第21話 スピード交易開幕

 もうスピード交易の始まりだ。


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巨大倉庫(現実)→村(異世界)

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 実はこちらに戻る前に村人達に小さな小屋を建設してもらった。

 そこに10台の洗濯機を設置する為にだ。


 僕が洗濯機をもってくると、ネンネ達は洗濯機を珍しそうに見ている。

 今は夜の19時になりそうで、それでもまだ太陽は昇っており、空は赤みだした。



「これが洗濯機ですね」

「そうだよ、起動確認はしたよ、この空気中にある魔力でも動く、使い方は、後日教えるとして、今は10台もってくる。それと君達はあらかじめ収穫しておいた【スライムの素】【プラントの死体】【薬草団子】【薬草】などを洗濯機を置いて空いたリアカーのスペースに運んでくれ」

「了解したぜ」

「まかせな」


 ウィルソンとラングンが腕っぷしは任せろと動き出し、村の農夫たちを指示しだしたのはネッティ―だった。


「リーダーとして命じる。現在ヒロスケ殿が本気を出された。それにこたえるのが我らの務めというものだああああ」


 姉さん的に指示を飛ばすネッティーを見ていて少し笑ってしまったが。


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村(異世界)→巨大倉庫(現実世界)

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「うほ、すご、こんなに持ってきたのか」

「まだまだあるぜ、林介、僕は荷物を降ろすから、洗濯機を入れてくれ2台でな」

「おう任せろ」


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巨大倉庫(現実世界)→村(異世界)

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「ネンネ、持ってきた。ぜいぜい、洗濯機を降ろしてくれ、ディボンド手伝ってくれ、間違っても握りつぶすなよ」

「おいらに任せて、ウィルソンとラングンはネッティーの姉御にしごかれて動いてるから、そろそろくるよ」


「うっへえええ、姉御きびしいよおおおおお」

「姉御にしごかれるだけ幸せものだばかやろ」


 ウィルソンとラングンが汗まみれで素材アイテムを運んでいる。



「はぁはぁ、姉御がこれも持っていけって、きっとヒロスケ殿の弟さんが研究したら結構いいものかもしれないからって」

「えと【コウモリムラサキの翼×5個】【ボアの牙×3個】【綺麗な水×20本】この綺麗な水はどういうことなんだ?」

「なんか姉御の話だと、この世界からあちらの世界に移動させると質がはねあがり、あちらの世界からこちらの世界に持ってきても質がはねあがる、それは魔力とかの原因だってされていたから、水も当てはまるのではと」

「なるほどネッティーさんは鋭いね」


 ウィルソンがそう言うとそこにぶっ倒れる。

 ラングンはその死体のように動かなくなったウィルソンの背中に乗っている。


「うぉい、乗るな」

「るせ」


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村(異世界)→巨大倉庫(現実世界)

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「林介ええええ、いろいろ持ってきたぞおお、素材は適当に研究所にもっていって研究してくれ、ぜいぜい、次は洗濯機だ」

「任せろ、やべー、こんだけあったら数億稼げるぞ」

「ふ、ふふ」

「兄貴、あんたすげーよ」

「ちぬから早く運べ、俺は荷車をおおおお」



 その行程を4回続けた。

 最後の行程で僕は洗濯機を運び、また素材を運び、ようやく終わったあああと喜びの声をあげているウィルソンとラングンだ。

 その後ろではディボンドが笑っている。


 ネッティーの姉御は指示の疲れでダウン中。


「みんなありがとう」

【こちらこっそおおおお】


 沢山の人々に感謝されて。最後の


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村(異世界)→巨大倉庫(現実世界)

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「これで最後だあああああ。ゴキッ」

「あ、あにきいいいいいいい」


「うおおおおおお、腰やらかしたあああああ」

 

 僕はその場にダウンして、芋虫のように動けなくなってしまった。


 ちなみに薬草団子を食べたら治りました。


「すげーなこの薬草団子はつまり腰の疲労も回復しちまう、骨折とかも治るだろうしな、だが、失われた器官は無理みたいだな、腕を再生させるとか、視力を回復とか聴力を回復させるとかは」

「視力は1つ目モグラが成功している。しかし回復団子でも視力が回復する場合がある。それは試してみたんだ。だが回復団子で視力を回復した人とモグラの目で回復した人の目には差があるような気がするんだ」

「それは良い朗報だ。もしかしたら質なのかもな、回復団子は全般的に回復するが、全てではないのかもしれない。まぁ、また収入が入ったら連絡するよ」


「僕も今日はこちらの世界で休むよ」

「そうしてくれ」


「それにあちらの世界の夜の設備も考えないといけないしな」

「兄貴、すげーいきいきしてるな」


「そうか?」

「まぁ無理すんな」


「足りめーよ」


 その日全ての行程を終えるのに2時間がかかり、あちらの異世界では夜の仕事となるため、村中が松明の光に照らされた。

 その光景を僕は感動して見ていたのだ。


 今はリサイクルショップの巨大倉庫にてダウンしております。


 村人たちの笑顔が頭からこびりつき、離れる事は無かった。

 自然と僕も笑顔になっていくと、どんどんと元気になっていくと。


 目をゆっくりと開ける事とした。


 どうやら僕は巨大倉庫で寝てしまっており、巨大な窓からは太陽がのっそりと出現していた。


 さぁ今日も交易の仕事の始まりだ。




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