第四章 木村お悩み相談室

     1

「最近よくさあ、王子とサジが一緒に登下校してるの見るよね」


 話題尽きてとぼとぼ歩いている最中、わたしはふと思ったことを口に出してみた。


 いまは下校途中。

 けいひさとわたしの三人、制服姿で通学カバンを手にスポーツバッグを肩に、わら駅へと向かう狭い県道を歩いている。


 太陽を遮る木々で、晴れの日でも鬱蒼とした山道だ。


「ああ、そういえばそうだな。よく同じバスから降りてくるの見るね」


 久樹が、はっとしたような表情を浮かべた。


「駅が同じらしいからねえ。確か、とりっていってたかな」


 景子が補足する。


 JR香取駅。

 佐原駅の一つ隣だ。


 数年前まではそれぞれ香取市と佐原市と、駅の存在する市が分かれていたのだが、現在は合併によりどちらも香取市である。


 どうせなら佐原市の名前が残ればよかったのに、結局、市役所だって佐原のを使ってるんだし、観光の集客を考えてもそのほうがよかったんじゃないの?

 と、元佐原市民のわたしとしては思ってしまう。


「春休みに合宿やった直後から急速に仲良くなったよね。サジに友達が出来るのは嬉しいけど、でも遠くに行ってしまったみたいで、ちょっとさびしいなあ」


 親心みたいなものか。完全に上から目線だな、わたし。


 ゆうは、去年の秋までは、部の中で一人浮いている存在だった。

 小中学と受けてきたいじめが原因らしい。


 高校では環境も変化し、誰もいじめるような者もいないというのに、佐治ケ江の凄まじいまでに内向的な性格は変わらなかった。


 わたしが部長に就任して間もなく、一年生全員に対して面談を行なったのだが、その際、ボールを蹴ってられればそれで充分に楽しいから、だからわざわざ集団に溶け込むつもりはない、と本人にきっぱりいわれたことがある。


 そんな性格にちょっと変化が起きたのは、秋に行なわれたフットサル大会の時かな。

 緊張してガチガチになりながらも逆転ゴールを決めた。

 あれで、わずかながら佐治ケ江は変わり始めたのだと思う。


「贅沢いってんじゃないよ。さびしいもなにも、梨乃には最愛のダーリンがいるだろ。朝練ない日は、いちゃつきながら登校すりゃいいじゃん」

「まあ、そうだけどさあ」


 そうだよな。


 わたし、

 ミットと……


「エロいこと思い出して、テレてんじゃねえよ」


 久樹はわたしの脇腹を肘でつついてきた。


「あ、え、そそ、そんなんじゃ」

「ほ~んと、嘘のつけない性格だな」


 暖かい笑みを浮かべている久樹。


 その、見透かしたような笑みはやめて。


「だ、だからっ。王子とサジの話に戻そっ」


 久樹、勘がよすぎるよ。

 そういうのは、ゴールへの嗅覚だけにしてくれ。


「はいはい。で、サジが王子に取られてさびしいからなんだっけ。だったらいちゃつきながら登校すりゃいいじゃん、だっけ?」


 久樹……最近ちょっと意地が悪いぞ。


「王子といるからさびしいんじゃないよ。人付き合いからなにから、とにっかく不器用なサジが、そんなとこも含めて最近とても可愛く思えてくるようになったというのに、とんとんっと一歩も二歩も成長しちゃって、それが、嬉しいようなさびしいようなってこと。もちろん喜ばしいことだよ」

