R CD
コンパクトディスク。光ディスクの1つで、レコードの代わりに音楽を記録するために作られたメディアである。
音楽を記録するために作られたため、一口にCDと言ってもその品質には大きなばらつきがある。
記録面は通常アルミで作られているのだが、保存性を高めるために金を使うものが存在するほどだ。
逆に、ポリカーボネートが湿気で分解することを利用して開封から数週間で使い物にならないように作られたものまで存在する。
今回はそのCDが出てきた話だ。
兄が北限迷宮で見たのはまるでモンスターのように徘徊する黒ずくめの教団の集団だった。
なにかの命令に盲目に従うように、まるで軍隊のように規律正しい動きで一定の範囲を巡回し続ける。
その動きは、キレの差や思考の柔軟さの差はあるが、
隙を見計らって一体捕らえるとそのフードの下に隠れていたのはやはりと言うべきか、人形のようなモンスターだった。
顔こそ人に似せてあるが、その体は球関節で繋がれている。
これは人になりすまして街に忍び込むために作られたモンスターだと兄は一目で理解したようである。
そう、このダンジョンは明確に人の街を侵略するつもりでモンスターを送り込んでいる。
ならばこのダンジョンは破壊しなければならない。
というわけで、兄は総攻撃のための準備を整え始めたわけだ。
せこせこ
わたしにやれることはないのでガチャを回そう。
R・CD
出現したのはCDだった。
表紙の入れられていないプラスチックケースに収められたそれの表面は無地の薄緑色であり、わずかに光沢を持っている。
見かけは家電量販店でいくらでも買えそうなCDである。
そして裏面を見るとそこには装飾が施されているのがわかる。
CDの構造上、そこに装飾が入っていると読み込まなくなるはずだが、がっつり絵が透かしの形で入っているのだ。
それに光にかざして傾けてみると、データがCDいっぱいっぱいに書き込まれているのがわかる。
CDの裏面の内側、曇った色をした部分にはデータが書き込まれているのだ。
それがCDの端まで来ている。
ということはこれにはなにか音楽が入っている、はずである。
というわけで、兄の部屋でホコリを被っていたCDプレーヤーを勝手に持ち出してきた。
どうせ使っていないのだから問題なかろう。
そう思ってCDプレーヤーを起動してみたのだが、どうも様子がおかしい。
というか、片方スピーカーが破れているようで音がおかしいのだ。
動くかどうか確かめただけでこれとは。
試すぶんには問題ないが、これはこのあと廃棄だな。
私はCDプレーヤーにCDをセットして再生してみた。
流れ出すクラシック音楽。
それはまるでオーケストラのコンサートを聞いているような、見事な音質と臨場感を持っているのだ。
片方スピーカーが壊れていて音がおかしくなるはずだというのに。
え……こわ。
正常な動きをしていることが異常だなんて。
それに、このオンボロCDプレーヤーには本来出せないであろう低音まで出ている。
何が何でもこの曲を聴かせるという執念を感じる……。
後日。兄はCDをレコードプレーヤーに乗せて回転させていた。
レコードプレーヤーから流れるCDに記録されているはずのクラシック。
しかも数時間流しっぱなしにしていたのだが、さっきから同じ曲が1つも流れてこない。
数時間流しているのに違う曲が流れ続けているのだ。
CDに記録できる音楽の長さは74分。
規格の関係でそれ以上は記録できない。
だから、どこかでループして同じ曲が流れるはずなのだ。
……まあレコードプレーヤーに乗せられて音楽を奏でてるCDの時点で語るだけの価値はないか!
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