第53話 故郷そして故郷

 まず最初に村に到着した感想は、教えを着実に守ってくれたなと言う事だった。

 

 プラントモンスターの死体とスライムの液体をうまく利用して、巨大な建物を作っていたのだ。

 もはやそれは村ではなく村から街にランクアップしたかのようでもあった。

 

 城壁も驚くべくほど頑丈であり、びくともしなかった。

 城壁の高さは想像していたのより高かったけど、これくらいあればドラロボすら防げる要塞になるだろう。


 城壁の門所には数名の人々が立っていた。

 どうやら僕とトンボ団長の部隊に驚いているのだろう。

 それがプラモデルと呼ばれるロボットである事はあちらには理解されている。

 なぜなら僕がプラモデルを見せた事があるからだ。


 僕はフェイブマックスXを操縦しながら、

 後ろには交易で得る事の出来た沢山のアイテムたち、これからこの村が何を送る必要があり、僕は日本から何をもってくる必要があるかを。



 1人の黒い髪の毛を珍しくポニーテルにしながら、

 その女の子はこちらに向かって走ってきて、そのまま抱きしめようとしたら、なぜか飛び膝蹴りを食らった。

 僕は盛大に吹き飛んだ。


 トンボ団長はドラロボから降りてくるので、それを見て大爆笑。


「やっと帰ってきましたね、待っていました。予想より遅かったのでちょっと腹がたったのです」

「がっはっは、それが女子というものじゃ、わしなんか妻に玉を蹴られた事があるくらいだぞお、がっはっは」


 左目に眼体をつけた老齢のお爺さんは爆笑していたのであった。

 ドラロボに乗っている少年ドワーフたちも爆笑しているのだろう。


 僕は顔を真っ赤にしながら、

 右手を差し出してくれるネンネの右手を握りしめたまま思いっきり引き寄せた。


 彼女はびっくりしていたが。


「ただいま帰りました」

「待ちくたびれたわ、あなたが交易の旅に出たときから、沢山の人々がやってきた。そういえば、交易商人のテクスチャさんが宿で泊まっているわ。驚きなさいわたしの村長宅は2階部屋で20人の人々が暮らせる宿屋になりました」

「おおお、すごいじゃないか」


「それでそちらの左眼帯のドワーフは?」

「これは失礼、わしはヒロスケ殿の配下となりもうしたトンボと申します。後ろにいるのが」

「いえ気にしないで、ドラロボでしょ、この村に漫画をもってきてたからさ、ヒロスケが持ってきたドラロボの原作はとても燃える漫画よ」


「それはわしも拝謁したく存じます。よろしいですか?」

「もちろんだ」

「本なら宿にあるから」


「ネンネ、君とは沢山話したいし事も山済みだ。だけどやる事と、方策がある。まず僕はテクスチャと会う必要と、セルフィール国家に交易の基盤を固める。次にエクスバンとセルフィールの道、つまりその道の真ん中に位置するここを要塞化したいんだ」


 するとネンネはにかりと笑って見せる。


「そのためにみんなにはありとあらゆる素材を集めさせました」

「ほ、本当なのか?」


 ネンネはポニーテールを振りながら。

 えっへんとちょっと発育の良い胸を威張り散らす。


「わたしはあなたがこの村からいなくなった時にいろいろと考えました。村とはなにか国とは何か、そして世界平和とは何かを。その結果、力には力を知恵には知恵を交渉には交渉を。それが試行錯誤する時だってある。全てに対応できる事なんで不可能、だから国は同盟を結ぶ、それを裏切られる事まで考える。あなはすべてに対して基盤を作るのですよね」