「親心だな。でも、王子と仲良くなるのはいいことだよね。サジの性格に、少なくともマイナスの変化を与えることはないだろうし」


 久樹は王子のことかなり認めているんだよな。

 顔を付き合わせれば、すぐに罵倒合戦が始まるくせに。

 まあ、ちょっと前までの、わたしとミットのようなものか。


 久樹は、王子の本質を見抜いている。

 乱暴だけども善良で素直だと。

 久樹の、人間を見抜く能力は信用出来る。春奈のことだって出合ってすぐに、内心しっかりしている子だと見抜いていたし。


 春奈は一見態度が軽くてちゃらちゃらしているものだから、わたしなんか、去年、転校してきたばかりの春奈に、相当にカリカリとしてしまっていたというのに。


 そんな久樹の眼鏡にかなっているのならもう、わたしの役目は終わりかな。

 佐治ケ江のことは、王子に任せよう。


 通学路でもあるこの山道を下り終え、平坦になった道を、さらに少し進むと、町並みががらりと変わる。


 田舎っぽいという以外になんの特徴もなかった眺めが、うって変わってある意味おしゃれにも思える時代劇のセットのような、古臭い感じの風景になる。


ここ佐原は、小江戸などと呼ばれており、知る人は知る一応の観光地なのだ。

 住んでしまうと、特にというか、まったく観光地としての実感はないのだけど。


 ここまで来ると、もう佐原駅もすぐ近くだ。


 山道の途中に小さな住宅街があり、わたしの自宅はそこにある。だから家に帰るだけならここまで降りて来る必要もないのだが、まあ友達付き合いというものだ。


 景子が、首や視線をきょろきょろとさせている。


「どうした?」


 久樹が尋ねた。


づきのお菓子屋さん、この辺らしいよね」

「え、そうなんだ」


 新入部員のづき、名前はやたらとカッコいいが、気が小さくてちょっと地味な子である。

 彼女の家は、佐原で和菓子店をやっているらしい。


 いまの景子のいうことには、この辺ということだが。


「これじゃない?」


 久樹が指したのは、明治大正よくても昭和初期といった古い造りの建物だ。

 瓦屋根の入り口は、そこだけ最近のガラス戸を使って、現在が明治でないことが分かる。


 入り口の屋根の上には、薄汚れた木の看板。


 九頭和菓子


 と、書いてある。


「間違いないね」

「ああ、この店かあ。何度も来たことあるよ」

「いい感じのお店だね」


 などと、ガラス越しに店内を見ていると、カウンターのところにいる小太りのおじさんが、立ち上がり、猛然とダッシュして、ガラス戸を開いた。


「お姉ちゃんたち、フットサル部の人でしょ? 葉月の先輩でしょ?」

「お、ご名答。葉月のお父さん? よく、先輩ってことまで分かったねえ」


 久樹が応対する。


「だって、ちょっと老けてるもん」

「むかー。なんだ、オヤジ!」

「冗談。しっかりしてるから上級生かなと思って。それに、裕子ちゃんから、聞いてるし。君ら、部長さんたちでしょ。三人、仲がいいって」

「なんだ、王子の奴、もう顔なじみになってんだ。つうか、なんなんだ、あの顔の広さは」

「君が久樹ちゃん? 裕子ちゃんの、お笑いの永遠のライバルだとか。みんなに佐原のハマちゃんと呼ばせてるとか」

「違うよ! なんだよ、お笑いって。あいつ適当なことを……」

「それじゃ、君が部長さんの梨乃ちゃんかな」


 葉月のお父さんは、わたしの方へ顔を向けた。


「はい」

「葉月が世話になってます。あの子、生真面目すぎるし社交性がまったくないから、大変でしょう。ノリがよくないというか、バカ騒ぎに絶対に乗ってこないというか、ちょっと付き合いづらいかも知れないけど、でも、とにかく真面目でいい子なんで、あんまり気にしないで、よろしく付き合ってあげてね」

