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「それでもワシは……村に帰りますじゃ」

「な、それがどういう意味か分かっとるのか!」


 忠告を無視して村に帰ろうとするおばあさんに向かって、河童は声を荒げます。けれど、既におばあさんの覚悟は決まっていたのでした。


「ワシはあの村で生まれ育った。村がピンチならそれを救うのもワシの役目なんじゃ」

「そうか……。おめぇさんは強いな」


 こうして河童と別れたおばあさんは、その話を確かめるためにも村に帰ります。村に近付いたところで、村の方向から黒煙が上がっているのが見えてきました。きっといくつかの家が燃やされているのでしょう。

 この光景を目にしたおばあさんは、あの河童の話が真実であったと、ゴクリとつばを飲み込みます。


 そうして慎重に気配を消しながらゆっくりと村に近付くと、村人を蹂躙している鬼達の姿が目に入って来ました。その数は数人どころではなく、軽く見積もっても数十人はいるようです。河童が警告したものうなずけると言うものでした。

 鬼達は村を襲い、村人達をどこかに連れて行こうとしているようです。その事実を知ったおばあさんの中で、何かがぷつりと切れました。


「悪逆非道な鬼めっ! 絶対に許さんっ!」


 おばあさんはチェーンソーを取り出すと、単身で鬼に向かって特攻します。村を焼き払っていた鬼の何人かは、おばあさんによって簡単にバラバラにされました。


「何だ何だ? 俺達に逆らうバカがまだいたのかっ!」

「お前さんらに明日を生きる資格があると思うなぁッ!」


 最初の不意打ちこそ上手く行ったおばあさんでしたが、流石に多勢に無勢です。始めの内こそチェーンソーを振り回して鬼の軍団を調子よくぶった切ってはいましたが、倒しても倒しても鬼はわらわらと現れるばかり。

 やがて、疲労の溜まったおばさんは肩で息をし始めます。最後は屈強な鬼達に取り押さえられてしまいました。


「手こずらせやがって……。ババァ、強いな」

「こ、殺せっ!」

「殺しゃあしないよ。お前ならいい値が付きそうだ」

「く……っ」


 こうしておばあさんは手足を拘束され、遠く外国へ奴隷として売られてしまいましたとさ。


(おしまい)



 鬼に負けて奴隷エンド ED28


https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894396928

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