第8話

 ある国の王様が、狩に出かけて、自分の弓を無くしてしまった。

 そばにいた家臣たちは、

「どうか、捜させてくださいにゃ」

と、頼んだ。

 王様は

「よせにゃ、わが国の猫が弓を無くして、わが国の猫がそれを拾うのにゃ。どうして捜す必要があるにゃ。その必要はにゃい」

 さて、ある賢猫かしこがこのハナシを聞いて、こう言った。

「惜しいにゃあ、この王様の考えの大きくにゃいのは。同じことなら『猫がそれを無くし、猫がそれを拾う』でいいにゃ。どうして『わが国』と限る必要があるにゃ、その必要はにゃいのに」




「ふうん、つまりは、そういう固定かたい観念かんがえはよろしくないと」

 ボクがそうまとめると、夏緒はこう付け加えた。

「でも、それなら、考えてみれば」

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