「大丈夫ですよ。本当に練習態度が真面目で。すっかり、みんなの模範になってますから」

「そう。よかった。試合の時には応援に行くよ。あ、そうだ、せっかくだしお菓子持ってく? ダンボールごといいから」

「いえ、そんな。持ちきれないし。というより、えっと、じゃ、今度ちゃんと買いに来ますから」

「毎度」


 と、葉月のお父さんは深く頭を下げた。


 ……新手の商売手法か、これは。


 しかし、面白いお父さんだな。

 葉月がなんであんなに真面目でおとなしいのかが不思議だ。


 お客さんが来たのをきっかけに、ようやく葉月のお父さんから解放された。


「なんかさあ、甘い匂いの中にいたから、辛いものを食べたくなっちゃったよ。セカンドキッチンに行かない? 久々に」

「お、いいね」


 セカンドキッチンというのは、店舗数こそ少ないものの全国展開しているハンバーガーチェーン店で、佐原駅南口すぐそばの雑居ビル一階に、佐原店が入っている。

 駅の北口は、普通の田舎町として近代的に栄えているが、南口にはこういうお店がほとんど存在しない。

 だから、重宝がる人が多いようで、店内はだいたいいつ行っても混雑している。


 朝昼以外の時間帯は、大抵がわたしたちのような中高生の客だ。


 そこへ向かうことになったわたしたちであるが、その途中のこと、


「あれ、サジがいるよ」


 景子の視線を追うと、セカンドキッチン入口前の街路樹に、スピッツだかポメラニアンだか薄茶色の小型犬が繋がれている。

 学校の制服姿の佐治ケ江優が、その犬の前でしゃがみ込んでいる。


「今日は彼氏いなくてサジ一人か。なにやってんだ、あんなとこで」


 久樹のいう彼氏とは、王子、山野裕子のことだ。


 佐治ケ江は、ちんまりと座り込んでいる小型犬に、そろりそろりと手を伸ばしている。

 どうやら、頭をなでようとしているようだ。


 佐治ケ江は、犬嫌いというか、パニック起こして逃げ出すほどの大の苦手なはずなのだが。


 もさもさした髪の毛の下、顔の表情を見ると、やはりというべきか相当に辛そう。

 伸ばす手つきも、なんともぎこちなく、遠目からでもぶるぶると震えているのが分かる。


 そんな彼女のことを、犬も警戒し始めたようだ。

 耳を寝かせて、鼻に筋をつくっている。


 そしてついに、甲高い声で、鋭く吠えた。


 佐治ケ江は、うわと悲鳴を上げて後ろに転がった。

 スカートがすっかりまくれてパンツだかショートパンツだかが無様にも丸出しになっているのに、それに気づかず、いやそれどころではないのか、悪魔でも見てしまったかのようなもの凄い恐怖の形相で、慌てて起き上が……ろうとしてまた転び、すぐさまもう一度起き上がり、走り出した。が、すぐに駆け戻り、カバンを拾う。

 いまにも泣き出しそうな、みるも哀れな顔で、あらためて全力失踪で逃げていった。

 スカートの乱れをようやく直しながら、まったくわたしたちに気付くこともないまま駅の方へと姿を消した。


 それを見ていた通行人たちが、くすくすと笑っている。

 指をさして大笑いしている者もいる。


「きっと、犬嫌いを克服しようとしていたんだ」


 わたしは、笑えなかった。


「みたいだね。でも、あんなおそるおそるじゃあ、犬だって不安になるのは当たり前だ」


 久樹の、同情しているような表情。

 たぶん、わたしも久樹と同じような顔してると思う。


 しかし、なんにでも必死というか、楽に生きることの出来ない奴だな。


 いつも真面目な顔して。

 普通に生きることにも頑張っちゃって。


 それが佐治ケ江のいいところではあるんだけど、でもこのままでは、いつか本人が壊れてしまう。


 王子と友達付き合いをすることで、多少タフというか無神経なところを学んでくれればいいんだけど。


 あんな、笑顔の少ない毎日じゃあ、いくら本人がいいといったって、やっぱり窮屈だよ。

 もう少しだけ、楽に生きないと。


 あ、いや、少ないもなにも、一度も見たことないな、佐治ケ江の笑顔なんて。


 どんな時、どんな顔で、笑うんだろうな。

 そして、どんな人が、その笑顔を見ることが出来るのだろう。


     2

「妊娠したかも」


 え……

 わたしは目が点になっていただろう。

 たぶん。いや絶対。自信ある。


 ここは体育館裏にあるフットサル部の部室。

 プレハブの、細かく仕切られた中の一室だ。


 汗臭いこの空間に、いま存在しているのは、らくやまおりとわたしの二人だけ。


 密室ではないが、壁の向こうに誰かいれば分かるので、秘密の相談事には充分に役立つ部屋だ。


 しかし、まさか、こんな話をすることになるとは。


 悩みがあるというから、てっきりフットサルのことかと思っていたのに。

 次代ベッキをどうするかとか、自信なくしちゃったとか、一年たるんどるとか。


 それどころか、よりにもよってそんな……

 唐突に……


 わたしいま、顔が真っ赤になっているんだろうな。たぶん。いや絶対。セカンドキッチンのハバネロソースバーガー賭けてもいい。


「……生理、来ない、とか」


 おずおずと聞いてみる。


「当たり前じゃない。来てたら騒がないって」


 それは、そうか。


「検査薬で調べてみた?」

「恥ずかしくて、まだ買ってないんだよね」


 そこまでは、さすがの織絵も恥ずかしいのか。


「そもそも、何故あたしに……」


 部長だからなんて関係ないよな。


 ひょっとして、久樹が余計なこといったとか。「グッドタイミング、ちょうどいい相談相手がいるよ!」。いやいや、まさか。


「だって、あたしの知ってる彼氏持ちって、分かってる範囲で梨乃しかいないし。あんたたちだって付き合ってりゃ色々あるでしょ。だから、そういうことも気にしたり勉強したりしてんのかなって思って。そしたら参考になるかなと」

