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