第003話 だれやコレかいたやつ!

ノリ重視! で突き進んでいきます。


分かりにくい方言っぽいものがあればアドバイス

よろしくお願いします◎(前向きに検討)


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自分の部屋に転移したリンディエールは、魔法で泥などを落とし、腕輪を起動させた。すぐに音が鳴ってヒストリアと繋がる。


『ついたで〜』

《そうか。今日はもう寝ろよ?》

『わかっとるって。おきたらまたレンラクするわ』

《ああ……お、おやすみ……っ》

『おやすみ〜!』


魔力を切るとベッドに入る。


「おもろい、いちにちやったな……」


実際は数時間のことなのだが、なんせ内容が濃過ぎた。


リンディエールは腕輪のはまった腕を持ち上げる。隠蔽の魔法がかけてあるので、他人に見られることはないだろうと言われていた。だが、きちんと認識した者ならば見えるため、高い魔力察知能力のある者には見破られるらしい。


「まあ、まんまあのおとめ乙女ゲームとはちがうゆうことはわかったな……ちゃんとけんまほう魔法もあるし、レベルも……『ステータス』」


ステータスを見るのにもそれ専用の魔法があったのだ。特殊な魔導具でも見られるらしい。



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個称  ▷リンディエール・デリエスタ

 (ウィストラ国、デリエスタ辺境伯の長女)

年齢  ▷5

種族  ▷人族

称号  ▷家族に忘れられた子ども、

     家族愛を知らない子、

     使用人達に愛される娘、

     目覚め人、エセ関西人(笑)、

     暴虐竜の親友、魔法バカ、

     竜の加護(大)、

     神々の考察対象、

     神々の加護(微)

レベル ▷15

体力  ▷500/800

魔力  ▷200/1500


魔力属性▷風(3)、火(5)、土(5)、

     水(3)、光(5)、闇(5)、

     無(5)、時(5)、空(5)

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シンプルで分かりやすいなと思って納得しようとしたが無理だった。


「はあ!? なんや『エセ関西人(笑)』って! だれやコレかいたやつ! しばいたるぞ!」


帰ってきてすぐに音を遮断する魔法をかけておいてよかった。


もちろん、自分でも関西人になりきれていないのは分かっている。関東出身の祖父母とも仲が良く、よく遊びに行ったので方言が混じっている。生粋の関西人な父親とは仕事で幼い頃はすれ違い。大阪、京都は一年単位で動いたりしたし、色々混じってしまったための『似非』だろう。


「『魔法バカ』はええねん! バカゆわれんのはゆるせんが、これはゆるせるわ!」


実際、魔法バカだと、ほんの数時間で自覚したので、これは許せる。


「この『神々の考察対象』ってなんや!? なにをかんがえるつもりやねん!」


しばらくぎゃーぎゃー騒いで、リンディエールは最終的に不貞寝した。


次の日。


昼ごろに起きると、家令のシュルツが部屋をノックする所だった。


「失礼します……お嬢様。ご気分はどうでしょうか? もうお昼の時間なのですが」

「ん? あ、ごめんなさい。よるにちょっと、ねられなくて……ねぼうしました……」


気まずげに言えば、シュルツはクスリと苦笑する。


「そうでしたかっ……では、もう起きられますか? お食事のご用意をいたします」

「ありがとうっ、おなかすいた……」

「ふふふっ、では、先ずは着替えを……」

「じぶんでできるよっ。おひるは、みんないそがしいでしょ? だいじょうぶ」

「そう……ですか? わかりました」


この家では、朝同じ時間に家族が食事をしない。


父は領主館へ日が昇る頃には出かけ、そちらで軽食で済ませる。母は朝に弱く、昼近くに起きて軽食。兄は病弱で朝は特に調子が悪くなるため、食事を取ったり取れなかったりらしい。


この家で本来の朝食の時間に取れるのはリンディエールや家令、メイド達だけ。使用人は一般的には家の者達が朝食を取る前に済ませる者と、後に取る者と分かれて食べるらしい。だが

