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「あんた、ちょっと怪しいねぇ。何でワシなんじゃ? もっと相応しい人はいくらでも居るじゃろうに」
自分の目の前に神様本人が現れる訳がないと思ったおばあさんは、目の前の存在を神の名を語る魔物か何かだと断定します。そうして、またしてもチェーンソーを取り出しました。
神をも殺す武器を手にしたおばあさんを見て、神様はうろたえます。
「な、何をするつもりじゃ。落ち着きなされ」
「この神を
「待つのじゃ、私は本当に……」
「問答無用じゃーっ!」
神様の弁明に全く耳を傾ける事なく、おばあさんはチェーンソーを稼働させ、目の前の光り輝く存在に向かって振りかざします。
「止めろ! 止めるのじゃ!」
「お覚悟ーっ!」
「ギャアアアアア!」
おばあさんはチェーンソーを使って神様をバラバラにしてしまいました。ひと仕事を終えたおばあさんはチェーンソーを止め、額の汗を拭います。
「ふう、神の名を語るバケモノは退治出来たわい。いい仕事が出来て満足じゃ」
「お前、神殺しをしたな」
「な、なんじゃ?」
神様は殺したと言うのにどこかからおばあさんに向かって声が聞こえてきました。その声の主を探すと、そこには白キツネがいるではありませんか。おばあさんはその瞬間、自分のした事を後悔しました。
「まさか、あの神様は本物……じゃったのか?」
「もう遅い、報いは受けてもらう」
白キツネはそう言うとその場から姿を消します。しかし、本当に消えたのはおばあさんの方でした。おばあさんは真っ暗で気持ちの悪い空間に飛ばされていたのです。
「うわあああ……っ」
謎の空間に飛ばされたおばあさんは、その空間の地面にぶつかって尻餅をつきました。激しい痛みがおばあさんを襲うものの、どうやら死んだ訳ではないようです。
しばらくすると落下の痛みも落ち着き、おばあさんは立ち上がりました。
「はて? 一体ここはどこじゃ?」
「ここは魔界だぜ。よく来たな、ばあさん」
「キャッ」
おばあさんは突然背後から声をかけられて驚いて振り返ります。そこにいたのは、どう見ても悪魔のような生き物でした。真っ黒な体にコウモリのような羽が背中に生えています。更に、その頭には立派な角まで生えていました。
そう、おばあさんは神殺しの罪で魔界に追放されてしまっていたのです。
悪魔の姿を目にしたおばあさんは、どうしていいか分からずに頭を抱えます。
取り敢えず逃げる
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894281022
この悪魔に話を聞く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894283678
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