心配



幼なじみで大親友の実咲と野球観戦に行った数日後、大阪市内にある官舎の沙羅の部屋に例の先輩女性隊員、池田規子が訪ねてきた。彼女も沙羅と同じ転生者であり、色々と話している内に仲良くなっていた。



「規子さん、どうしたんですか?」



「ほら、入隊して初めての現場があれだったから沙羅ちゃん大丈夫かなって心配してたんだけど・・・・・・」



規子は入隊してすぐに超巨大災害の現場を目の当たりにしたまだ幼さの残る沙羅を心配していたが、どうやら彼氏の野球チームの試合を見に行ったり、先程食堂でもしっかり食べたはずなのに、またおやつ感覚でお惣菜や何やを食べている新人を見て、心配いらなかったかなとひとまずはホッとする。



「いやーしかし、前世もそうでしたけど何でこの年頃ってやたらお腹空くんですかね、規子さんも食べます?」パクパクモグモグ



「いいわよ、さっき食堂でご飯食べたじゃない」



「あんなんで足りるなんて羨ましいですよ」



「いや、普通だから、いくら成長期でも沙羅ちゃんみたいに食べる子中々いないと思うけど・・・・・・」



「そうですかね、あ、そうだ聞いてくださいよ、この前ブレーブスの2軍の試合を見に行ってですね、私の彼氏が居るんですけどね・・・・・・それで興奮しちゃって・・・・・・・・・そんでそんで」モグモグ




「はいはい、ほらそんなご飯粒つけて」フキフキ



「ありがとうございます」モグモグ



ご飯粒をほっぺにつけて無邪気に話す沙羅に、規子は自身に妹がいたらこんな感じなのかなと微笑む。



「規子さん?」



「いや、沙羅ちゃんは可愛いなあって」



「残念ながら私はそっちの気はありませんよ、それに彼氏もいるし」



「そういう意味じゃなくてね・・・・・・ほら、前に話したけど私には血を分け合う家族が居ないから・・・・・・だから、沙羅ちゃんの事妹みたいに思っちゃって」



「規子さん・・・・・・大丈夫ですよ、私も血の繋がりはないですけど、規子さんの事姉みたいに思ってますから」



「ありがとうね、そういえば沙羅ちゃんは弟くんいるんだよね、かなり可愛がってたんでしょ?休暇貰ったのに帰らないの?」



「一人前になるまで、帰らないと決めたので」



「そう・・・・・・」



とは言っても、その発言とは裏腹に15歳の少女の複雑な表情を見てとった規子は、そっと沙羅を抱きしめる。



「沙羅ちゃん、もし、もしもね、たまに甘えたくなったら私がいるからね」



「規子さん・・・・・・」ギュ



普段は気丈にしていても、やはり沙羅も1人の少女で、色々と我慢していた事もあり、規子の胸に身を預け、涙を零すのであった。



































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