R コーヒーメーカー

 コーヒーメーカー。それは自動でコーヒーを淹れてくれる機械だ。

 方式は様々だが共通するのはお湯を自動で沸かして、それをコーヒーの粉やカプセルに合わせるところだ。

 お手軽に淹れたてコーヒーを楽しめるということで、様々な商品が存在する。

 コーヒーを飲む頻度や、手入れの手間、コーヒーの淹れ方などと相談して決めるのが望ましい。


 今回はそのコーヒーメーカーが出てきた話だ。








 兄がダンジョン管理のメニューを眺めていると、宇宙エレベーターの内部を改装する機能があることに気がついた。

 宇宙エレベーター単独では、専用道路しか選択できなかったのだが、世界樹と同化した結果様々な地形情報を取得。

 その結果、ダンジョンの内部を改装する機能によって異世界を展開することが可能となったのだ。


 基部のスペースが圧迫している現状、兄は躊躇なくそれを展開することを決めた。

 展開した地形はコロニー。

 いわゆる宇宙で生活するための場所であり、静止衛星軌道ステーションの内側に広がっている地形そのものである。


 問題があるとすれば、天井に当たる窓からなにか違う星空が見えてるってことかな。

 サメ機巧天使シャークマシンエンジェルに調査させたら、どうも基部の位置から見えるはずの宇宙の光景らしい。

 大気と太陽を無視して宇宙をそのまま目視できる状態になっているわけだ。


 微妙に解放しづらい感じになってしまったが、兄はまあこれでいいかとか言ってる。

 適当すぎる……。


 まあ空間問題は解決した。

 最大拡張したら現状のプラットホームの倍ぐらい広くなったからな。

 基部内部は基部の内側にあるものだから当然基部より狭いはずであるが。

 ダンジョンだし普通か……。


 ガチャを回そう。


 R・コーヒーメーカー


 出現したのはコーヒーメーカーだった。 

 それもカプセル式のもので、カプセルをセットして水を入れるとコーヒーが出てくるやつだ。

 コーヒー以外にも紅茶なんかも淹れられるらしい。


 あと、それとカプセルが箱でついてきている。

 どれどれ……。

 エスプレッソやら、なんか色々コーヒー類が12個ほど。

 紅茶やら緑茶やらが6個。

 あと……。

 オレンジジュース、牛乳、タピオカドリンク。


 オリーブオイル、クレオソート、ガソリン、重油。

 液体経験値、そして液化


 ああ、うん……。

 なるほどね……。


 ろくでもないやつだわこれ。

 使わなくてもわかるやつだ。


 もう見るからに装填したカプセルの液体を出力するやつじゃん!

 重油とか出したくねえよ!








 後日。兄が液化知識を装填して淹れていた。

 淹れられた液体は透き通った黒色というべきか、なんというか微妙に形容し難い色合いをしている。

 兄はそれを……サメ機巧天使シャークマシンエンジェルに飲ませた。


 流石に自分から飲む愚を犯さないというか、それならサメ機巧天使シャークマシンエンジェルにも飲ませるなというか。

 飲まされたサメ機巧天使シャークマシンエンジェルは爆発的な知識の奔流に翻弄されたのか、しばらく動かなくなった。


 再起動したあとのサメ機巧天使シャークマシンエンジェルはなんというか。

 動きにこころなしかキレがましているような気がする。

 というか、獲得した知識を機神が全部吸い上げてまとめているのだがこれがまたちょっとやばい知識というか。


 邪神系のやつなんだよなぁー!

 魔法と組み合わせると無限に悪さ、というか簡単に世界を滅ぼせる知識である。

 精神の壁を壊して一つに溶け合うための方法とか、心の壁を具現化して盾にする方法とか。

 精神という概念を瓦解させるための100の方法が載っていて、本当にろくでもない。


 だから……な?

 二杯目行こうとするな兄ィ!

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