SR ドローン
近年技術の発達によって我々の生活の前に現れた物といえば、ドローンである。
これはいわゆるおもちゃのヘリコプターなどが高性能化したものであり、それまでと比べて精密な動作が可能になっている。
人の直接的な操作を必要とせず自由に空を飛ぶ機械、という点に置いて、様々な用途が考えられている。
今はカメラを搭載しての空撮が主だが、農薬を搭載して畑に散布する、宅配便を運ぶなどの用途が考えられており、研究開発も進んでいる。
今回はそのドローンが出てきた話だ。
発掘ダンジョンは基本的に迷宮とシンプルな感圧式の罠、徘徊モンスターとしてスケルトン、あとは領域単位での負荷で構成されている。
迷宮は必要ならば壁を破壊しながら進む兄の前に意味をなさず、罠は数に任せて踏み抜く漢探知式で突破し、徘徊モンスターも同じく数に任せて粉砕する。
ただ、層ごとに目には見えない負荷のようなものが張り巡らされており、それは階層をまたぐごとに強くなるため、低ランクのモンスターはすぐに不調を引き起こしていたのだ。
それも
一度に
なお5層にはボスと思しきモンスターであるアンデッドドラゴンが配置されており、それを攻略するために、兄はサメ妖精のシャチくんと、ハイサメ鬼人の義綱さんと作戦会議をしている姿が、テラスから見えている。
流石に数押しでは勝てない、というかフロアが狭すぎるようだ。
まあ私には関係ない話だが。
すでに回してあるカプセルを開封する。
SR・ドローン
出現したのは、かなりごついドローンだ。
2リットルのペットボトルを4つ束ねたようなごつい胴体と、50センチほどある円盤状のローターを装備したかなり攻撃的なデザインだ。
胴体の下部には4本の細い足が生えており、更には何かを取り付けるためのマウントもついている。
これがまたかなりガッチリした金具で固定されているのだ。
一体何に使う用のドローンなんだか。
本体の上にはめ込まれたコントローラーは扇風機のリモコン並に薄いあたり、相変わらずガチャ産の景品はちぐはぐである。
充電は100Vコンセントで行うようで、メガネケーブルの穴がお尻に当たる部分に空いていたので充電。
コントローラーはコントローラーで乾電池でいいの、作りが適当じゃない?
充電が済んだところでささっとドローンを起動してみる。
フィーン、とローターが甲高い音を立てながら、ドローンは浮かび上がる。
お、薄っぺらいコントローラーの割にかなり操作性がいいな。
視界の中、自由に空を飛ぶドローン。
本当に自分のイメージしたように自由に飛ばせられる。
加速させて飛ばせた後、急制動。その場に静止させたりもするが、これがまた、ピタッと動きを止められるのだ。
その場に縫い留められたように。
はじめから気がついていたのだが、やはりこのドローンはおかしい。
ローター、回ってないよね? というか円盤だよねアレ。
というか飛び上がる時、風を吹き出してなかったよね?
ローターのあの高音、どう聞いてもモーターの回転音じゃないんだけど。
ほんとに浮かび上がってるように飛んでるんだよねあのドローン。
一体どうやって飛んでるんだ……。
後日。
どうも4枚のローターはどういう原理かわからないがほぼ直接的に浮力を生じさせているらしく、ローターの下に物があろうが関係なく浮かび上がらせられる。
しかも、
本当に何だあれ。
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