UR 無限連結式転移ゲート その7
人々は利益を求めて争う。感情すらもそのための道具に過ぎない。
より有利な地位を、より多くの富を、より優位な道徳性を。
そしてそれらを調整し、可能な限り現実的な形に落とし込むのが政治の仕事である。
そこには高い論理性が求められるだろう。
そこには広い知見が求められるだろう。
そして、その理想の政治家にたどり着けている人間など一人もいないだろう。
今回はついに開放することになった話だ。
そういえばガチャから出てきた新惑星だが、いつのまにやら俗称がついていた。
日本だと
地球から観測すると霧に包まれているように見えるのと、突然現れて情報が霧に包まれていることから来ている名称である。
いや、霧に包まれているように見えるのは、地球と比べると雲が多いからである。
ぶっちゃけ宇宙から見えれば地球もだいぶ霧に包まれているように見える。
宇宙のスケールをなめているのか? と言いたくなる名称だ。
正式な名称を誰が決めるのかで揉めているとかそういう話も聞いたが、どうでもいい話である。
命名するだけでも一大事、権威を握る握らないの騒動はろくでもないだけだ。
ガチャレクシアで聞いたときはそもそも世界が1つに閉じているという意識がないために名称がなかったしな。
名前の話は置いといて。
ようやっと宇宙エレベーターの準備が整った。
準備が整った、というか、人様を招いていい感じに見せられる程度の環境を整えられたというべきか。
まだ静止衛星軌道ステーションまで安全に人間を運ぶ準備が終わっていないが、基礎部を開放できる程度には整ったのだ。
四六時中カメラでデバガメしようとしている奴らがいるのでそれに気付かれないようにダンジョンの機能で環境を整える作業は……面倒だった。
いや、やってたのは兄と機神だが、まあ。
なにかにつけてどんな建物が必要か聞いてくるのでめんどくさかった。
おかげで基礎部にコンビニみたいなものができてしまった。
コンビニと言うにはいささかデカいが。
ホームセンターぐらいある。
売っているものはダンジョンの物品だ。
武器防具は売れないので、炎の力を秘めた鉱石であるとか、水につけると発電する石だったり、エリクサーだったりを並べている。
しかもダンジョンで生成したものなので不純物が皆無で、無菌状態だ。
一緒に食べ物も売っている。
ガチャレクシアにあった食べ物をアレンジしたものばかりである。
ぶっちゃけダンジョンのものを売って金策をするための設備だ。
いや、私が言ったのは売店みたいな、来た人の日用品のための店のつもりだったのだが。
その他、各種施設を用意して……そのすべてに
準備は……整った。
多分。
きっと。
なんか問題が起きても兄の責任でしょ!
翌日。朝のニュースで、宇宙エレベーターのことをやっていた。
突如バリアが消え、侵入可能になった宇宙エレベーターへ調査団が乗り込む映像が流れ、その先で調査団が、サメの頭を持ち、機械の体をした天使に遭遇するところまでが収められていた。
調査団の人々はその姿を見て、明らかに警戒しているものと、宗教的な奇跡にでも直面したかのような驚きを見せているものに分かれていた。
調査団の中には軍人もいたようで、銃を一度は向けるが、隊長と思われる人に下ろすように言われている。
疎通の指輪の翻訳によると、「アレを撃って倒せると思うか?」と。
まあムリだな。
多分ロケットランチャーでも耐える。
なんなら艦載兵器でも耐えかねない。
また、そんなふうに緊張の走った調査団だが、
あと
未知の化け物から、対話可能な知性体にへとクラスチェンジしたわけだ。
そして基部にある迎賓館に調査団は一泊し、今日から調査が始める、とのこと。
調査というか、交流というか。
一応調べられたくないところには、踏み入ると真空になって、ついでに固定ダメージが発生する罠を仕掛けてあるし、それを説明するようにも言ってあるから余計な秘密がバレることはなさそうだが。
そう思っていると最後に爆弾が飛んできた。
直接神託制。
すなわち、神の言葉で政治が動かされ、成り立っている。
事実だけど……実質事実だけどォ!
それ、色んな国に誤解を招くから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます