SR マギコンピュータ
マジックパンク。いわゆるサイエンスフィクションの派生系である、蒸気機関がとてつもない発展を遂げたスチームパンク、の発展型である。
これは魔法という現実に存在しなかった技術が突然出現、ないしはじめからあった魔法が産業革命のように大発展した結果の世界を描く作品のことだ。
ファンタジーと異なるのは、魔法を前提とした社会の構築に重きが置かれている点だろうか。
世界観だけがマジックパンクで話自体はそれほど重きを置かれていない作品もあるにはあるが。
今回はそのマジックパンクの産物が出てきた話だ。
ああもう、兄が浮遊大陸を作って何かを企んでいると思ったらこれかよ。
兄は国連向けに浮遊大陸を貸与するつもりなのだ。
静止衛星軌道上に浮かぶ浮遊大陸はステーションに機材を外付けするよりも遥かに利便性が高い。
理解不明な原理で大気が固定されているだけなので、ロケットを建造すればそのまま飛び立てるのだ。
回収も減速しながら浮遊大陸に落とせば簡単に行える。
大気の厚みは100メートルもないからな。
確かに便利は便利だが……。
いや、静止衛星軌道ステーションでもあんだけ驚いていたんだからあんなもん提供したら腰抜かすぞ国連が。
変な揉め方しそうでやめてほしい……が、ステーションの貸し出しもそれはそれで管理できなさそうではある。
宇宙開発向きのハッチには限りがあるからな。
また、ステーションと接続できる規格が実はまだ地球の技術だと作れない。
そういう意味では……まあ、浮遊大陸を貸与したほうがマシ……ではあるのか。
いやあ、でも揉めそうだなぁ!
はー。
ガチャ回そ。
SR・マギコンピュータ
出現したのは指でつまめるほどの大きさのクリスタルだった。
長さ6センチほどの直方体で、その表面には複雑なカットが入っている。
透き通った赤色の結晶構造が美しい。
で……だ。
私、これ触った瞬間に分かっちゃったんだよな。
私のもともとあったそれなりの才能に才能の卵でブーストされた、おそらく人類の限界を凌駕した魔法の才能の影響だとは思うんだけど。
これ、兄が必死こいて作ろうとしていた魔法の詠唱機だわ。
結局詠唱が出来る宝石型のモンスターを作って解決していたが、本当はこういうのが作りたかったのだ。
出来ることは魔法の制御と構築の補助、あとは一部の魔法の自動実行である。
使用者の魔力を貯蔵して、それを燃料代わりに動作するようで。
しかもさぁ。
魔力でいじると中にユーザーインターフェースがあるみたいで、なんとなく読めるんだよね。
頭の中にメニューとか、スマホのホーム画面みたいなのが開く感じ。
うーんこれすげーわ。
今の私よりもすごい魔法が、魔力を注ぐだけで使える。
手頃なところでいうと……金属加工?
原子配列並べ直して理論値強度を発揮できる完全な金属を作り出せる。
このマギコンピュータの演算力だけでそれが出来てしまうのだ。
それで終わればよかったのだが……。
ユーザーインターフェースの中に、ガッツリこのマギコンピュータの設計図が入っている。
なんなら材料を揃えればボタン一つと魔力で簡単に作れてしまう。
絶対兄が量産するじゃん!
後日。やっぱり兄が量産した。
よっぽど才能がない人間でもない限り誰でも魔法が使える代物を兄が量産しないわけがなかった。
もう持たせるだけで魔法の構築技術が向上するため
しかも相互でネットワークを形成するようになり……
統括するのは機神だからほとんど機神の演算力が倍に増えたようなもんである。
しかもそれが魔法と魔力運用に特化した演算器となると。
もう魔法だけで北半球をまるっと吹き飛ばせるようになってしまった。
はっきり言って過剰火力である。
本当に何に使うんだよそれ、という物を手軽に用意するのはどうかしている。
思いついたから作った、って本当にやめてくれよ兄ィ!
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