「そうだ」

「実は宿にはエルフの2人の姫が来ているのです」


「そ、それは」


「その2人と交易について話をしていけば良いと思うのです。それから要塞を、みんなで協力して作りましょう」


「なぁ、ネンネ、頭でも打ったか?」

「打ってません、んもう失礼なんだから、人は成長するものなのでしょう?」

「そうだ」


「トンボ作戦変更だ。君にも立ち会ってほしい」

「もちろんですとも」

「少年兵10名も一緒に来てくれ、君たちが大きく関わっていく事だ。知るべき事なのだよ」

【はい】


 ドワーフ少年兵たちが空を見上げる。

 そこからゆっくりと滑空してくる巨大なドラゴンがいる。

 実は青年期のドラゴンであったドルゴンは信じられないほどのスピードで成長すると、

 成人期のドラゴンになってしまったのだ。


 大きさを表すと一般的なトラックを2台合体させた大きさだ。

 顎から頭だけでトラックの運転席の2倍はあるだろうし、

 エメラルドの光がもはや宝石なみに輝いているのだ。

 ぎらりと瞳がでかいが、中身は。


「いや~空は気持ちよかったです。お久しぶりですネンネさん」


 ネンネはその巨大なモンスターでも見るかのように、口をパクパクしつつも。

 

「あ、あなたがドルゴン?」

「そうです。元気でした」

「元気よそんなに成長して大丈夫なの?」

「これがドラゴンというものでしょう、次の進化はいつ来るかはわかりませんが」

「あんなに可愛かったのに」

「あれは子供でしたからね」


「しまったわ、ヒロスケ、ドルゴンをこの村に入れる訳にはいかなくなった」

「こっちもそのつもりだ。ドルゴン、無人のドラロボの守りを頼めるか、あと少年兵たちにディン王国の反対向きにドラロボを置いてくれ」


「任せて」

【了解しました】


―――――――――――――

村→宿屋

―――――――――――――


 

 僕とネンネはなぜか手をつないでいた。

 不思議と手を繋ぐ事が当たり前になりつつあると感じる。 

 これがすごく久しぶりの接触だとしても、それが当たり前なのだと思いたい。


 トンボと少年兵達は談笑をしながら、村人達がドワーフを見てわいわいと騒ぎだした。

 それは悪いほうではなく、歓迎の意味だ。


 その子供達の中にウィルソンとラングンがいて2人は相変わらず取っ組み合いをしている。

 まず沢山の建物が桁外れ。

 色々な物が置いてある。

 村の城壁は僕がやってきた山のところで続いている。

 それは助かった。 


 毎回実家に帰るときに城門から出る必要があったら、いろいろと疲れてしまいそうだった。


 宿屋はカラフルな色で、名前は虹色亭という名前だった。

 沢山の旅人が宿屋には居るみたいで、1階と2階のほかにVIPルームというものがある。

 そこにテクスチャと2人のエルフの姫がいる。


宿屋の中にドワーフの大群がきたものだから、吟遊詩人や、旅人または冒険者たちがドワーフたちをぎょろぎょろとみている。


 僕たちはVIPルームの大きな扉を開いた。

 そこにはテクスチャ商人と2人のエルフの姫がいた。


 テクスチャ商人はディン王国を牛耳る商人であり、2人のエルフは両親は殺されるかまたは奴隷として扱われているという状態だ。


 その2つの反対勢力がぶつかり合って、喧嘩にならないかと思った。

 だが2人の姫はにこにことしていた。


 1人はマカ姫。 

 彼女はこちらに走ってきて、次は顎から上にかけてアッパーをしかける。

 僕は後ろに吹き飛ばされ閉じられた扉に激突した。



「いつつつつ、マカ姫なにするんだよ」

「心配したのだぞ。とても、そなたが命をかけた儀式をやると聞いて、それをネンネ殿と相談しあっていた。来たらぶん殴ろうと」

「一人は殴るではなくて蹴ってたぞ」


「えへへっへ」


「つーかメイル姫が一番優しかったよ」

「なぬメイル姫とも会ったのか」

「あいつはあいつで王族としての義務を取ろうとしているのさ、だからここにいない」

「そうかメイル姫もか、なら話をすすめよう」


「その話が終わったら次はこちらでお願いします」

「テクスチャ殿、お久しぶりです」

「はい、事は急ぎます」


「了解した。そちらの姫も話をお願いします」


「「はい」」


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