、リンディエールがたった一人で食べることが嫌で、使用人達と一緒に食べることになったのだ。


これは、今思えば、前世の記憶が影響したのだろう。誰かと一緒に取ることを知らなければ、嫌だと思うこともなかったはずなのだから。


着替えを済ませ、部屋を出る。使用人達の使う食堂に向かった。


基本、リンディエールは朝、昼、晩と使用人達の所で食事をしているのだ。


父はまず夜も夕食の時間には帰ってこない。母と兄は朝が遅いので、必然的に昼も少しだけズレる。夜は母が兄の様子を確認するために、二人で取る。


これで分かるだろう。リンディエールが要らない子であると考えるのも自然である。だが、使用人達には必要とされているはずだ。


「おそくなってごめんなさい」

「あっ、お嬢様っ。良かった〜。心配しましたよ」


メイドの一人。着替えを手伝ってくれたりするまだ十代のお姉さんだ。


「ごめんね? よるねれなくて……やっとねられたの、そとがあかるくなるくらいだったんだよ」


リンディエールは意外とあの口調にならないなと安心した。しっかり五歳まで生きてきた間の習慣は付いているらしい。


「はあ……お嬢様まで病気になったら、旦那様や奥様がどうなるか……」

「ははっ。どうもなんないよ。けど、みんなのめいわくにならないようにきをつける」

「お嬢様……っ、さあ、食べましょう」

「うんっ」


食事をしながら、使用人達を注意深く見ていた。実は、ヒストリアの所から帰る時に忠告されたのだ。あの誘拐に、使用人が関わっている可能性があると。


『ヒーちゃんおはよう』

《お、おはよう……っ、きちんと眠れたか?》

『さっきおきたんやで? ろくじかん六時間くらいねたわ』


頭はスッキリしている。


《なら良いが……無理するなよ?》

『わかっとるて。ムチャはしてもムリせんのがウチやで』

《お前は……わかった。それで、鑑定は使えているか?》

『今やっとるで。なんや、ヒーちゃんをかんてい鑑定したときはごっそりまりょく魔力がぬけるかんじがしたんやけど、なんにんやってもほとんどへらんで?』


鑑定とは、他人のステータスを見ることもできる魔法だ。ステータスを見て分かるように、称号には様々な情報が出る。ある意味、真実が映し出されると言っても良い。


《格上の存在に鑑定をかけるには、それ相応の魔力が必要になるんだ。見えるまでの時間が違うだろう。その間の消費だ。俺は見ても良いと許したから、まだあれくらいで済んだが、普通ならお前の魔力では、いつまで経っても見えなかったはずだ》


ヒストリアは、長く生きている上にドラゴンというだけあり、レベルが800を超えていた。レベル差があるだけ、鑑定は難しく、これが可能となるまで魔力を必要とするらしい。


リンディエールはスマホやパソコンの電波状況と同じかなと納得する。


『はあ〜、なるほどな。けど、なあ、いっぱんてき一般的なひとのレベルって、あんがいひくいんやなあ。いまんとこ、かれい家令のレベル32がいちばんや』


先ほど話をした若いメイドがレベル10だった。今の五歳のリンディエールより低いのには驚きだ。


《普通の生活でレベルはそうそう上がらんさ。平民で一般的にはレベル20もあればいい。貴族でもそう変わらん。実践を積まなければ、レベルなど上がらないからな》

『ウチ、いまレベル15やで?』

《……は?》


完全に何言ってんだこいつという声音だった。


『せやから、きのうのよる、みたらレベル15やってん』

《……お前を最初に見た時、レベル2だったぞ……魔法を使えるようになったから、多少は上がったとは思ったが……考えてみればそうか……レベル10程度でも俺に鑑定をかけられるはずがない……』


どれだけ見せても良いと思った所で、低レベルの者が無条件で見えるようなレベル差ではないと、今更気付いたらしい。


『それ……はようきづくべきことやったんちゃうんか……』

《ま、まあ、できて良かったな》

『ヒーちゃん、たのむで……』

《悪かった……》


魔力が枯渇してすぐに死ぬことはないらしいが、脳震盪を起こすのと同じで、唐突に意識がなくなる。それで体力も落ちていればそのままということもあるのだ。


『あっ、みつけたでっ。うまやばん厩番や!』

《他にも居ないとも限らない。全員見ろよ?》

『わかっとるって』


使用人達と食事をするというのが役に立った。交代で出たり入ったりが激しいが、昼は特に、父の護衛意外が全員が揃うので、漏れはないはずだ。


『メイドひとりと、うまやばんで、けっていや!』


彼らのステータスの称号欄の一番最後には『雇い主の子どもを売ろうとした者』というのがあった。そして、メイドの方にはそれに加えて『闇ギルド不死の蝶所属』というのがある。


『売った』ではなく『売ろうとした』なのは、こうしてリンディエールが戻ってきたからだろう。


『ヒーちゃんのいった、やみギルドのなまえがあったで』


『闇ギルド不死の蝶』は、リンディエールを誘拐した者達の称号にあったらしい。ヒストリアが、問答無用で消し炭にした理由がそれだ。


《そうか……どうにか出来そうか?》

『ん〜、ひとりまきこむ巻き込むわ。このなかでいちばんつよいにいちゃんをな』

《……気を付けろよ》

『まかしときっ』


食事が終わると、リンディエールは今日は非番らしい父の護衛の一人に突撃した。


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読んでくださりありがとうございます◎

まだ明日いける!

よろしくお願いします◎

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