迷宮の遺物
発掘したダンジョンは見るからに遺跡と言った風体だ。
兄の作り出したダンジョンが石レンガを積んだだけの砦なのに対してひどく文明の匂いがする。
しかしその造形に思い浮かぶ心当たりがなく、また壁に刻まれている文字も同様にわからなかった。
特に文字は辞書まで借りてきてまで見比べたのだが、一致するものは存在しなかった。
もっと深層に行けばなにか分かるのだろうか。
発掘された経緯からして、本当にその場にはじめからあったのかも怪しいところだが、今その場所にあるのだからどうしようもない。
そしてその場所に前からあったかどうか、調べる手段もない。
ちなみにダンジョンの中で、モンスターに類される存在、具体的にはスケルトンが倒されるとたまに何か装備を落とす。
まるでゲームだ。スケルトンの残骸も消えるように姿を消すから余計ゲームっぽいのである。
今回は兄が発掘したダンジョンから拾ってきたその物品を紹介しよう。
なお名前は兄が便宜上つけたものである。
反撃の小手
純銀で出来た小手。
これをつけた状態だと、つけた方の腕が勝手に動いて敵を攻撃する。
その際強引に体を動かすので筋を違えたりして結構筋肉に来るらしい。
ダンジョンから戻ってきた兄に近づいた時に腹パンされたので私はこれが嫌いだ。
なお兄は第三の手にこれをつけて敵にぶつけている。
いくら第三の手が操作性悪いからって……。
守りの指輪
青い宝石がついた小さな指輪だ。
身につけると、指輪を中心に直径30センチほどのバリアが展開する。
バリア……。
なんでバリアが出るのかよくわからない。
また、指輪の円と平行にバリアが展開されるため、ものすごい邪魔なのだ。
このバリア、結構頑丈で盾として優秀なのだが、出てくる面の関係上指がむき出しなのが使いづらい。
というか素早さの指輪と比べて性能が違いすぎない?
ガチャ産とダンジョン産の差なのか?
兄は最初、拳を握り込んで親指に引っ掛けて使っていたが、そもそも盾を使うのが面倒だったらしい。
それ以降はサメもどきの腕にはまっていた。
宝箱
蓋付きの箱。ゲームなどで見るあの形状の箱だ。
中身はただのゴミ(割れた木の盾)だったので雑に捨てられていた。
この宝箱、文字通り何でも入るので兄はダンジョン内の物を回収するために重宝している、らしい。
というのも、体積を無視して箱の中に入れられるのだ。
いわゆるアイテムボックスというやつだろうか。
兄はこれをキャリーに乗せてサメもどきに運ばせている。
一緒にクラウドストレージを入れている辺り、物をまとめてたくさん運ぶ気満々だ。
なお、重量は完全に据え置きである。
たくさん入れれば入れるだけ重くなる。
柱
柱。ダンジョンの一層の中央でフロアを支えていた柱の一つだ。
ギリシャの遺跡にある柱に似た造形をしているが、見ていると微妙に似ていないような気がしてくる。
……え? なんで柱持ち帰ってきてるの?
竜形態時の武器として振り回すためらしい。
なんかどう振り回しても壊れないらしいよ。
……マジで?
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