「それは、まあ……」


 わたしは、恥ずかしくて織絵と視線を合わせることが出来なかった。


 いや、わたしのことはどうでもいい。いまは織絵の話だ。


 ……でも結局、織絵の期待するような参考意見など、なにも出してあげることは出来なかった。


 無理だろう。

 織絵とわたしとでは、その、なんだ、そういうことへの、年期が違いすぎる。

 経験を元にしたようなコメントなどなにも吐けるわけがない。


 わたしは、ちょっとませてる子なら小学生でもいうような、ごく一般論的なことしかいえなかった。


 でも織絵にとっては、わたしが話を聞いてあげたというだけで楽になったようだ。

 なにかあった時に逃げるような彼氏じゃないと思うから、相談してみるとのこと。

 まあ、それで本人がすっきりしたのならよかった。でも、


「そもそも、そうならないようにちゃんとしなきゃ。『責任とって結婚します、だからいいでしょ』なんて、そんなのダメだよ。もっと重たい問題なんだからね」


 またまた、一般論を吐くわたし。

 でも、生命のかかわる問題なんだからな。

 これは大事なことだ。


「でもさあ、分かっててもそう出来ない時っていうか、シチュエーションっていうか、ムードっていうか、あるじゃん。梨乃だってそういうのあるでしょ」

「そりゃあまあ……っと、だ、だからあたしにそういう話を振るな! 絶対答えない!」

「純情だなあ、梨乃は」


 別に純情ではない。そういう話に慣れてないだけだ。


「でもまあ、楽になったよ。ありがとう。じゃ、部活に出ますか」

「身体がどうなのか、はっきりするまで、休んだ方がいいんじゃ」

「平気平気」

「あたしが平気じゃないんだけど」


 二人で部室を出て体育館に行くと、既に部員たちはみんな揃い、副部長であるひさの指示のもと、練習を始めていた。


「久樹、ありがと。もう済んだから」


 とバトンタッチしたはいいが、織絵のせいですっかり気が動転してしまっていたわたしは、全然普段通りの指示が出来ずに、なんだかグダグダな練習内容になってしまった。


 こういう問題って、自分のことよりも身近な他人のことの方が、ドキドキして気になってしまうものだな、としみじみ思った。


     3

 自宅に帰ってきたのは夜の十時。すっかり遅くなってしまった。


 今日は後輩のきぬがさはると、二人で東京へ遊びに行って来たのだ。


 春奈と東京へ出かけたのは、これで二度目。

 目的は前回と同じで、渋谷まで服を買いに行ったのだ。


 今回も、全部、春奈に選んでもらった。

 この前は、なんのお礼もしなかったから、今日は美味しいと評判らしいイタリア料理のお店で食事をご馳走させてもらった。


 その後、フットサル観戦のために千葉の浦安へ向かった。

 Fリーグという、将来的にプロ化を目指しているフットサルリーグのクラブチームがそこにあるのだ。


 キックオフの時間は夕方の四時。


 こうした試合を、生で観戦したのは、わたしは三回目。春奈は、初めてとのことだ。


 個人技に迫力があり、攻撃と守備の戦術にどちらのチームも確固とした理論を感じて、見ているだけでとにかく色々と勉強になった。

 人数は多くないけど熱いサポーターもいて、彼らの応援も面白かった。

 わたしはどっちを応援するというつもりはなかったのだけど、座ったのがホームチームの応援席側だったものだから、つい周囲の人と一緒になってホームチームの応援をしてしまった。


