虚無の怒り

――感情、というものはデータ化された。らしい。


人類には、感情というものがなければいいと、誰かが結論付けたらしい。


――で、あるならば。


この、私の目の前にある、熱を失った死体。

かんじょうを失った、この世界に押しつぶされた彼女ともだち


――私も、何も感じない。熱を失うとはそう言うことだ。


――で、あるならば。


「……………………………………………………………………………………」


――私の、この目の前の全てを害さんと突き動かす物は、いったい何だ。



――全て終わった。


世界は瓦礫と灰と死の山となった。

そして私もその一部になる。


この近辺で一番小高い瓦礫の山に座る。

そうした理由もわからずに、座り。そして。


――最期に、彼女と一緒に見た夕陽を見て。


「――ああ、私は。ただ、怒りたかったんだな…」


やっと、それだけを理解して、私は眠った。永遠に。

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