第98話 ハードボイルド殺し屋と魔人の密偵
その男はカウボーイの帽子を被っていた。
ここは防衛地点の村より少し山の方角にある一角であった。
カウボーイの男は葉巻を吸いながら、目の前に転送されてきた包帯のようにぐるぐる巻きになっていながら、御札のようなもので戒めている謎の男を見ていた。
情報を頭で整理するカウボーイ男は。
「ヘイユー君がフウマだね?」
闇の眷属であり5柱の1人であるフウマは不思議そうにこちらを見ていた。
そして次の瞬間こちらを格下だと勝手に認定したのか、にやりとほくそ笑み始めた。
「ヘイユー俺っちはガンマンであり殺し屋なのでーす。ですかーらここであなたにーは死んでもらいまーす」
「よく分からない方言だな、死ぬのはお前だ。何がそれがしを殺す殺し屋がいると」
「俺っちは自己紹介しまーす、イヴジンでーす覚えておいてくださーい」
「うるせい」
魔人フウマは全身の包帯を操りだした。
まるで魔法そのものにイヴジンは驚きというよりかは、楽しさを感じていた。
「これはこれは、とてーも興味深ーいですねぇ、こんなーすごーい技初めてみるねえええ」
イヴジンは二丁のライフルを右腕と左腕に構える。
通常、二丁拳銃だと大きさが小さい為2個持つことが出来る、しかしライフルなどの大きな銃を右手だけで持つのは難しいのだ。
もしかしたら出来る奴もいるかもしれいないが。
イヴジンはそれを可能にした。
こんな事が出来るのはイヴジンぐらいだろうと、自分でも思っている。
サブマシンガンを試した事もある。
ちゃんと上手くコントロールする事が出来る。
そして彼が手に入れた魔力との融合の力とは。
「るせえええええ」
魔人フウマは走り出す。
それも高速で、
だが高速の弾丸には叶わなかった。
二丁のライフルから発射される正確な弾丸は、高速で発射された。
指が見えないくらいの。
イヴジンが手に入れた力、それは高速弾丸である。
高速で引き金を引く事が出来る。
風の如く飛来してくる弾丸を、魔人フウマは避ける事すら叶わない、
それでも特殊な魔力なのか、魔神フウマは避けて見せるではないか!
包帯が防具となりて、
全ての弾丸を弾き飛ばしていた。
魔人フウマは包帯を武器にもするのだろう。
魔人フウマが跳躍した時、イヴジンのガンマン魂に火を付けてしまった。
ライフルを連射する。
そのライフルは結構昔な作りのようで、連射機能はついていない、
それを可能にしたのは、イヴジンの高速弾丸の力、これは触れている機械を高速で展開させる事が出来る。
なのでライフルは高速で回転し、弾入れも高速で動く、ぜひとも内職の仕事に適していそうだとイヴジンは思っている。
だが二丁ライフルでも魔人フウマを倒す事は出来なかった。
魔人フウマは着地する。
次の瞬間、喉を切り裂かれたイヴジンがいた。
首から鮮血が吹き上がった瞬間それはすぐに収まった。
「な、んだと」
魔人フウマが唖然とする中、イヴジンは右手と左手の二丁ライフルを構えながら、カウボーイの帽子をふっと変な口をしながら息を吹きかける。
「カウボーイ野郎はそう簡単には死なないものさ、ようは体の流れも高速で操作させてもらった。知ってるか、傷の治りが早くなる血液がある、この世界の人に言っても通用しないがねぇ、それを利用して傷を高速で回復させる。ふぃーつまり高速回復ってやつさ、決まったな」
「それが分かったところで」
「ガンマンは一度失敗すると先がない、だが今回君は敗北の一手を決めてしまったーのです。それがどーいうことーかーおわかり?」
「はぁ?」
魔人フウマがイヴジンを見ながら、訳の分からない表情をして見せる。
そしてようやく気付いたのだ。
「かは」
口から鮮血がほとばしる。
包帯で攻撃をするのに夢中で、ガードをする事を忘れ、こちらの首を両断した時に、防御はまったくの手つかず。
魔人フウマは膝を地面にゆっくりと着地させ、体のあちこちを見ている。
そこには無数のライフルの弾痕があった。
穴からは沢山の血が流れ、どくんどくんと脈打つかのようだ。
それをイヴジンは見ていた。
魔人フウマは天を仰ぐ。
何を思っているのだろうかと、イヴジンが近づくと。
「てめーには関係ねー」
そう言ってフウマはこと切れた。
「ふ、悲しいねぇ、なけるねぇ、そこの魔人フウマさん、あんたは確かにつよーかったーね、いつかいつかまた来る日まで」
カウボーイの男イヴジン、
彼は盾と剣の組織のメンバーであり
元々殺し屋でもあった。
涼しい風が山に流れてくる。
まるで魔人フウマの魂を連れ去っていくかのように。
本当に不思議な風だとこの時のイヴジンは思った。
イヴジンは故郷の事を思い出していた。
山にあったけなぁとか、色々な事。
戦争がイヴジンの人生を狂わした。
マイハニーとも今は別行動だし、マイハニーはきっとロシアでパン屋を切り開いているさ、彼女の魚のハンバーガーはとてつもなくうまかった。
いつかリンスケにも食べさせてあげよう。
さて、どこに行こうかな。
殺し屋とは自由気ままなものさ。
きっとどこかに辿り着けるのさ。
イヴジンは風のようにいなくなった。
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