 本当は、セントラル開催といって、全チームが一カ所に集まって試合を行う日があり、それを観戦したかったのだが、チケットの人気が高くて入手出来なかったのだ。

 でもまあ、一試合だけでも充分に堪能出来たけど。


 会場を出たのは五時半。

 総武快速線に乗るため、いったん東京駅へと戻る。


 そのついでに、東京駅構内で、銀座たまやのごまたまごを何箱か買った。

 うちとひさけいへのお土産用だ。

 渋谷と浦安に行って何故東京駅で土産? と久樹にいわれるかも知れないけど、以前に人から貰って食べたことがあって、とても美味しいと思ったものだから。


 総武快速線、成田線、と乗り継いで、延々と揺られて、途中のなめがわ駅で春奈は下車し、さらに揺られること二十分、九時半に佐原駅に到着した。


 自宅に帰ってきて、お風呂で疲れを落としたわたしは、さっそくはる先輩に電話をかけてFリーグ観戦の興奮を話した。

 はる、わたしをフットサルと引き合わせてくれた、心の恩師だ。

 勝手に先輩と呼んでいるだけで、わたしと同学年だけど。


 春江先輩も受験勉強とフットサルとで相当に忙しいらしい。

 彼女自身のちょっとした息抜きや刺激になるかなと思ってかけた電話だけど、あまり時間を奪ってしまっても申し訳ないので、話そこそこにして受話器を置いた。


 と、置いて一呼吸もしないうちに、ベルが鳴った。

 昭和の時代からうちにある黒電話なので、油断している時にジリジリ鳴られるとドキリとする。

 再び受話器を手に取ると、今度はおりからだ。

 名乗りや挨拶も手短に、本題に入った。


「生理来たわ」


 そんな、織絵の一言。


「あ、そう……」


 気のない返事をしたわけじゃない。

 いきなりのことに混乱して、なんといっていいのか分からなかったのだ。


 その後の会話、まったく覚えていないが、二言三言をかわして、電話を切った。


 床にお尻、壁に背を預けた体勢のまま、時間も忘れてしばらく呆然としてしまっていた。


 だんだんと、頭がはっきりとしてくる。

 同時に、込み上げてくる、なんともいえない感覚。


 畳の下にもぐりこんで、永遠に引きこもってしまいたい。

 それくらい、急に恥ずかしい気持ちになってきた。


 なんだよ……

 結局、聞かなくてもいい相談を受けてしまっただけじゃないか。


 まあ、なんともなかったのだから、それはよかったんだけど。

 単に、わたしが恥ずかしかったというだけのことで。

 でも、本来は、織絵が一番恥ずかしいはずなのに……


「なに、けろっとしてんだよ、あいつ!」


 わたしは、怒鳴っていた。

 あの太い神経が羨ましい。


     4

むら先輩、相談があるんですけど」


 唐突にかじはなにそう声をかけられたわたしは、どきりと飛び上がりそうなくらいに驚いた。


「なんだ、ハナか」


 まったくもう。織絵のせいだ、なにもかも。


 相談ということで、部室に行き、話を聞いてみると、なんのことはない、単なる部活の悩みだった。


 そうと分かって、ほっと安堵のため息が出た。

 学生の本分は勉学とクラブ活動。

 だから悩みにしたって、必然的にそういうのが多くなるべきなのだ。花香、分かってる。織絵と違って。


 花香の相談したい内容というのは、いくやまさとのことだ。


 里子は、花香とは中学一年からの友人。

 いままで部活はバラバラだったが、このフットサル部で、初めて一緒になった。

 だから、花香としては三年間ずっと一緒にやっていきたいと考えているのだが、


「あの子、毎年部活を変えちゃうんですよねえ」


 花香はさも困ったぞという表情を浮かべた。

 春奈ほどじゃないけど、大袈裟に表情をつくる子だな。


「知ってる。前に自分でそういってたからね。本人がそうしたいのなら、強制は出来ないでしょ」

「そんな冷たい」


 花香はまるで漫画みたいに唇を尖らせた。


「でも、みんなを追い抜いてトップに立ったら辞めるんでしょ? サジもひさもいるし、出来るかな。中学の部活は、それまで未経験って子が多いから他人を抜くのも容易かも知れないけど、高校は違うよ」


 そもそも、集団競技というのは個性を組み合わせてチームを作るわけだろ。「トップ」ってなんだ? いままでの部活では、どういう基準でそう判断して辞めてきたのだろうか。

 個人競技ばかりだったのかも知れないけど。


「先輩は知らないんです。里子の運動神経は、並じゃないんですよ。それはもう凄いんですから。これまでだって、そう宣言して、実行して、部を辞めてきてるんですから」

「まあ、運動神経抜群なのは、見てよく分かってるよ」


 それとこれとは、話が別。


 こういった話になると思い出すのが、去年の秋に退部したたけふじことの件だ。


 一年生を対象に面談を行なっていたある日、なんだか竹藤の様子がおかしいなと思っていたら、退部届を差し出してきた。

 部長になったばかりのわたしは、突然のことに動揺しながらも、なんとか引き止めようとした。

 でも彼女の意志を変えることは出来なかった。


 竹藤は、運動神経はそれほどないというか、むしろ低く、飲み込みも非常に悪かった。

 それでも少しずつ成長して、本人なりになにかを得ればいいんじゃないか、わたしはそう思っていたのだけど、竹藤にとっては辛いだけの毎日だったらしい。「やり続けなければ、向いているのかどうかなんて分からない」、そういうわたしに竹藤は、「三年間やり続けて報われなかった時、責任とってもらえるのか」そう尋ねてきた。

