クリスマスデート後編
「博さーん、俊弥連れてきたよー」
久しぶりに会う曾祖父、そして親友である博文に彼氏を紹介しようと、部屋に入った沙羅は信じ難い光景を目にしていた。
「あ、沙羅さんお久しぶりです、彼が話に聞く俊弥くんですか?」
「う、うん、てか博さん立てるようになったん・・・・・・?それに何で筋トレしてんの?!」
「ほら、人間諦めなきゃ何でもできますよ」
「ほぇ〜・・・・・・」
なんというか唖然とする沙羅と俊弥だが、ひとまず落ち着いて俊弥が自己紹介をする。
「沙羅ちゃんとお付き合いさせて頂いている三藤俊弥です、沙羅ちゃんから貴方との話は色々伺っていますが、しかし・・・・・・失礼ですが90代でこんなにお元気とは・・・・・・」
「大丈夫?沙羅さん昔の事は都合いい話だけする癖あるから」
「おいこらどういう意味や」
沙羅の色々な事情は分かりつつも、曾祖父に曾孫が何か高圧的、いつも方言バリバリの沙羅が共通語気味という光景に頭が混乱しそうな俊弥である。
「というかあの、本当に何で筋トレしてるんですか?」
「お、俊くんよく聞いてくれたね」
初対面で急に距離を縮められて困惑する俊弥をよそに語り出す博文。
「・・・・・・というわけでさ、その同年代のボディビルダーが輝いて見えてねえ」
「で、リハビリも兼ねて筋トレを?」
「そしたら何かまた歩けるようになっちゃってウケるよね」
このじいさんやべえなと沙羅と俊弥は思った。
「てかあんたさ、何でそれ私に言わんかったん?」
「だってびっくりさせたいじゃないですか、医者の方がびっくりしてましたけど」
「そりゃそうよ、94年も生きてりゃ人間色々衰えるはずなのにそんな・・・・・・」
「沙羅さんが大人になるまでは死ねない約束ですからね、それにもうひとつ、花嫁姿を見るまでは・・・・・・ね」
そう言って俊弥に微笑みかける博文であった。
そして、博文としばらく話して、帰りは沙羅の両親が迎えに来て、車で帰る事になった。その車内・・・・・・
「花嫁姿か・・・・・・ねえ俊弥、18になっても私を好きでおってくれる?」
「・・・・・・そうね、僕が沙羅以外を好きになるってありえんと思うし」
親の前でそんな事聞くとかずるいだろと俊弥は思ったが、自身として沙羅以外の女の子にそういう感情を抱かないのもまた事実なので、正直に答える。
因みにそんな子供達の会話を瑠美と敏明は聞こえない振りをして聞いていた。
「ふふ、その頃私達どうなっとるか分からんけど、約束して、結婚できる18歳にお互いなった時・・・・・・絶対にその時は私と結婚してください」
「絶対にか・・・・・・約束する」
沙羅も絶対にというのは半分冗談のつもりであったが、俊弥が覚悟を決めたような目付きで見てきて、何か気が早くなってプロポーズしたのが恥ずかしくなる。
と、一部始終を聞いていた敏明が茶化し始める。
「まあ俊弥くんも息子んごつ思とったばってん、本当に息子になるかあ」
「ちょ、パパ茶化さんでよ!」
「ごめんごめん、でも沙羅の将来が安心できそうで良かった良かった、あ、ばってん俊弥くんのご両親に息子はやらん!とか言われたらどうする沙羅?」
「いや、それ普通逆が多いけんね・・・・・・」
「あ、そっか」
ガハハと笑う敏明を見て、あぁ確かに沙羅はこの人の娘だと思うと同時に、今まで以上に真剣に沙羅に向き合おうと決意する俊弥であった。
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