第4話 研究しつつ村開拓
僕は布袋にこの地区の土を集めた。
もちろん肥料の混ぜる前の土だ。
あと森から持ってきた健康な土も別な布袋に入れた。
健康な土と肥料をまぜたりして、畑を開拓した。
現在の畑は健康だ。
作物を植えると10分で芽がでる。
巨大化した作物の種をまた植えるとさらに巨大化する。
それを3回ほど繰り返すと、トマトだけで車くらいの大きさになり、村人たちはトマトモンスターが来たと叫んで笑っていた。
どうやら種は3回まで連打で使用できる。それ以降は大きくならないが、また育てることができる。驚いたのは連作作用がない事だ。
同じ作物を何度も育てると問題が生じてくると本に書かれてある。
表現が可笑しいので、やっぱり古い本かもしれない。
古本屋で買ったのが間違いだったか、土を調べるには色々と機材が必要なので。
ネンネに一度実家に帰る事を告げると、
少しふっくらとした小柄な顔の少女はにこりと笑う。
あと数時間前まで村人達はがりがりに痩せこけていたのに、今では体中に栄養が充満しているようなのだ。
やっぱりこの世界の成長という概念が早いのか、その成長という概念を早くさせている何かの物質があるのか、それが非常に興味深いので、土から調べる事とする。
ネンネがどこに異世界の扉があるのかと気にしたので、一緒に行く事とする。
ネンネの黒い髪の毛も艶が出てきており、とても可愛らしい女性だと思った。
こんな女性に好かれてみたい、童貞な僕はそのように思っていた。
岩の隙間に扉がある。
しかしネンネには何もないようにしか見えない。
「本当にここに扉があるのですね?」
「そうだけど、見えないんだよな」
「そうなんです。なぜか目に映らないのです」
「なるほど、恐らくだけど異世界の人にしか見えないのだろう」
「そうなんですか、残念ですあなたの世界に行ってみたかったです」
「僕の世界はあまりいいものではない、まぁ餓死にはならないけどね」
「そうですよね」
ネンネを笑顔にさせ、彼女はこちらを見ていた。
僕は手をあげて挨拶すると扉に吸収された。
巨大倉庫にたどり着くと。そういえばとスマホを見る。
実はあちらの世界に行くとスマホの時間が停止していた。
スマホの時間は電波時計な為あちらの異世界には衛星がないからだろう。
あと現実世界にいる時はあちらの事を異世界と呼び、異世界にいる時は現実世界も異世界と呼ぶ。
少しめんどくさくて分かりにくいかもしれないが。
実は巨大倉庫の奥深くには部屋がある。
昔父親は色々な実験をしていたそうだ。
その実験の名残なのか研究セットがしまわれているし、昔のボックス型のパソコンがセットされており、素材の成分を調べる事が出来る。
小学生の時に父親のそういった研究している姿がとても格好よかった。
のちのち聞いてみると、それは仕事ではなくて、趣味でやっていたそうだ。
父親は色々な素材を配合したりするのが得意だった。
だからもしかしたらあの扉も父親が作ったものではないだろうかって、今ようやく思っていた。
あの父親なら異世界に通じる扉を作る事だっていとも容易い事のような、そんな気がするのだ。
埃とか邪魔なものを整理整頓しながら、2時間が経過した。
スマホは電波をキャッチしてちゃんとした時間になっている。
夜の6時を過ぎており、母親には勝手に食べてきたと先程電話している。
そう不思議なのだ。あの巨大トマトとか巨大ナスとかの料理をたべたら、体のパワーがみなぎるようになっていく、それだけ野菜の中に含まれる栄養源が半端ではないという事なのだろうか?
もちろん野菜はこちらに持って来る事は出来ない、実は試してみたのだがやはり弾かれる。
フラスコとかビーカーとか、色々な機材があり、まずはノーマルの土の状態を調べる。
顕微鏡があるので、それで見つめていると。
普通の土の成分だという事が分かる。
次にありえない物質がある。
それは気泡みたいなもので、それはDNAそのものだった。
生きているのだ。その気泡は。
まるで丸い闇色のそれはおそらく。
ネンネは現実に戻る扉に戻る時、歩きながらこんな事を言っていた。
「もしかしたら魔力が関係しているかもしれません、あなたの世界には魔法がないのですよね、こちらの世界には魔法がありまして、空気中や水や土や自然物の中には魔力があるのです。恐らくあなたの世界の肥料とこちらの世界の魔力が触れ合う事でありえない事が起きたのでは?」
その言葉の内容を思い出して、
あのネンネという村長娘はバカにできないと悟る。
つまりこの闇色の気泡みたいなやつが魔力だとして、この魔力をうまく取り除いたら。
色々な化学作用を使う。
熱して蒸発させたり、凍らせてみたり、その結果熱すると魔力が分離させられ、凍らせると周りの物質融合する事が分かった。
魔力だけの物質にしてビーカーの中にしまう。
僕はやってはいけない実験をしようとしていた。
それは生物実験、
しかも自らの体を使って。
やはり僕はあの父親の息子だと知った。
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