第30話

さて、ここまで読んで気づいた読者ひともいるだろうけど、夏緒には欠点がある。それは

『名前が覚えられない』

ということだ。

 あれだけ図書館の本を読んでいて、本の題名が思い出せない(そのくせ内容なかみについては普通に説明できる)し、喋ってる目の前にいる生徒クラスメートの名前も一括して『少女』と覚えている。

 数少ない名前を憶えてる友だちである霧島きりしま拓海たくみ

「あたしが名前覚えてもらえるのも、苦労したんだぜ」

と、語っているものだ。

 夏緒本人は

「まあ昔からそうだったからね。なるようにしかならないさ」

と、言っている。

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