R 聖剣(贋作)
贋作。本物を写し取り、その真贋を見極められない相手を騙して売りつけるために用意されたモノのことだ。
その都合、制作には技量が求められる。
逆に言えば写し取れるだけの技量があればいくらでも作れるものであるので当然本物の価値とは比べ物にならない。
最も、中には贋作が有名になってしまった結果、その贋作を贋作として展示する芸術家も存在する。
今回はその贋作が出てきた話だ。
聖剣の。
ついでと言わんばかりに兄は宇宙エレベーターの塔に当たる部分を改装した。
円筒状の内側に大地が広がる、世界樹の中と同じ光景にへと。
様々な地形や環境に富んだ土地である。
アニメなんかに出てくる円筒型のスペースコロニーをイメージしてもらえればい大体あっている。
あれの採光用の窓の部分まで土地が広がっていて、3万6000キロメートル続いているようになっているだけだ。
まあダンジョンだから出来る無茶だ。
太陽光も入ってこないのに光で満ちているのも、足りない水を循環させているのも、植物を配置しているのも。
本来維持出来ないがダンジョンなので。
地下に高温の砂漠を展開することも可能である。
細かい調整は全部機神がやってくれる。
環境同時の接続や空気対流などの環境要素を整えるなど、だいぶ高度な計算を行っているが、まあ機神の演算能力なら問題ない。
というか、これまで機神がやってくれていたから改装機能の要素追加に気が付かなかったというか。
口頭で言ったらやってくれてたからなぁ。
さて、私はガチャを回してしまおう。
R・聖剣(贋作)
出現したのは……聖剣……聖剣? だった。
かなり前に兄が切断した選定の剣のものと同じ柄と刀身の色合いをしている。
刀身も折れておらず、きちんと研がれているように見える。
んだけども。
なんか、異様に軽いんだよなこれ……。
手応えを感じる重量ではあるが、剣と呼ぶには軽すぎるのだ。
試しに爪で叩いてみたら、空っぽのプラスチックのような音を立てる。
玩具のプラスチックの剣を叩いたみたいな音だ。
しかも百均で売ってそうなやつである。
見た目はしっかり本物っぽいんだけどなぁ。
指で圧力を掛けるとプラスチックよろしく凹む。
なんなら曲がる。
プラスチックでは再現できないだろう刀身の鋭さや装飾の細かさまで再現してあるから相当作りはいい。
どれぐらい作りが良いかと言うと……。
木材をすっぱりと切断してしまう程度には。
聖剣と比べるまでもない程度の切れ味だが、普通の剣よりは優れている。
まあ、振るたびになんかヴオンヴオン音を立てるんだけどな!
後日。兄が聖剣(贋作)からビームを出した。
妖刀を組み合わせて選定の剣からビームを照射していたが、贋作でも試しやがったのだ。
結果はというと、成功。
激しい光を放って木材を発火させることが出来た。
まあ問題はそれに聖剣(贋作)が耐えられなくて溶けたことだけどな!
まじでプラスチックで出来ていてビームの熱に耐えられなかったのだ。
溶けたプラスチックを調べてもただのプラスチックとしかわからず。
なんであんなに精巧に作れていたのかどうして剣として振るえていたのかもさっぱりわからない。
あと、どこからブオンブオン言ってたのかわからない。
中身は空っぽで、なんの機械も入っていなかったのだ。
なんなんだよほんと!
贋作に変な技術入れてくるの、なに!?
というか、本物の聖剣でもそんな音しないでしょ!?
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