 わたしはそれに対してなにも答えることが出来なかった。

 退部を許可するしかなかった。


 そして、竹藤は英会話部に入った。

 たまたま教室の前を通って英会話をしているのを聞いたことがあるのだけど、スラスラと英語を喋っていて、凄いなと思った。

 フットサル部にいた時とは裏腹に、とても自信に満ちた、楽しげな表情。

 わたしが英会話部なんかに入っていたら、すぐ鬱になって辞めたくなっていただろう。


 わたしは、人には人の場所があるのだということを学んだ。

 そして、身勝手だった自分の考えを反省した。


 後日、竹藤がスピーチ大会で千葉県代表に選ばれたと聞いて、わたしはますます自分のその思いを確信した。


 と、このようなことを簡単に花香に話してやった。


 花香は眉間にしわを寄せて、う~んと唸った後、


「でも里子は、向いてるのを探すというより、ゲームクリアしたから次に行こって感じですからねえ」

「だからそれはそれで、里子の生き方なの。尊重されるべき考え方なの」

「そうかなあ。そもそもさっきの竹藤先輩の話、責任がどうこうって、そんなこと聞いてたらなんでも認めてやって、甘い態度ばかりしてなきゃならなくなっちゃいますよ」

「意外にずけずけいうとこあるね、ハナって」


 幼い顔しちゃって。


「この部に所属している限りは、あたしもいろいろ厳しいこというよ。仲間、先輩、部長として。でも、どうしても辞めたいというのなら、それは止められないよ」

「まあ、そうですね」


 王子だったら、「あたしがどーんと責任とってやるよ」なんて大見得きっちゃうかも知れないけど、でもやっぱりわたしには、そんなこと出来ないな。

 もちろん、花香のいうことにも一理も二理もあるのは分かるけど。


「クリアされちゃった元の部の人たちと里子が、気まずい関係になって、フォロー大変なんですよね。あたしたちが歩いてると、里子のいたとこの元部長が睨みつけてきたりして。なんであたしまで睨まれなきゃなんないの。あたしセンドウなんてしてないのに、って」


 まあ、そうなるだろうなあ。

 抜けられた側の感情としては。


「でもあたしね、本当は里子も、自分に向いているものを探してるのかも、って思うんですよ。本当に熱くなれるものを。でも里子くらいなんでも出来れば、そんなものはいくらでもあると思うんです。でもそれに気付かない」

「だから気付かせて欲しいってことか。でも悪いけど、里子のために特別にどうこうするつもりはないよ。勿論、うち部員の数も多くはないから、一人でも大事にしたいとは思っているけど。でも、みんな平等だから」

「は~い」


 花香は、つまらなさそうに頷いた。


「……ただ里子と一緒にいたいだけなら、くっ付いて、転々とすりゃいいじゃん。一緒にいることが大事なのか、三年間同じところで共に頑張りたいのか、どっちなの?」

「もちのロン吉、三年間ここでやることですよ。あたしがフットサル部に入部してよかったと思っているのもありますけど、里子にも、わがままいわずに頑張り抜くことを知ってもらいたいし」


 なんだか、里子のお母さんみたいだな。

 ……それはそうと、なんだよ、もちのロン吉って。昭和か。


 しかし、面白い二人だよなあ。

 花香と里子。

 性格が対極にあるのに、とても仲はよくて。


 でも、考えてみれば、しげ、王子ともそうか。


 まるで違う性格の方が仲良くなりやすいものなのかな。景子も久樹も、わたしにとってまるきりの正反対でもないから、よく分からない。


 まあとにかく、織絵みたいな相談事じゃなくてよかった。


 里子を特別扱いはしないけど、意識はするということで、花香には折り合いをつけてもらった。


 さて、部活に出なきゃ。


 今頃、久樹がわたしの代理で練習の指示をとっているだろう。また久樹に迷惑かけてしまったな。


     5

「次、さと!」

「はい」


 いくやまさとは、わたしの転がしたボールを受けると、ドリブルで細かいコーンの間をするすると抜けていく。

 折り返し、またドリブルで戻ってきて、わたしへとボールを戻す。


 試合に出るには、まだまだではあるけれども、でも確かに、運動神経抜群なのは分かる。


 まだ荒いところはたくさんあるけれど、ゼロから始めてまだ数ヶ月だなんて信じられないくらいに上手だ。

 サッカーもやったことないといっていたのに。


 ボールの蹴りかたの基本は、もうなにも教えることがないくらい。むしろ、いま後輩が入って来たとしても、そこそこ教えられるのではないだろうか。


 爪先ちょんちょんリフティングも、王子より遥かに回数を多くこなせるようになったし。……まあこれは、王子が出来なさすぎというのもあるのだけど。


 わたしなんかは、ひたすら回数をこなして百を経験して十を習得するタイプだけど、里子は一を教えて二、三の経験をすれば十を身につけてしまうところがある。

 もちろんこれは、初期ゆえの成長曲線であって、この角度のまま延々と伸び続けてひさを抜いてしまうというようなものではないだろうけど(本人はそのつもりでいるらしいが)。


