SSR ビルダー

 SF系のモノ作りサバイバルゲームには、ビルダーと呼ばれるアイテムが存在する場合がある。

 これは簡単に言うと建物の建築や設備の構築を代理で行う装置で、よくわからないビームを照射しながらその場に建物などを生成するのだ。

 その手のゲームの場合プレイヤー一人だけで過酷な環境に投げ出されるため、建物などを作るだけの人員が存在しない。

 そのことに対するゲーム的な救済措置である。


 今回はそのビルダーが出てきた話だ。


























 最近、サメ機人シャークボーグの改造された姿を見る事が増えているような気がする。

 サメ要素が増えた結果、サメ頭が2つついたサメ機人シャークボーグや、練気ストーブと合成されて誕生したモンク、暴走ミニカーに押し込まれた機体、カメラを頭部に組み込まれて巨大なカメラそのものになった機体、魔王化したモノ、それにスケルトンのドラゴンを注入された結果、サメのドラゴンのロボになったやつ……。


 極めつけは変形合体だ。

 複数のサメ機人シャークボーグが全身のパーツとして変形して合体することでより巨大で強大な機体にへと変貌するように作られている。

 6体合体あたりならまだわかるのだが、実際ここにいるのは30体合体だ。

 その外見はもはや密集というべき代物だ。

 サメ機人シャークボーグが各所に埋まった金属筋肉の塊である。


 多分パワードスーツ用のブレードを使わせるつもりで用意したんだろうが、その分でかくなるってことを考えなかったんだろうね。

 合体したまま呆然と立っているサメ機人シャークボーグの姿はなんというか。

 たそがれているように見える。

 感情などないはずだから気のせいだろうが。


 やめやめ、サメ機人シャークボーグの話とかしていても仕方ない。

 ガチャを回してしまおう。


 SSR・ビルダー


 出現したのはリモコンだった。

 傾いた照射部分とディスプレイ投影装置と丸いボタンが一つついたリモコンである。

 電源スイッチは照射部分の反対側についていた。


 しかし……はて、ビルダー?

 一体これがなんなのかイマイチわかりかねる。

 リモコンのようには見えるが、照射部分の巨大なレンズなどそうではないと主張している部分も存在する。

 自然に握ると照射部分が腕の先に来るように傾いているのは使用者のことを考えてのことだろうか。


 とりあえず起動してみる。

 それと同時にディスプレイに文字が浮かび、さらにそこからホログラムのウインドウが浮かび上がった。

 そこには周囲にある資材を認識しているらしく、利用するかのダイアログが出ていた。


 なんだこれ。

 超技術の一品であることはわかる。

 だってホログラムディスプレイだからな。

 だが資材を要求してくるのはわからない。


 のでとりあえず余りまくっている木材とヒヒイロカネを選択してみた。

 ホログラムを恐る恐る指でつついて指定したのだが、タッチウインドウになっているのならばこっちの大きなボタンは一体……?


 資材の選択を終えると、今度はモニターにその資材で作れるであろう建物や設備の選択画面。

 これも小屋を選択してみた。


 すると丸いボタンを押すように画面に指示が出る。

 それと同時に、照射部分からもホログラムが表示され、地面に選択した小屋のグラフィックが表示されていたのだ。


 うーん。

 もしかしてこれ、小屋が生成されるとか……?

 そんな気がしてきた。

 そんな装置をゲームで見たような気がする。


 とりあえずじゃまにならないところでボタンを押す。

 すると下から順番にまるでプリンターで生成しているかのように、グラフィックが浮かび上がるかのように小屋が生成された。


 ああ……ゲームそのまんまなのね。

 そう思って利用した資材置場に視線を向ける。


 そこにあったのは、無数の球形にえぐられた木材の山だった。

 まるでスッカスカのチーズのようである。

 向こう側が透けて見えるほどに穴だらけだ。

 若干ぞっとするほどに。


 なに再利用しづらい形で材料使ってんだよバカ!

























 後日。兄が発掘ダンジョンの支配のためにビルダーを利用した。

 ビルダーは一度解析したものなら材料次第で何でも作れるらしく、兄がダンジョンを侵食するために利用しているポインターを複製できたのだ。

 

 というか、ダンジョンの層そのものを材料として違う層に改造してしまえるのは効果範囲が広すぎるというべきなのか?

 再構築で仕掛けもなにもかもを破壊してしまえるため発掘ダンジョンの完全支配まで秒読みである。


 というか、兄に恐るべき環境改変のおもちゃを与えてしまった気がする……。

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