R ゲーミング土鍋
ゲーミング。主に、PCやPCの周辺機器に使われる接頭詞で、その特徴はゲームをすることに最適化されているということである。
PCならばより処理速度を速く、グラフィックボードはより強力な物を。
マウスならば、より軽く、より正確に動かせるように。
キーボードならば可能な限りミスタイプを減らし、誤入力を軽減し、押しやすく。
……1680万色で光り輝く、というスラングではないはずだ、おそらく、多分。
今回はそれに関係なく、多分関係なく、土鍋が出てきた話だ。
兄曰く。20層にいたボスは、飛べないでかいトカゲ、だったそうだ。
聞く限り、それはドラゴンなんじゃないかと私は思うのだが、確かめるすべはない。
ただ、
というか、でかいトカゲ自体がドラゴン扱いされてもおかしくないじゃんね?
さて、兄はそのでかいトカゲをどうしたかというと、結局のところ正面からぶつかっていない。
押さえつけた、と言っても強引に力でやったわけではない。
とにかくターゲットを
MMOなどで言われるタンクの役割を
ひたすら壁を叩いていた。
とにかく目につく壁を手当たり次第に、だ。
明らかに凶暴そうなボスを前にして、取る行動が隠し階段探し。
確かに壁の中に隠し通路としての階段があることがわかっているとはいえ、よくもまあそんなことをする。
真面目に戦ってたら時間内に帰ってこれなかったかもしれない?
無茶な計画を立てた兄が悪いでしょ……。
さて、ガチャを回そう。
R・ゲーミング土鍋
出現したのは普通の……いや、普通より一回り小さい土鍋だ。
薄く平たく作られたその土鍋は、最近のIHなどの家電に対応するために規格化された構造を持っていて、最近の商品といった印象だ。
昔ながらの形、というわけではないが、シンプルなだけに特徴はあまりない。
土鍋、土鍋かぁ。
鍋なだけに手軽に試そうとはならない。
いかんせん、試すには一度に使う食品がもったいない。
さりとて、いくらでも使えるヒヒイロカネを入れても意味がないだろうし……。
いろいろ考えた結果、水だけ入れて煮込むことにした。
まあ水だけならいくらでもあるし、最悪適当に捨てても問題なかろう。
ぐつぐつと煮込みながら小一時間。
土鍋の蓄熱が分厚いのか知らないが、沸騰するのにかなりの時間がかかってしまった。
しかし、これで開けてみてなにも変わっていなかったらどうしようか。
まあその時はその時だ。
開いてみると、中に入っていたのは。
虹色に光り輝くお湯だった。
は?
ゲーミング。1680万色に光り輝くことを意味する、スラングである。
後日。兄が虹色に光り輝く白米を作って食べていた。
あの後、お湯は冷ましてから捨てたのだが、捨てた地点に虹色に光る植物が生えてきたことで兄に土鍋がバレてしまった。
そしてあろうことか、それを面白がった兄が出汁と米を入れて炊き出したのだ。
いや、炊くのはいい。
でもなんで食べるかな!?
そんな得体のしれない米を!?
なお兄の身体が虹色に光るようなことはなかった。
どういう差が……?
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