図書室の主とその友達とその知り合い

今村広樹

第1話

 学園都市立戸沢高校の図書室には、主と呼ばれる少女がいるという。

 こう書くと、深窓の令嬢風の儚げな少女を想像するだろうけど、実際はまあなかなか痛烈な女傑アマゾネスである。

 さて、ある日。

「あーい、なついるかい?」

「喚かなくてもわかるよ、阿呆」

 図書室にやってきたのは、あんりという名前からほほど遠いチャラ付いた野郎みたいな少女、つまりはボクである。

「ヒドイな、いいもの持ってきたのに」

と、杏が持ってきたのは大戦たいせんヒストリーダイジェストと書かれた分厚い本だった。

「おお、これは……」

 夏緒が杏を無視して、本を読みだすのに時間はかからなかった。

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