R 自転車

 自転車。市民の足であり、街の至るところでみる乗り物である。

 人の筋力を効率よく速度に変換でき、長距離移動しても疲れにくい乗り物である。

 そのため、道路の整備が遅れている発展途上国では重要な移動手段なのだ。

 また先進国でも排気ガスが発生しない点や場所をを取らないこと、また運動になる点などから再評価が進んでいる。


 今回はその自転車が出てきた話だ。










 近所のコンビニが閉店した。何かと便利でよく行っていたのだが、2件隣にコンビニが出来てしまったのが原因かわからないが、気がついたら詐欺などが行われがちな老人を集めて油などを売っている店になっていた。

 2件隣に新しくコンビニが出来たので利便性に変化はないが、違う系列の店のため並んでいるスイーツなどの商品が異なってしまった。


 あのコンビニのプリンは、系列店限定の代物で私の好物だったので微妙にショックだ。

 同じ系列店までは自転車を出さないと行けない距離。微妙に面倒くさい。



 今日のガチャを回そう。

 この筐体も見るたびに微妙にデザインが変わっているような気がする。

 日に当たって色褪せているのか?

 私以外に見えていないのに色褪せるとはいかに。


 R・自転車


 出現したのは、一般的なママチャリだ。

 見かけは黒のボディを持つ普通の自転車であり、おかしなところはなにもない。

 タイヤがでかいような気がするが、でかいタイヤの自転車も普通に売られている。

 これは私が大きなタイヤの自転車に馴染みがないだけだろう。


 しかし、自転車か。

 範囲拡大を続けているとはいえ、実験室内は自転車が必要な広さではない。

 かといってガチャ産の物品を外に持ち出すのはどうにも気が乗らない。

 大体ろくな目に合わない気がするのだ。

 自転車なら……ブレーキが効かない、とか。

 ありえなくもない。


 とはいえ試さずに兄に渡すともっとやばい事態を引き起こすので自分で試すしかない。

 とりあえずストッパーを外して座面に座り……低いな。


 座面が低い。タイヤがでかいような気がしていたが、タイヤがでかいんじゃなくて不自然なほどサドルが低いんだ。

 さっさと高さを合わせよう……は?


 うわ、サドルを留める金具が生意気にもクイックレバー……、クロスバイクやロードバイクなどで使われる簡単にサドルを外せるタイプだ。

 なんでだよ。よく見るとタイヤの留め具も同じやつじゃん。


 留め具を外してサドルを引っ張る。

 勢い余ってサドルを引っこ抜いてしまった。

 というかこのサドル、短いな。


 サドルを手に持ったまま、私はサドルを戻そうと自転車に目を向けた時だ。

 そこにはサドルが刺さった自転車があった。


 自分が持っているものを見る。サドルだ。

 自転車を見る。サドルがある。


 うん?









 後日。兄がサドルをいくつも引き抜いていた。

 どうもこの自転車、パーツを再生成することで状態を維持しようとするらしく、わざとパンクさせるとズルリとタイヤが剥がれて新しいタイヤが現れるわ、ナットを外すと元の位置にナットが出現して分解させないわで整備性もへったくれもない。


 引き抜いたサドルはどうするんだって?

 リサイクルショップに売るんだと。

 そんなサドルばかり持ち込まれて迷惑じゃないか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る