第6話 一つ屋根の下で二人! 勇者って大変だぁッ!!



「ねぇ、ゆーまのお父さんとお母さんは?」



ユニが、口に人差し指をやり、不思議そうな顔で、明るくゆーまの方を向き、訊(き)き返す!



「あ、あの、それがさぁ、海外に二人とも仕事で行っていて、いないんだ!」

少し、ゆーまが間を於(お)いて口を濁す。



「そうなの。許婚(いいなずけ)だから、お父様に挨拶(あいさつ)しようと思ったんだけど、残念ね」



「で、仕事はナにをやっておるのじゃ? 騎士か? 魔法使いか? 王様か?」


ラクリが、突拍子もないこという。



「お、王さま? ち、違うラクリ、ここは現代、魔法の国じゃネーっての! 父さんはゲームクリエーターだよ。んで、母さんはイラストレータだよ!」



慌てて、ゆーまは弁解する。



「ゲームクリエーター? イラストレーター? それ、何の仕事?」



ユニが、頓狂(とんきょう)な顔をして訊き返す。



「(あぁ、そうか、ユニの国にはないんだ)簡単に言うと、架空の世界を作る仕事と、絵を描く仕事だよ」



「まあ、創造主なのですね。お母様は、魔法画家ですのね」



ユニが、両手を握り、胸の前で、可愛く合掌し、目がキラキラ輝く。



「ん、(ちょっと、ニュアンスが違う気がするが)まぁ、そんなとこだよ」



呆れて、ゆーまは、言葉が返せなかった。



「じゃぁ、二人っきりなのね!」



ユニの目が、可愛く輝く。



「ふ、ふたりっきり?」



「同棲だね!」



「ど、同棲?」



「夫婦生活だね!」



「夫婦? ちょっと、待って!」



ユニの表情がどんどん輝き、目がキラキラ美化する。ゆーまは、照れて顔を赤くして、大きな声で、答えを返し、今にも、倒れそうなくらいだ。



「ゆーまぁ♡ 夫婦なんだし、一緒に寝ましょ♡」



「ね、ねるぅ~、待ってよ!」



 ゆーまは、興奮し、ドキドキ慌てて、バタバタと手足を動かす。



「出て行けなんてゆーま殿、言ったらパンチじゃぞッ! か弱い姫様を敵の手に駆けるのかじゃ!」



ラクリが、痛いことを言う。



「うぅ、(痛いところ付くなぁ)出て行けとは言わないけど、待って、一緒に寝るのはまだ、止めよう。とりあえず、隣の部屋が空いてるから、そこをユニとラクリ、使ってよ。とりあえず、ピットは男だろ? 俺の部屋で一緒に住もう」


「ムコ殿とダスか?」



ピットが、不思議そうな顔をする。魔法の国では、男女関係なく一緒に寝ていたのだろうか?



「あったりまえだ。女の子と一緒に男が寝てたら、可笑(おか)しいだろ!」



慌てて、声を張り上げて、ゆーまは捲(まく)し立てる。



「ぜんぜんいいよ♡」



ユニがニッコリ笑い、笑顔で返す。しかし……



「そうじゃなくてさぁ、結婚もしてないのにって、話で」



「あたしは、いいよ! ゆーまだって許婚(いいなずけ)だもん」



「だ、だめ」



何を想像しているのか、ゆーまは赤くなって、その場に足を付いて蹲(うずくま)ってしまった。



「ゆーま、かわいい。恥ずかしがり屋ね」



うふふと可愛く笑い、ニコニコしている。



「姫様、とりあえず、夜が来ましたので、隣の部屋で、寝ることにしましょうじゃ!」



ラクリが、納まりがつかないので、急遽(きゅうきょ)、仕方ないと助け舟を出した。



「そうね、ゆーまも一緒に来る?」



「い、いけねぇ」



ゆーまがそういうと、ユニがドアのほうへ歩いていった。ラクリが後ろから付いていく。



「お、オヤスミ、また明日」


ドキドキ顔を赤らめながら、シャイな少年は、手をユニに振った。



「オヤスミー♡」



ユニが、ドアのところで、ウインクをし、明るく可愛い声で、眩(まぶ)しいくらいに言い、隣の部屋に歩いてく。



「ピット、寝よう!」



「ラジャーダス!」



ピットが、部屋にあったベッドに持たれかけて、横になった。暫(しばら)くして、ゆーまは何を考えているのか、机の前にある椅子に座り、机に立て肘(ひじ)をして、シャーペンを引っ張り出した。



そのままの姿勢で、二人とも眠りについた。






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