第2話 えぇ?!運命の人?勇者になるのかよぉぉ!!




あれから、十五分くらい経ち、少年は自宅に帰っていた。急いで階段を駆け上がり、自分の部屋に入っていく!



「さてと、どれどれ、開封して、貼ってやろうじゃん!」



手に持っていた古風なポスターを、引っ張り出し、封を解き、絨毯(じゅうたん)の上に思いっきり広げる。可也(かなり)、大きいポスターだ! 何かしら、可愛い子が映っていた。



「うわぁ、すっげぇ、可愛い子!」



その古風なポスターに載っている可愛い子を見遣り、少年は目がハートマークになる。



急いでポスターを手で持ち、上のほうに向けて、喜びながら壁の方に少年は動いた。



「うふん♡ 猛烈、貼ります♡」



そう、照れながらいい、少年はニヤケながら、ポスターを壁に貼った!



「あぁ、いいよなぁ、こんな超カワイイ子が『好きです。僕のお嫁さんになってください』とか言ったら、出てきて、彼女になってくれたらいいのにぃな」

壁に貼った古風なポスターを絨毯(じゅうたん)に座りながら見遣り、少年は淡々と述べる。



「彼女いない歴、十六年。ふう、真剣告白ぞな! 好きです。出てきてくださいッス!」



その時、神頼みをし、少年が古風なポスターにキスしてのポーズをして、合掌をした時だった、なんとポスターの少女が表情を赤らめて、少し微笑んだ!



「はぁ~い。やっほーッ」



「は、ハイ?」



可愛い声をあげ、何と、ポスターに映っていた少女が、ポスターの中から姿を現して、出て来たではないか! 一体、どういうことだ? 少年は、ハイといい、唖然となり、声が出ない。



「うっそぉ~、あれ、今、あれ? ポスターの女の子? えぇッ何で?」



出てきた可愛い少女に、指を差し、ビックリし、座りながら後退する。



「キミが『好きです。僕のお嫁さんになってください』っていったから出てきたんだよ」



「えぇぇえッうそぉ?」



パシコン!



「あぅ!」



何と、少女が出てきたポスターの所にブラックホールのような黒い空洞が出来て、少女の後ろから全長十八センチくらいの、羽の生えた小さな女の子の、妖精みたいな子が出てきて、小さい手で、思いっきりスピードを飛ばし、少年を叩いた!



「姫様にキスしてのポーズをするなどとは、何様じゃ!」



小さな女の子の妖精はルックスはとても端整で可愛らしく金髪で瞳の色は青色だ。ヘアスタイルは、クリクリしたお団子頭に、ショートボブ系だ。背中に羽が生えており、格好はレースクイーンのスタイルで、露出の高い服を着ている。ポスターから出てきた、姫様と呼ばれた可愛い子は、身長が165センチ程で、小顔、瞳の色は透き通った緑色をし、髪の色は桃色で、肩まで綺麗に靡(なび)くセミロングだ! 何やら、魔法の世界のような服を着ていて、左手首に丸い魔法の球みたいな丁度(ちょうど)、野球ボールくらいの球をアクセサリーで施し、つけている。少年はビックリし、口をかくかく動かしている。



「な、なんだぁ、また変なのがポスターから出てきた!」



パシコン!



平手打ちが飛んだ!



「いてぇ~! 何スンだ!」



頭を押さえ、小さい手に叩かれた割には、強烈に痛いのか、涙目で少年は懇願する。



「変なのとはなんじゃ! 失礼じゃ! こう見えても、魔法の国テスタ王国の妖精大臣じゃ!」



「麗しいわしのことを、変とは何様じゃ! そこになおれ!」



腕を組んで、妖精みたいな女の子は憤慨する。



「うそぉ、何、このちっこいフィギュアみたいなやつ? 背中に、は、羽が生えてるぅ?  お、オマケに、飛んで、しゃ、しゃべってるぅ?」



パシコン!



「誰が、フィギュアじゃ! れっきとした妖精じゃ! 名は、ラクリ・ジャルディーノ、魔法の国の妖精大臣じゃ!」



怒り、妖精の女の子は、顔色を変える!



「まぁまぁ、ラクリ、怒らないで。彼はまだ私たちのこと何も知らないんだもん。その召喚ポスターの意味も」



姫様と呼ばれた可愛い女の子は、手を少し交互に動かし、困った顔をし、ラクリと

呼ばれた妖精の女の子に待ったをかける。



「召喚ポスター? なんだそりゃ?」



少年は訝しげな表情をし、訊(き)き返す。そして、チラッとポスターをまた見遣る。



「このポスターは魔法の国テスタの魔法アイテムなの。それにね、あの」



可愛い姫様と呼ばれた女の子は、照れくさそうに言葉を濁し、少し赤らめ、下を向く。



「あ、あの? 魔法アイテム? (チンプンカンプンだ、何? この展開? ポスターから人が出てきて、おまけに羽の生えたフィギュアも出てきてるぅ)」



唖然とし、少年は聞き入っている。



「わしが姫様の言えないことを言うわじゃ。このポスターは、魔法の国の次期後継者、姫様の許婚(いいなずけ)候補を探す為の結婚募集ポスターなのじゃ。それにな、開封しても、運命の人でない限り、姫様を目で見えないように魔法でなっておるのじゃよ」



ラクリは淡々とおジン臭い口調で言う。



「ていうことは? もしかして?」



「そう、あなたは、あたしの運命の人♡」



姫様は、ニッコリ笑い、笑顔で返す。とてもかわいい。



「それであって、許婚(いいなずけ)で勇者じゃ!」



姫様の横で腕を組み、えっへんといった面持ちでラクリは言う。



「ちょっと待ってよ、許婚(いいなずけ)って、運命の人って、いきなり出てきてどういうことだよ。(でも、すっげーかわいい)」



パシコン!



またしても、ラクリの平手打ちが、少年に飛んだ!



「あぅ」



「判らないやつじゃ、召喚ポスターの告知に載っている姫様が、見えるってことは、正真正銘姫様の運命の結婚相手で勇者ってことじゃ! 運命の人でなければ、姫様の姿は見えんのじゃ!」



ラクリは、自信たっぷりな面持ちで姫様が恥ずかしくていい難いことを説き伏せるようにいう!



「だから、今日から魔法の国テスタに、結婚しに来てくれるまで、一緒に住むね」

ドキドキしたような素振りをみせ、姫様は笑顔で少年に答える。



「えぇっ、嘘だろぉー。マジですか?」



度肝を抜かれるような言葉に、少年は口を濁す。



「ほんとだよ。だって、あなたは、あたしの許婚(いいなずけ)で勇者だもん♡」



「い、許婚(いいなずけ)? で、もしかして、そっちのフィギュアも、一緒に住むの?」



「当たり前じゃ! わしは、姫様の世話役じゃ! 誰が、フィギュアじゃ!」



ラクリがギャギャと少し怒った口調で言ったそのときだった。何やら、召喚ポスターのブラックホールのような穴から音を立て稲光が出てきた。一同の視線が、一瞬だけ集まる。






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