 入部して以来、里子と衝突ばかりしていて、どうにも相性のよくなかったなしもとさきだが、彼女は本人の希望によりゴレイロを専門にやることになった。

 当人は「あんたと絡みの少ないポジションだからね」と、ピヴォ候補の里子にいっていたが、おそらくは、それが理由ではないだろう。


 咲は、頑張っても足元の技術があまり上達しなかったのだ。

 里子がそこをからかったりしてきていたならともかく、一切なにもいわなかったものだから、それが無言の圧力となって咲には辛かったようだ。

 そうなることを狙ったのか、里子なりの武士の情けだったのかは分からないけど。


 咲は口数が少なくて、いつもムッとしたような表情で、いつもみんなの輪の外に立っているが、意外と純朴そうでもある。

 口は悪いけども、練習態度は驚くほど真面目だし。


 気難しくてすぐにふて腐れるところがあるから大変だろうけど、たけあきらに頑張ってもらうしかない。

 ゴレイロとして後輩への指導が出来る者なんて、この部には晶しかいないのだから。


「違う、違う、ハナ、足はこの角度から、で、軸足はこうしといて……こう! ね。」


 王子が大きな身振りで一年生に熱血指導している。


 ほんと、一年が入ってきてから王子はいきいきとしているな。

 なんだかんだ文句いいながらも、毎日喧嘩しながらも、里子のこともしっかり見ているし。


 いま王子たちがやっているのは、二年生と一年生とでの、ボールを使った基礎練習だ。


「早く次のステップに行きましょうよ。そうやって同じことばかり繰り返しているから、先輩、一年生に追い抜かされそうなところにいつまでもいるんじゃないですか?」


 生山里子は、まったく悪びれるふうもなく、単に思ったことを口にしただけといったちょっとけだるそうな表情でいった。


「基本練習は、同じこと繰り返すのがいいんだろうが! 野球選手が毎日の練習でアクロバットみたいなキャッチボールばっかしてるか?」


 王子は、ぎくしゃくとした硬いつくり笑顔で里子を諭す。


 これは……爆発一歩手前だ。


「基本基本ってつまらないんですよ。早く久樹先輩やサジ先輩の背中を捉えたいのに」

「じゃ、あたしのこと抜いてみろ! ここで! いますぐ!」


 また王子、里子の挑発に乗っちゃってるよ。

 扱い方を学習しろっていってるのに。


 とにかく、こうして二人は、基礎練習そっちのけでボールの奪い合いを始めたのだった。


 でも、

 それは見ていて、なかなか興味深い戦いだった。


 力は均衡、奪っては奪われ、だ。

 しかし、何故均衡しているのか分からないほどに、王子の方が圧倒的に下手に見える。


 実際、王子の足元の技術はそれほど高くはない。もしかしたら、既に里子のほうが上かも知れない。


 膠着しているのは、王子の経験と、意地というものだろうか。


 いや……足の動きだけを冷静に見ると、王子のボール捌き、以前に比べて、かなりよくなっているぞ。


 かなり上達したな、と合宿の時に思ったけど、同時に、まだまだだなとも思っていた。

 あの時よりも、一歩二歩、小さいけれどもはっきりと、実力が向上しているのが分かる。


 姿勢や動きがなんだか猿っぽいというか、ちょっと滑稽で、それで下手に見えるだけなんだ。


 だんだんと、王子のボール保持率が上がっきていた。

 簡単には、里子にボールを渡さなくなってきた。


 異常なまでに体力のある王子の方がキープしているとなれば、必然的に、時間の経過と共に王子と里子のスタミナの差が開いていく。


 やがて、里子の息が上がってきた。


「今日は体調悪いから! やめた!」


 里子は踵を返し、床を踏み鳴らしながら王子から離れた。


「あたしの勝ち~」


 王子はボールを引き寄せつつ爪先で高く真上に蹴り上げて、右手にキャッチした。

 おおっ、いつの間にそんな小癪な技覚えたんだ。


「違います、ちょっと勝負を延期するだけです!」


 里子は振り返って、王子を睨む。


「まあ、そういうことにしといてやるよ」


 珍しいことに、今日は王子の勝ちだな。

 完全に。


「一年生相手にムキになっちゃって、ほんと大人気ない」


 王子たちの勝負を見ていた武田晶は、そういいながら、自分の練習に戻ろうと床のグローブを拾った。


「ん? ジャガイモお剥きになっちゃって? お前だろ、ジャガイモは」

「耳悪いのかお前は!」


 晶の顔が、瞬間的に真っ赤になる。


「裕子ちゃん相手にムキになっちゃって、ほんと大人気ない」

「……しっかり、聞こえてんじゃん。……咲、練習するよ!」


 普段、感情があるんだかないんだか分からないような晶を、一瞬で、こうまでイラつかせるとは。

 ジャガイモ料理で王子の右に出る者はいないな。


「梨乃先輩、聞こえた!」


 晶の怒鳴り声。


「あ、あ、ごめん。つい……」


 いけない、どこまで喋っちゃったんだろ。

 わたしって無意識に思ってることをそのまま口に出してしまうことがあるからな。


 晶は、咲とゴレイロの練習メニューを始めた。

 なんだか、気合入ってる。

 王子とやりあったあとの晶は、いつもこうだ。

 ま、悪いことじゃないよな。


