R エンジェルハロ

 エンジェルハロ。すなわち天使の頭の上に浮いている輪っかのことである。

 霊的なオーラを簡略して表現したものであり、漫画などでは主に死者の魂であることを示すのによく使われる。

 また、髪の毛に浮かぶ光沢のことも天使の輪ということがあり、これは髪の質が相当に良くなければ浮かび上がらない。

 またビールジョッキに浮かぶ泡も天使の輪と呼ぶ時がある。こちらもビールジョッキの綺麗さやビールの質が良くなければ現れない。


 今回はそのエンジェルハロが出た話だ。

 輪っかだよ輪っか。















 ノーライフキングのリチャードさんに簡単な暗黒魔法を教えてもらった。

 シャドーボールという影の塊を相手に投げつけるという、普通に野球ボールでも投げたほうが威力が出るんじゃねえかと思うほど低威力の魔法だ。

 リチャードさんが使ってもその程度の威力しか出ないあたり、マジで威力が低い。

 最もこの魔法はリチャードさんが弟子に魔法を教えるために作ったそうであり、魔法の基礎が全部詰まっている上、誰でも簡単に使えるというものなのだ。


 そう、誰でも簡単に使えてしまうのだ。

 教えられてからものの30分程度で、私は使えるようになってしまった。

 マジで?

 しかも才能があるらしいよ。

 困る。


 まあ魔法のことは置いといて、だ。

 いや、置いておいていいはずがないが、置いておくしか無い。

 現状は変な特技が増えただけだ。

 それでいいはずだ。


 さて、ガチャを回しておこう。

 せめて異音がしなければな……埃をかぶせておくんだがなあ。


 R・エンジェルハロ


 今回出現したのは、輪っかだ。

 輪っかとしか言いようがない。

 光が凝縮して出来たかのような、不確かな形を持つ輪っかだ。

 それが地面スレスレに浮いている。


 また浮いている景品か……。

 浮いている景品はだいたいろくなものじゃない。

 前回の座椅子もそうだし、クッションも、ベッドもそうだった。


 で、今回出てきたのはエンジェルハロ。ようは天使の輪っかだ。

 なんで輪っかだけそこにあるのか訳わかんねえ。


 これは……剣とか指輪とかの同類で、装備アイテムなんだろうな……。

 というか装備アイテムじゃなかったらなんなのか。

 輪投げの輪じゃないんだぞ。


 そっと頭の上に乗せてみる。

 輪っかは頭の上で浮かび上がり、それとともに私の身体もわずかに浮かび上がった。

 それと同時に、私の背中から何かが生えていく感覚。


 これは……羽!

 輪っかと同じく、光を固めて作ったかのような質感である。

 というか、すでに浮いているのに羽いるのか!?

 やはりというか、身体が浮いている!


 前に進もうと思えば滑るように進み、後ろに戻ろうとすれば同じように滑って戻る。

 天使や心霊のような超常存在のような動きが可能となっている。

 おそらくは空を自由に飛ぶこともできるだろう。

 これがこの輪っかの力か。

 ふむ。


 ただ、ものすごい欠点がある。

 すでに、すでに私の息が上がっているのだ。

 マラソンを全力疾走したかのような疲労感が全身に溜まっている。

 それに頭には徹夜明けのような重さが。

 きっつ。


 

















 後日。天使みたいな見た目になった兄が手から謎の光を放っていた。

 ちょっとした応用だ、とか言いながら手から謎の光を放つ兄、だいぶうざい。

 何なんだお前は。

 というか見た目がシュール過ぎる。

 ジャージのまま、天使の輪をつけるんじゃない。

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