第44話

「それにしても、すごい本だね。……紙葉の家ってどんな本なの?」

 少女が大きい本を見てビックリしながら、そう訊く。

「うん、ピューリッツァー賞を受賞したフォトジャーナリストが、引っ越してきた家でおきた怪異を映像におさめた映画を、孤独な老人がウンチク全開で紹介して、それを知り合いの青年が適当に註釈を入れたという『設定』の小説」

「うーん?」

 夏緒の説明に、首をかしげる少女。

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