「久樹、すっかり王子の漫才の相方が変わっちゃって、寂しいね」


 わたしは浜虫久樹の頭に軽く手を置いた。


「そうだね。肩の荷が降りたようなさびしいような。……って、別にあたしは誰とも漫才なんかやっとらんわ!」


     6

「だいたいは、要領分かったかな。たぶん」


 おおきぬさんは、そう呟きながら指で空気をなぞって、なにやら自分の心にメモしている。


 今日はわたしと絹江さんとで、お店のお手伝い。従業員のヒデさんの運転で、豆腐の配送だ。


 現在、軽トラックの中。茨城まで行った、その帰り道だ。


 ヒデさんが運転手で、絹江さんは助手席。

 わたしは、真ん中後ろの狭い空間にしゃがんでいる。幼い頃には、よくここに乗せてもらったものだけど……もう高三とはいえ、ここまで窮屈とは。太ったかな。


 絹江さんは近々わたしのお母さんになる存在。

 まだ戸籍上の繋がりはないけれど、そんなものを待つまでもなく、わたしと彼女とは、もうすっかり打ち解けた関係になっていた。


 今後どうするつもりかは聞いていないけど、現在のところ絹江さんは仕事を持っている。

 だから、うちに来るのは平日の夜か、今日のように土日の休日しかない。


 今日、お店を手伝いたいといい出したのは絹江さんだ。


 お店がきついからやっぱり婚約解消だ、などということは決してないけれども、でも、とにかく事前にどんなものなのか体験はしておきたい。と、そんな考えからだ。


 職場体験第一回目であるこの日は、配送の要領と伝票の書き方を覚えてもらっている。

 今日は、日曜日にしては主要な取引先が何件も入っているので、大事なお客さんを覚えてもらうのにも丁度いい。


「絹江さんのことさ、近いうちに、お母さんって呼ぶことになるんだよね」


 単に会話が切れたからだろうか、さしたる意味もなく、わたしはそんなことを呟いていた。


「梨乃ちゃんの好きに呼んでいいから。別にお母さんじゃなくたって。呼び捨てだって。心では親と認めなくたって、仕方ない。わたしたちの勝手で結婚するのだし、考え方に強制は出来ないからね。……って、どう思われるか分からないから、心に予防線張ってんだよね」

「そんな……お母さんになってくれたら、嬉しいよ。呼ぶのは、最初はちょっとテレちゃうだろうけど。絹江さんも、梨乃って呼び捨てにしてよね」

「え、テレちゃって呼べないかも」

「ずるいなあ」


 わたしたちは笑い合うと、また、会話が切れて、三人ともずっと無言の状態になった。

 もともとヒデさんは、ほとんど黙ったままだったけど。


 しばらくして、わたしはまた口を開いた。真顔のまま、こんなことをいった。


「白状するとね、絹江さんのことでお父さんと大喧嘩したことがあるんだ」

「え、いつ?」


 絹江さんは、素早く振り返り、びっくりしたような表情で、わたしの顔を見る。まあ、当然の反応だろうな。


 わたしは、うっすらと笑みを浮かべて、


「去年」


 そういって、悪戯っぽく笑った。


 その頃はまだ、お父さんと絹江さんは会ってもいない。


 去年の九月頃かな、おばさんがお父さんに、いい人を紹介しようかと再婚をすすめたのは。


 わたしは、最初は無関心だった。

 したけりゃすればいいだろ、と。


 でも、だんだんと腹が立ってきた。というか、再婚というものが汚らわしいものに思えてきて、また、死んだお母さんはどうなるんだという怒りと悲しみが沸いてきて、それでお父さんと衝突してしまったのだ。


「喧嘩、といっても、あたしが勝手に荒れ狂って、お父さんのこと殴る蹴るしちゃってた、ってだけなんだけど」

「そうなんだ」

「怒ったらごめんね、全然いまはそういう気持ちじゃないからこそ、こうやって話しているんだから。お見合いという話が出ただけで、会ってもいないんだから、絹江さん全然関係ない。半分冗談でいってみただけ」

「分かった。でも、親の再婚って、やっぱり色々と考えちゃうよね。あたしの知り合いも、中学の頃に母親が再婚して、そしたらその子、高校になってすぐ家を出て一人暮らししちゃったからね」

「まあ、あたしの場合は、学校でのことやらなにやら色々あって、あたしの精神状態が疲れておかしくなっていただけで、再婚話にはすぐに賛成するようになったけどね」


 などとわたしが話すまでもなく、絹江さん、こういうことは全部知っているのかも知れないな。


 だってお父さんったら、わたしが四歳直前までおむつしてただの、勝手に電車に乗って福島県で保護されただの、小学高学年まで親のお風呂に入ってきちゃうだの、わたしの恥ずかしい話を、わたしがいる前で平気な顔でペラペラと喋っちゃうんだもの。

 わたしがいないところなら、それ以上に喋りまくっているんじゃないだろうか。


 でも、「梨乃は死んだお母さんのことがとても大好きで」と、この一言は嬉しかったなあ。

 だって、お父さんがわたしのこと分かってくれているってことだし、それに、お父さんが絹江さんにそんなこというってことは、絹江さんとの信頼関係がちゃんと築けているという証拠でもあるしね。

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