第3話元気の出るいつもの朝
「翔ちゃん。おはよう」「起きて〜」
この声から俺んちの朝は始まる。
オカンのでかい声。オヤジを起こしてるつもりらしいけど、俺も妹も
その声で起こされる。
「もも、おはようさん」「今日仕事は?」
「夜勤、夜勤」
「ちゃんと昼寝するんやで」
「はいはい」
オヤジは自営業、オカンは介護士。
この時俺は高校生で妹はまだ中学生やったな。
どんな時でも飯だけは絶対作ってくれる。
食う事は忘れたらあかんて口癖のように言うてる。
「はよ食べ」「ほら弁当も」
「オカン。今日の晩飯何?」
「今朝ご飯と弁当作ったばっかりやのに考えてへん」
「俺今日カレーな気分」
「ほな決定な。考えんで済んだわ」
「辛いのんにしとってや」
「翔ちゃん辛いの好きやもんな。任しとって」
「あ、お母さん明日何時頃帰ってくる?」
「なんかあるん?どないしたん?」
「ちょっと教えて欲しい事あんねん」
「明日にならんと分からんわ。誠帰ってくるまでにはさすがに居るやろ」
「誠。もも夜勤明けなんやから寝かしたれよ」
「分かってるって」「ほんまお父さんってお母さん好きよな〜」
「当たり前やろ」
「私も翔ちゃん大好きやで」
オヤジとオカンはホンマに仲がええ。
二人の出会いも結婚までの事も聞いたけど、普通では考えられへん。
ま、この二人やったらあり得るかって今は思えるけど、それを受け入れた爺ちゃんと婆ちゃんが凄いと思う。
ちょっとおもろいし、ぶっ飛んでる話やからそれはまた今度。
「もも、行ってくるわ」
「行ってら…翔ちゃん弁当忘れてる」
「あ、また忘れて行くとこやった」
「ちゃんと食べてや。行ってらっしゃい」「ほら、あんたらも」
「行ってき」
「行ってきます」
オカンは絶対玄関の外まで出て手振って送ってくれる。
オカンが夜勤明けで居らん時は物足りん気になるくらい、全力で手振って
笑顔やねんよな。
これが俺んちの朝。
元気の出る、笑顔になれる朝。
あ、そう言えばオヤジもオカンも名前で呼び合ってる。
前に聞いた事あるけど「普通やろ」「なんで?」で済まされたな。
また聞いてみよ。
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